陶芸教室に通い始めたよ!手びねりでコーヒーカップを作った

DIY

せろりんです。

最近、アニメの影響で陶芸教室に通いはじめました。ついに初作品が焼き上がったので、作る工程を紹介しつつ作品を自慢します。

コーヒーカップを作るぞ!

陶芸といえばろくろを回すイメージがありますが、おれが最近やっているのは「手びねり」といって、ろくろを使わなくてもよいタイプの製法です。ただし手びねりでも手動のろくろを使ったほうが土台を動かすことが出来て作業しやすいので、結局ろくろは使います。

手びねりにもいろいろあるんですが、おれがやるのは「玉作り」というやり方です。「かたまり作り」とも言うみたいです。粘土のかたまりに手で穴を開けて食器の形にしていく方法です。

最初は簡単そうな湯呑みを作ろうとしていました。ところが作っているうちに全体的にシワだらけになってしまっていました。特に飲み口がボロボロなのがヤバいです。

初めてとはいえ思い通りに行かなすぎてマジでビビります。でも大丈夫!上の方はカットすればいいだけです。

カットして形を整えて、その後いろいろあった結果こうなりました。だいぶ背が低くなってしまいましたね~。やきものは焼くと大きさが1割くらい縮むので、これだと湯呑みとしてはさすがに背が低いです。ここは大胆に思い切ってコーヒーカップにすることにしました。

そういうわけでソーサーもつくりました。

ソーサーは、円盤状の粘土の板の上に、粘土で作ったヒモを乗せて土手の部分を作り、形を整えてそれっぽくしたものです。これも手びねりの一種で、「紐作り」という方法です。

翌週です。もっと頻繁に通いたいんですが労働のせいで土日しか行けません。ぶっちゃけ陶芸はメチャクチャ楽しいので、労働なんてやめて陶芸で食って行きてえ~という気持ちが沸き上がってきます。や、さすがに陶芸で食っていく気は無いですが・・・。食っていける気もしません。たとえば自宅にろくろや窯を用意して陶芸家デビューしたとして、1日何個作品を作っていくらで売れば食っていけるんだろう?と考えると、そこそこ絶望感があります。たとえば今作ってるコーヒーカップに3000円の値段が付くとして(いや、付かないですけど、そういう仮定をするとして)、最低でも1日5個くらいは作ると同時に売りさばかないと、極貧生活すら出来なくないですか?めちゃくちゃキツいですよね。そりゃ海原雄山みたいな高名な陶芸家さんはお茶碗1個に数万円の強気価格を付けられるのかもしれないですけど、世間で売ってる陶器って、作家さんが作ったものだったとしても殆どがカップ1個数千円じゃないですか。世の中の陶芸家さんって、ほんとどうやって食っていっているんでしょうね。謎です。

成形したカップを半乾きにして、彫刻刀みたいな謎の道具で表面を削って形を整えていきます。陶芸と言うと粘土を捏ねくり回す工程が一番イメージしやすく、たとえば陶芸アニメのパイオニアであるところの蒼穹のファフナーにはろくろを回しているシーンばかりが登場しますけど、実はこの削りの工程もメッチャ大事っぽく、削り次第で作品の印象が大きく変わります。あなたはそこにいますか?

形を整えつつ削り出しで「高台」を作ります。土台の部分ですね。これが無いと持ちにくかったり焼いたときに歪んだりするらしいです。ついでに高台の付近の余分な粘土も削って、器自体を軽くします。この工程は粘土が半乾きになっていないとできないので、観光地の1日陶芸体験だと工房の人がやることになります。

それはそうとヒモを作っていきます。ヒモを作れないと「ヒモ作り」ができないので、これはメッチャ大事な作業なんですが、おれはキレイなヒモを作るのがメチャクチャ苦手なので無限に苦戦します。

アニメオタクなので三編みにしました。

これがこうなります。削りの前に取っ手をつけてしまうと削り作業がやりにくいので、観光地の1日陶芸体験の場合は取っ手は工房の人が付けます。なので、好きなデザインの取っ手を好きに付けられるのは教室に通っている人の特権です。

さて素焼きをしました。陶器はふつう素焼きと本焼きで2回の焼成を行います。素焼きを終えると植木鉢のような質感になります。ここでバリを紙ヤスリで削ります。

表面にシワがよっています。作る工程で意図せず出来てしまったシワなんですけど、「このシワは初心者のうちにしか出せないから残しておいてもいいと思うよ」と先生がおっしゃっていたので残すことにします。いい味になりそうです。

植木鉢のままだと食器として使えないので、陶器は普通、表面にガラス粉末みたいな薬剤(釉薬)をコーティングしてからもう一度焼成します。釉薬にもいろいろな色や質感のものがあり、ここでも作品の印象がガラッと変わります。

釉薬をかける方法はいろいろあるらしいんですが、今回は釉薬の入ったバケツにドボンとひたしました。

釉薬は2種類使いました。焼くと全然違う色になりますよ~。

本焼きは酸化焼成で行います。

本焼きには酸化焼成と還元焼成があります。完全燃焼に近い形で酸素を入れて焼く方法を酸化焼成、酸素をあまり入れずに焼く方法を還元焼成と言います。釉薬には色を出すための金属が若干入っているんですけど、酸化焼成の場合は金属の酸化物、つまりサビの色が強く出ます。

焼成は教室の先生に完全におまかせすることになります。出来上がるのがこんなに楽しみで、同じくらい恐いのって、高校入試の時より上かもしれません。

コーヒーカップが完成したぞ!

