スリランカ行くぞ! ーーアジアで最も美しい車窓、超デカい岩、スリランカ料理、わんわんパラダイス編

旅行

  近代戦争史は、二正面作戦が戦略上もっとも不利であることを、多くの戦訓をもって示している。これを避けるのが戦略の重要課題であることは、参謀本部の秀才参謀ならずとも軍事史を少しでも学んだものは知っている。

半藤 一利. ノモンハンの夏 (文春文庫) (Kindle の位置No.153-155). 文藝春秋. Kindle 版.

せろりんです。スリランカ旅行ブログ後編です。

一瞬マレーシア編一瞬南インド編スリランカ前篇→スリランカ後編 で読むと時系列順になっています。

スリランカの軽井沢・ヌワラエリヤに行くぞ!

キャンディ駅に来ています。

スリランカのバスはたまに異常に車高が高いのがいます。SUVブームなんでしょう。

汽車の待ち時間にキャンディ市街でのんびりと過ごしていたところ、エグい雨が降ってきて身動きが取れなくなってしまいました。

駅まで800mくらいなんですが、傘を持っていないのでトゥクトゥクを使おうと思います。すると、雨が降ってるからなのか、乗車前の交渉で300スリランカルピー(150円)とかふっかけてきました。流石に高いので別のトゥクトゥクに声をかけてみるわけですが、そいつも300だと言ってきます。

これは300払うしかないかな~と思ってダメ元でもう一台声をかけてみると、50ルピー(25円)だと言ってきました。めっちゃいい人ですね~。こっちは200ルピー(100円)くらいなら払うつもりだったので大変ありがたいです。

駅についたのでトゥクトゥクを降りてから支払いをします。ぼったくられそうになったときに立ち去りながら交渉できたほうが有利なので、支払時に降車しておくことは非常に重要です。で、50じゃ流石に申し訳ないのでチップ込みで60渡したところ、なぜか「300だ」とか言ってきました。まーたこのパターンか、揉めるのダルいな、と思いつつ「ア?You said 50」と言います。

すると、なぜか次の瞬間に駅の係員がやってきて、現地の言葉でおそらく「この場所に停車するな」みたいな内容のことをニコニコしながらも強めの口調で運転手に言いはじめました。そんな感じで運転手と駅員が揉めている間にも、運転手は片手間でおれに「300払え」とか言って二正面作戦を展開してくるので、おれは「NO!!」とデカめの声で言ってどさくさに紛れてしれっと立ち去りました。2対1となれば数が多いほうが有利に決まっているのです。

結局、悪徳ドライバーに10ルピー(5円)余分に払ってしまったのは悔しいですが、まあ5円ならいいだろうと思います。

いまから汽車で向かうのはヌワラエリヤという場所です。ヌワラエリヤといえば、紅茶オタクには有名なお茶の産地です。

コーヒーで言うところのコロンビアとかキリマンジャロとか、あるいは煎茶で言うところの掛川茶とか狭山茶みたいなノリで、紅茶も基本的には地名がそのままお茶の名前になります。「アッサム」や「ダージリン」もインドの地名です。スリランカのお紅茶は、紅茶の解像度が低いお店では「セイロンティー」と一括りにされがちですけど、紅茶オタクがスリランカのお茶の話をするときはもう少し細かい分類を使います。

有名なのは、ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナの5大産地と呼ばれる細分類です(実際には5よりたくさんの産地が存在します)。この5つの産地は、同じスリランカ産のお茶でありながら誰でも分かるくらいハッキリ味が違います。

ヌワラエリヤ茶の特徴といえば、高原で育ったお茶特有のさわやかな味わいと、緑茶のような青っぽい風味です。この写真のお茶は、スリランカで適当に買ったヌワラエリヤを日本で淹れてみたものです。典型的なヌワラエリヤの味で、後味がスッキリしていて結構うまかったです。

そういうわけで、ヌワラエリヤの最寄りのナヌオヤ駅までやってきました。汽車が遅れて今は22時です。ここから山道をバスで10kmくらい移動してヌワラエリヤという街に向かう予定です。

ホームに降り立つと、トゥクトゥクドライバーが「バスはもう行ってしまった!トゥクトゥクに乗っていけ!」とメチャクチャしつこく言ってきます。しかし、ガイドブックやYoutubeで予習してきたおれには全てお見通しです。これは、バスなんて実はいくらでもあるのに、行ってしまったとウソを付いて客をトゥクトゥクに乗せてようとするナヌオヤ駅定番のちょっとした詐欺です。

