おはせろ!
おれが最近飲んだお茶を紹介する謎の企画です。
至福(茶の蔵 かねも)
掛川のお茶屋さんで買った「至福」です。深蒸しのお煎茶ですね。50g1080円でした。
掛川茶といえば深蒸し茶だと聞いて、お店に並んでいる深蒸し茶の中からそれなりに高くて美味しそうなものを物色していたところ、お店の人が「私はこれが好き」と言っていたので、あんたがほどの実力者がそういうのなら……と思って選んだ次第です。
深蒸しというのは製茶する際の蒸し時間を長めに取る製法のことで、長く蒸すことによって茶葉の組織が壊れて色や味が出やすくなる効果が発動します。その代わりに香り成分やフレッシュな味わいは減ってしまうため、深蒸しとそれ以外とでどちらが偉いということは本来ありません。ただ、最近は深蒸しブームがひそかに来ているっぽく、スーパーやお茶屋さんでも浅蒸し茶はほぼ見ない一方で深蒸しはよく見る気がします。
メチャうまいです。深蒸しらしい強いコクと優しい渋みが安らぎを誘います。草刈りしたときに感じる様々な香りからよい香りだけを選んで凝縮したような青っぽい芳香も最高です。
めちゃめちゃ飲みやすい上に旨味やコクや良い香りが大量に詰まっていて、おれは今いい緑茶を飲んでいるぞ!という実感をおぼえます。
ありがたみのある滋味にあふれているので、テレビ見てせんべいバリバリかじりながら飲むようなケの日のお茶よりは、なんらかの良いことがあった日に淹れてお茶だけで楽しむハレの日のお茶に向いているなと思います。
ハンさんのおいしいくわ茶brown rice
山梨土産です。
「ハンさん」なる人物は山梨だと地味に有名な人です。韓国出身のバックグラウンドを持ちながらも何故か山梨県で桑を使ったお茶を作りまくって売りまくるという珍しいことをしているため県内のテレビで度々取り上げられていて、それゆえ有名なわけです。
世の中には桑の葉っぱを使った茶がいろいろ売られている一方で、その多くは乾燥した桑の葉っぱにお湯をそそいで成分を抽出して飲むタイプのものです。一方でこのお茶は、桑の葉を粉々に砕いた粉末の商品です。粉を水やお湯に溶かして飲む青汁みたいな商品なわけです。どんな植物も大抵はまるごと頂いたほうが健康にいいっぽいので桑の葉だってまるごと飲んだほうが健康に良いだろうという思想なのかもしれません。
このお茶はオーソドックスな桑茶に玄米のパウダーを加えたものです。150mL用のお茶が10袋入って800円くらいでした。
見た目に反してかなり薄味で、苦味やエグミが一切無く飲みやすいです。若干のコクと粉末の舌触りがあるだけで、味はあまりしません。青汁のようとも緑茶のようとも捉えることができる独特の香りがして、クセが少なくガバガバ飲めます。玄米っぽい香ばしい香りも手伝って、青汁みたいな見た目にも関わらず非常に飲みやすく仕上がっています。
実際のところは知りませんが健康に良さそうな雰囲気があるので、この個包装モデルではなく粉末でどっさり入っているエディションの商品を買って食事のお供にでもガバガバ飲むと色々と捗るような気がします。
ところで山梨といえば昔は養蚕が主要な産業でした。特にハンさんの畑がある山梨県市川三郷町は、一瀬桑と呼ばれるすばらしい桑の品種が発見された場所でもあるようです。一瀬桑は葉っぱがデカく害虫にも強いだけでなく、葉っぱを食ったカイコが吐き出す糸も素晴らしいというスキのない品種の桑らしいです。害虫には厳しいのにカイコには優しいという、一見すると矛盾する性質を持つ謎の品種ですね。
その後いろいろあって日本の養蚕はオワコンになってしまうわけですが、荒廃していた一瀬桑の畑に着目してお茶を開発したのがハンさんだった、ということのようです。ハンさんのおいしいくわ茶は長年かけてじわじわと地味にヒットしているっぽく、山梨のお土産屋やサービスエリアに行くとそこそこの確率で売っています。ビジネスチャンスはどこにも転がっているもんだなあと思います。
ウバ エズラビ クオリティー(ルピシア)
エズラビ茶園の「ウバ」です。ウバはセイロン茶の一種です。
スリランカで取れるお紅茶のことをセイロン茶と呼ぶわけですが、セイロン茶にも何種類かあって、ウバはその中でも特に標高の高い地域で採れるやや高級なお茶です。
ウバはインド「ダージリン」、中国「キームン」と並んで世界三大紅茶の一つとされている由緒正しい紅茶の産地です。
50g980円でした。
砕かれて茶葉の原型が無くなっているタイプの茶葉で、いわゆる「ブロークン茶葉」と呼ばれるものです。ブロークン加工をすると味や色が出やすくなるため味や色を強調したいお茶はブロークンにしがちです。で、ウバといえば基本ブロークンにすることで有名な産地です。
このお茶はウバが一番美味しくなるとされる7~8月に採れた旬のお茶でもあります。啜る~!