完成~~~!うーんいい

ソーサーを見ていきましょう。深くてキレイな緑ですね。内側は織部釉という釉薬で、錆びた銅の緑色です。

ソーサーは非常にいびつな形になってしまいました。手びねりで端正な形を作るのはムズいです。

外側は黄瀬戸釉です。マジでたまたまなんですが、織部も黄瀬戸も伝統的な美濃焼の釉薬ですね。

取っ手は、変な形のわりにはガッシリしていて安心感のある持ち心地です。カップ本体は織部釉、取っ手は黄瀬戸釉で作りました。

高台が狭いのでバランスが悪い上に、成形がイマイチだったのか若干ガタついて使いづらいのが気になります。次はガタつかないようにしたいですね。

シワの部分で釉薬の濃淡が発生して良いですね~。手作りの陶器は、工場で作られた綺麗すぎる陶磁器と違って無限に見ていられます。

苔の生えた岩とツタをイメージして作りました。思ったより思った通りになりました。

形はかなりいびつなんですが、それもまた味として楽しめるのが陶芸の良いところです。芸術系の趣味って、下手な作品や演奏はシンプルに「下手だなあ」という印象になってしまいがちで、上手くなって楽しく感じられるようになるまでに若干のハードルが存在することが多いんですが、陶芸は下手に作ってもそれはそれで良いものに仕上がるのが嬉しいです。高名な陶芸家が作った作品も、冷静に眺めるとメッチャ歪んでたりしますもんね。いや、あれは計算して歪ませているんだとは思いますけど、そんなこと言ったらおれの作品だって見る側が勝手に「あっこれは計算されてる歪みだな」と勘違いしてくれる可能性はありますもん。ありますもん。

ただおれとしては、次からはもうちょっと端正で売り物みたいに美しい作品を作りたいです。ほら、ピカソだって謎な絵ばっかり書いてますけど、写実的なデッサンをやらせると実はメチャクチャうまいらしいじゃないですか。それとおんなじで、もっと良い作品を作るには、まずは精巧な作陶ができるようになったほうがいいと思うんです。べつに精巧な作品ばかりが作りたいわけではないんですけど、精巧に作れないことには何も始まらないと思うんです。上手くなりてえ・・・・・・・・・・・。

いろいろ作るぞ!

ということで作った二作目はお茶碗です。上手に作ろうとするあまり手を入れすぎて形状と大きさがおかしくなってしまい、「デカイ小鉢」か「小さい茶碗」みたいなハンパなサイズの器ができました。形もいびつで、特に飲み口の部分が終わってます。クゥ~。

「手びねりなんてろくろと違って粘土をこねるだけなんだから、時間かければどんな作品でも作れるだろw」とナメたことを考えていたんですが、粘土は、いじっているとたちまちに乾燥して固くなり、柔らかくしようと水を付けると今度はブヨブヨになって形を作りにくくなるので、いじれる時間にはタイムリミットが存在します。思ったより思い通りになりません。なんなら電動ろくろのほうが簡単説すらあります。メチャクチャムズいです。

成形の段階では残念感があったんですが、削ってみると意外とキレイな形になりました。お茶碗にしては小さいのが残念ですけど、形状だけ見れば2作品目にしては端正に作れているんじゃないでしょうか。

これはたたら作りと言って、均一な厚さの粘土の板から器を作る方法です。

板をグニャっと曲げてサンマ皿を作ります。おれにしてはメッチャ端正なのができましたね。ただし、板皿をたたらで作ると一瞬で器が作れてしまうので、楽ではあるんですがやりがいはないです。

茶碗やサンマ皿はこれから焼きます。出来上がるのがこんなに楽しみで、同じくらい恐いのって、高校入試の時より上かもしれません。


Q&A

陶芸教室に通いたいけど何かと不安!と仰る人向けに、おれが疑問を投げかけておれが答える自作自演Q&Aコーナーをやります。始めて2ヶ月ほどのペーペーの言うことであることを理解した上で参考にしていただければと思います。

お金かかる?

そこそこかかりますが、習い事にしてはリーズナブルなほうです。

おれの通っている教室は、1回(3時間まで)1500円ほどで指導を受けることができます。ただし先生はいろいろと忙しいので、みっちり3時間マンツーマンで教われるわけでもありません。

それと粘土代が1kgで200円くらい、焼成代が1kgで1000円くらいかかります。1kgの粘土で、ドンブリなら2個、マグカップなら3個くらい作れるので、食器を買ったと思えばそこまで高くありません。

これを高いと思うかどうかは割と人によると思いますけど、世の習い事というのは、普通このくらいはお金がかかるものなので、習い事に参加できてオマケに食器が付いてくると考えればリーズナブルなほうなんじゃないでしょうか。

時間かかる?

