最近聴いたオーディオブック 2023年4月の部――高校入試、蹴りたい背中、このぬく、物語シリーズ

おはせろ!

せろりんです。

Audible最高!せろりんは、読書がそんなに好きじゃないけど、とはいえ読書の効能はありがたいから渋々に細々と読書している、みたいなタイプの人間です。なんとでも罵ってください・・・。

要するに、情報をインプットするのは好きだし物語も好きだけど、文字を読むのが苦手なんですよね。

ところが、オーディオブックなら運転やお散歩や家事をしている最中に聴くだけで読書と大体同じような効能が得られるのでマジで最高です。

オーディオブックのサービスにもいろいろあって、せろりんはAmazonのAudibleを使っています。月額1500円で聴き放題なので、本を買うお金が若干浮くことも考えるとコスパはメチャいいです。

最初の2ヶ月は無料で体験できるので、文字を読むのは苦手だけど読書はしたいと考えている人や、家事や通勤やお散歩やお風呂が長い人は登録してみるといろいろ捗るはずです。いかがでしょうか。

そういうわけでこの記事は、せろりんが最近聴いたオーディオブックを紹介するシリーズ記事の1本目です。良い本も良くなかった本も紹介するつもりです。若干のネタバレはしますが、知った瞬間に話がつまらなくなるような致命的なネタバレはしないように配慮します。

高校入試(湊 かなえ)

湊かなえ作品ですね~。高校入試をメチャクチャにしたいと考える謎の人間(犯人)が、地域で一番の公立進学校の高校入試をメチャクチャにしようと躍起になる話を、犯人側と巻き込まれた生徒側と採点をする教員側の目線から描いたミステリーです。

せろりんは「告白」「山女日記」「Nのために」を紙で読んでいて、湊かなえファンじゃない人の中では湊かなえ作品を読んでいるほうの人間だと自負しています。読んだ作品は全部面白かったので期待して聴いたところ、高校入試もけっこう面白くて良かったです。湊かなえ作品はいろいろオーディブル化されているので少しずつ読んでいきたいですね。

とはいえ、登場人物が20人以上いて、章ごとに視点が変わるので序盤は誰が何を言っているのかわからず、正直けっこう辛かったです。ただし名前を覚えた後半はメチャおもしろくなってくるので、平均的にみると結構おもしろいという塩梅になっています。そういう意味では2周目がおもしろいミステリーなのかもしれないです。まあでも、犯人の動機に無理やり感があったり、入試制度に対する問題提起がいまいちピンとこなかったりと、シナリオが荒削りな感じは否めません。

朗読は川上 ひろみさんです。膨大な数の登場人物をワンオペで演じ分けていて圧巻でした。

蹴りたい背中 (綿矢 りさ)

おもしれーマジで。昔流行った本ですね~。おれは読書エアプなのでいまさら履修しました。主人公はやや陰キャをこじらせている女子高生です。同じクラスの、女性モデルの追っかけをやっているちょっとキモいオタク男子高校生に対する、主人公の視線とその変化を追った小説です。

ちょっとキモい(けど決して嫌いなわけではない)クラスの男子高校生が、主人公の自分をほったらかして女性モデルのラジオを片耳イヤホンで黙々と聴くなどのキモいオタ活にいそしんでいる姿(片耳だとささやかれてる感じがするんだそうです)を見て、「キモい」でも「嫌い」でも「好き」でもなく、後ろから背中を蹴りたいと思ってしまうという、わかるようなわからないような謎の感情を独特の表現で文章にしています。本のレビューをみると、この気持ちのことを「嫉妬」と表現している人もいましたけど、それもなんだか違うような、でも違うと言い切るとそれも違うような気がします。その微妙で絶妙な雰囲気が優しく、心地よく、そしてなにより軽快で愉快です。この小説では、人が死んだりとか、誰かがいじめられたりとか、そういうデカいイベントは起こりません。言ってしまえば女子高生がモヤモヤしている状態を描写しているだけで、作中では楽しいことなんて起きていないはずなのに、聴いているおれはなんだかとても愉快な気持ちになるのです。

朗読は金丸由奈さんです。最初は表現がやや大げさだな~と思ったんですが、聴いているうちに段々好きになっていって、聴き終わるころにはこの小説にはこの人の朗読しか考えられないな~と思っていました。朗読も含めてメッチャよかったです。紙でも買おうかなと思います。