メチャうまいです。刺激的な味わいが強く、心地よい苦味や渋みが口に広がる一方で、紅茶にありがちなエグ味や嫌な渋みは一切無く、爽快な味わいです。複雑な味でありながら嫌な感じが一切しないのは紅茶としてはなかなかすごいことです。
そして飲んでいると感じるのが、ウバの特徴とされるメントール香です。このお茶はメントールの香りがお茶にしてはめっちゃ強いです。
飲んでいると湿布のような香りが漂ってくるわけですが、言(ゆ)ってもお茶ではあるので湿布臭はそこまで露骨ではない上に、味わいがコテコテなのとうまいこと調和しているため「湿布の匂いがする」とされる飲み物にありがちな湿布を食ってるような抵抗感は一切無く、爽快な香りが複雑な味わいに彩りを与えていてメチャうまいです。
そういえばスリランカといえばこの前デフォルトしてしまった国です。スリランカ国内はかなり混乱しているっぽいですが、にもかかわらず、どういうわけか日本では旬の美味しい紅茶が普通に飲めていてマジで謎です。
デフォルト関係だと、外貨が足りなくてスリランカが石油代を紅茶葉で支払ってるみたいなニュースもありました。それを聞いたときはスリランカすげーって流石に思いました。この商品のようなレア度が高く少量しか出回らないようなお茶が石油代として回り回って日本にやってきたとは流石に思えませんが、安いお茶の中にはもしかするとそういう素性のものもあるのかもしれません。
とにかくスリランカとは石油の対価に紅茶を出せるくらい紅茶の栽培が盛んな国なのです。飲んで応援という話ではありませんが、興味のある人はスリランカで一番有名な産地のお茶「ウバ」から入ってみるといいんじゃないでしょうか。
うどんを食うぞ!
終わりだよ~
せろりんが愛してやまないのが、山梨県のソウルフード「吉田のうどん」です。山梨県の東側で食べられることが多いご当地うどんで、特徴は味噌か醤油ベースの塩っぱい汁、なぜか乗ってる茹でたキャベツ、そしてマジでアホみたいに硬い極太麺です。
山梨の東側は登山にちょうどいい山がたくさんあるので、おれは登山帰りによく食べます。これは雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)というガチで読めない山に登った帰りに食べたうどんです。
キャベツが乗っているのが特徴と言っておきながらこのお店はキャベツが無いスタイルです。麺も平均的な吉田のうどんよりも柔らかいです。吉田のうどんはわりとフリーダムなのでこういうのもあります。
これはカメラロールに入っていた割りとオーソドックスなスタイルの吉田のうどんです。マジでアホみたいに硬い極太麺、なぜか乗ってる馬肉、なぜか乗ってる茹でたキャベツ、100パー胃もたれするデカいかき揚げのコンボがキマっていて、典型的すぎて逆に嘘っぽいくらいのザ・吉田のうどんというビジュアルです。マジでうまそうです。
ビジュアルがうまそうなのでおれの口車に乗せられて山梨旅行の際に吉田のうどんを食べる人は後を絶たないわけですが、マジでアホみたいに硬い極太麺に順応できずに「食べたけどそこまで…」という感想を言ってくる人も多いです。まあでもこういうのはラーメン二郎とかドクターペッパーと同じで何度か食べてこそ良さがわかるものです。我こそはという方はいかがでしょうか。
終わりだよ~
せろりんでした。
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