かかりません。ちょっとしたドンブリやマグカップなら3時間で1作品くらいできます。

たとえば音楽や絵画や料理やブログのような大抵の趣味は、家でもやれるので無限に時間が飛んでいくんですが、陶芸は基本的に家ではできないので、通ったぶんしか時間を持っていかれません。あんまり時間を取られないのは、陶芸という趣味の素晴らしいところの一つだと思います。気軽に始めて気軽に続けられますよ。

ハマりすぎて家で陶芸できる環境を構築し始めると時間もカネもぶっ飛んでヤバそうですけどね。

人間関係めんどくさくない?

おれは始めて2ヶ月のぺーぺーですし、そんなに頻繁に通っているわけでもないので、そもそも生徒との人間関係は一切発生していません。なのでおれから言えることはあんまり無いんですが、万が一めんどくさそうな人や距離感おかしい人が居たら、教室に行く曜日か時間帯を変えればいいだけの話です。なんだったら教室ごと変えてしまう手もあります。都会であれば教室はいくらでもあります。

めんどくさそうな人がいたら避ける方法はいくらでもあるので、逆に言うと、友達や恋人ほしさに出会いを求めて下心丸出しで教室に通うのも、あんまり上手く行かないと思います。そもそも、おれも他の生徒も作陶をしに来ているので、濃密なコミュニケーションをとろうとしてくる人はいません。それに、陶芸教室は基本的に小規模でやっている場所が多いので、生徒も出会いが発生するほどウジャウジャいるわけじゃないです。出会いを求めるな!作陶をやれ!相席居酒屋とかに行け!

楽しい?

メチャクソ楽しいです。楽しいことしかないと言っても過言じゃないです。いや、マジで1回やってみるといいですよ。どんな作品にしようか考えるのとか、思い通りにならない粘土をがんばって捏ねるのとか、色を想像しながら施釉するのとか、焼いてみると思ってた通りの色にならないけどそれもまた良いのとか、まーじで楽しいです。

作陶自体も楽しいんですが、なにより先生方がひたすら褒めてくれるのも嬉しいです。下手でも「いい味になりますね」「個性が出ていていいですね」と言ってくれるし、上手なら「綺麗に作れていますね」「この作業はマスターしましたね」と言ってくれるので、どう転んでも嬉しいです。冷静に考えてみると、大人ってのは普通に生きてるとあんまり他人に褒められないですからね。褒められるというのは嬉しいものです。世の中の大人がキャバクラに行って女の子に自慢話をしたくなる気持ちがわかってきます。ただ陶芸はキャバクラよりはリーズナブルなので、お金のない若者は陶芸をやったほうがコスパがいいです。

なんで電動ろくろをやらないの?

陶芸といえば電動ろくろ、というイメージがあるにも関わらず、おれは今のところ手びねりしかしていません。電動ろくろをやっていない理由は、電動ろくろは意外と大変だからです。

たとえば電動ろくろでは、粘土の中の空気を追い出す「菊練り」という工程が必要になります。「菊練り3年」という言葉があり、ガチで極めようとすると3年は必要なほど難しい工程だと言われています。まあ実際は数日間教わればある程度はできるようになるらしいんですが、とはいえ粘土を練るだけで何も面白くない工程をミッチリやらせると初心者は逃げてしまうらしいので、初心者にはとりあえず手びねりをやらせる教室が多いです。おれが通っているところもその一つです。どうしてもと言うなら菊練りから教えてくれて、電動ろくろをやらせてもらえますけど、おれは普通に手びねりがやりたかったので、とりあえず手びねりからやっています。もうちょっと慣れたら電動ろくろもやってみたいですね~。

観光地の一日陶芸体験は、菊練りを始めとするめんどくさい工程をすべて工房の人がやってくれます。おいしいとこだけ体験できるので便利ですね。

始めたいんだけど、どうすれば?

大抵の陶芸教室は、未経験者向けに1日陶芸体験みたいなのもやっています。だいたい3000円ちょっとで電動ろくろ体験をすることができます。まずは陶芸体験に行ってみるといいんじゃないでしょうか。陶芸の楽しいところだけを体験できる上に、教室の雰囲気もわかって良いですよ。後腐れもないので気持ち的にも楽です。

あと陶芸アニメ「やくならマグカップも」がメチャクチャおもしろいので、「やくならマグカップも」を見て陶芸に対する理解を深めるのも非常に重要です。

TVアニメ&実写『やくならマグカップも 二番窯』
2021年10月より第2期テレビ放送開始!最高気温40.9度、陶芸の町、多治見を舞台に繰り広げられる、ほんわか青春ろくろアニメ!

やれ!

そんな感じです。興味があったらやってみるといいんじゃないでしょうか。習い事を始めるとなると、いろいろ不安もあるかと思いますが、ぶっちゃけダルくなったらバックレればいいので気楽なもんですよ。こんなこと言ってるのが教室に知られたら破門されちゃいそうですが。

とにかく陶芸は楽しいので興味があったらやってみましょう。

終わり。

せろりんでした。

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