このぬくもりを君と呼ぶんだ(悠木りん)

百合SFですね~。3月に配信されたばかりです。朗読の朝日奈丸佳さんモクで聴き始めました。挿絵は百合漫画界の大御所・仲谷鳰さんが書いていますが、残念なことにオーディオブックだと表紙絵以外は見れません。

舞台は地上に住めなくなって久しい世界に建設された地下都市です。主な登場人物は、何もかもが作り物でできているフェイクだらけの地下都市に嫌気がさしているレニーと、被差別地区に生まれ育った不良少女のトーカです。二人が地下都市でくっついたり喧嘩したりを繰り返しながら、フェイクではないリアルなものを探し求める姿を描くのがこの小説です。章ごとにレニー視点とトーカ視点が切り替わる安達としまむら方式になっていて、おれは安達としまむらが好きなので良いな~と思います。

百合小説としてはけっこう良かったです。すれ違う二人の気持ちが切ねえ!(ドン!)。フェイク/リアルを題材とした小説としても(そんなん他にあるのか?とは思いますが)なかなか興味深かったです。レニーが毎秒「あれはフェイク、これもフェイク…」と身の回りのものにフェイク認定をして回っていて迫力がありました。まあでも正直、地上に生まれてパーフェクトナチュラルパワーを獲得しているおれとしてはリアルを渇望するレニーの気持ちにそこまでは共感できなかったのも事実です。物質的には恵まれていながらもフェイクを憎むレニーの考えにどこまで共感できるかで評価が分かれる気もします。ただし、おれは読者の平均よりはフェイクを憎む気持ちに共感できているほうだとも自負しています。

ただ、百合SFと聞いて読んだわりにはSF要素はかなりライトで、正直そこに期待するとがっかりくるんじゃないかと思います。舞台がSFっぽいだけの百合小説だと捉えるといいです。まあでも、SF要素とかそういうのはフェイクな気もするのでこれでいいんだと思います。

レニー役の朝日奈丸佳さんの朗読は期待通りメチャよかったです。それとトーカ役の本泉莉奈さんの朗読もマジのガチでハマっていて、ときどき演技にビックリして巻き戻して聴いていました。朝日奈丸佳さんが天使真央役を、本泉莉奈さんが皇紫音役をつとめる「GJ部」もそのうち聴きたいですね~。GJ部はアニメとはキャストが違うようです。

物語シリーズ(西尾維新)

まじでおもしれ~。化物語 上から始まる大作ラノベです。アニメオタクなら誰でも知ってるレベルで有名ですね。現時点でサブスクで配信されている「余物語」までの25巻を数ヶ月かけて制覇しました。長かったな~と達成感がある一方で、楽しくてあっというまに聴き終わってしまったという気持ちもあります。これ聴きたさに無駄にドライブした夜もありました。

おれもアニメオタクの端くれなので大昔に化物語を履修しようと思ったことはあるんですが、当時のおれはシャフトのアニメがかなり苦手だったので挫折してしまいました。で、最近Audibleならいけるんじゃないかと思ってリベンジしてみたところメッチャ良かったです。

正義感の強い男子高校生の主人公が、怪異現象に関わってしまったヒロインを次々助けていく妖怪ラブコメです。巻ごとにミステリーっぽかったり、SFっぽかったり、バトルっぽかったりと趣が異なります。

朗読者は毎巻変わりますが、いずれもアニメの声優から選ばれています。1巻目はなんと神谷浩史さんの朗読です。

シナリオがいいのはやっぱり「傷物語」ですね~。主人公がある日作中最強の吸血鬼に出会い、自身も吸血鬼にされてしまった後に3人のヴァンパイアハンターとバトって人間に戻ろうとする話です。マジで超おもしろいですねえ。

朗読が良かったのは「猫物語 白」ですね。朗読者は沢城みゆきさんです。迫真の演技で、ガチですごかったです。沢城みゆきさんモクで他のオーディオブックも聴きてえ~と思って調べたところ、沢城みゆきさんが朗読をしているのは「罪と罰」か謎の自己啓発書の二択しか無く、どっちを聴くかで迷っています。


終わりだよ~。

そういうわけでAudibleの感想でした。今後は2ヶ月に1回くらい更新できたらいいなと思います。

せろりんでした。

「最近聴いたオーディオブック」シリーズは、めがねこ先生の「最近聴いている曲」シリーズの雑パロです。

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