と思ってトゥクトゥクドライバーをガン無視していたんですが、電車が遅れたせいでマジでバスが行ってしまったらしく、壊れた時計が1日に2回だけ正しい時刻を示すのとまったく同じ原理で、今日だけトゥクトゥク運転手は真実を言っていたようです。

そうは言っても実はバスがあるんだろ、おれは絶対に騙されないぞ、と思って粘り強く周囲を観察してみますが、モタモタしているうちに他の乗客がトゥクトゥクに乗って行ってしまって、ついにトゥクトゥクは1台も居なくなってしまいました。駅でしつこく声をかけてきたドライバーがおれを無表情で一瞥してから客を乗せて発進していってガチで悔しかったです。

めちゃくちゃ寒い暗闇の中でどうすんだよこれと絶望していると、やっと1台だけトゥクトゥクが来てくれたので、泣きそうになりながら「ヌワラエリヤまで乗せていってくれ」と交渉します。ドライバーの言い値が1000ルピー(500円くらい)と意外と安かったので、下手に料金交渉をしてヘソを曲げられても困るので素直にこの値段で乗ることにしました(このへんの出来事は前編にもちらっと書いてます)。

すると、座席の左隣にスリランカ人の大男が何故か勝手に乗ってきて出口をブロックされてしまいました。ドライバーは「マイフレンドを乗せていく」とか言ってましたけど、2対1となれば数が多いほうが有利に決まっているので、ぼったくられた末に2人がかりでしばかれるのでは、とか考えてしまい、流石にビビります。殴り合いになったときに勝てる見込みも逃げられる見込みも無い状況は怖いです。

しかしスリランカ人は基本的にみんなメチャクチャいい奴なので、特に何事も起こらず、普通に宿で降ろしてくれて、1000ルピーだけ払ってお開きになりました。

次の日に街から駅までトゥクトゥクで移動したときは粘り強く交渉しても1000ルピー以下にはならなかったので、深夜であることを考えると駅から街で1000ルピーという値段はむしろちょっと安いくらいだと思います。トゥクトゥクの値段交渉って普通はドライバーが初手で相場の1.5倍くらいの値段を提示してくるのがあたりまえなので、初手で相場より安めの1000ルピーを提示してくるのはかなり優良ドライバーだと思います。おれが勝手にビビっていただけで、ただ友達想いなだけのメッチャいいドライバーだったようです。

今日はここに泊まります。暖房がなくてメチャクチャ寒かったです。

スリランカは南国なので基本は暑いわけですが、ヌワラエリヤは標高1800mくらいにあるので夜はとても冷えます。ネットやガイドブックには「羽織るものが1枚あると安心」とか書いてありますけど、ぜんぜんそんなレベルの寒さではなく、そこそこ厚いダウンジャケットがあってもいいくらいでした。

ヌワラエリヤは植民地時代に開発された避暑地らしく、ヨーロッパ風の建物がたくさんあります。日本で言うところの軽井沢みたいなポジションの街ですね。

スリランカはどの街も汚いんですが、ヌワラエリヤだけはかなりキレイでした。

永山健ラ康ラド山のバスもあります。

メッチャ寒いです。こうして実際にスリランカを回ってみると、ちょっと移動しただけで天気も気温も全然違って、そりゃ同じスリランカ産でも産地によって全然味が違うわけだよなと思います。こういう環境で育てられるからヌワラエリヤ茶はああいう味になるんだなーと思うと感慨深いです。いろいろな土壌と環境でその土地だけの紅茶が栽培されるわけです。

ただし、ヌワラエリヤがああいう味なのは「ヌワラエリヤってああいう味だよね」みたいなイメージがみんなの中にあって、それに合わせてお茶を作っているからという側面もあります。

適当に入ったお店で朝ご飯を食べます。パラタだかロティだかそんな感じのナンみたいな生地を頼んだらカレーと魚のサンボル(スリランカのふりかけ)も勝手についてきました。あんまり美味しくなかったです。

飯を待ってると、店員の英語があんまり喋れないっぽいおばちゃんが突如微笑みながら「ノー・シンガラ、ノー・シンガラ」と6回くらい言ってきて、よくわかんないけどシンハラ人アンチのお店なのかなあと思いました。

スリランカには先住民のシンハラ人と少数民族のタミル人がいて、少なくとも歴史的にはあんまり仲が良くないっぽいです。適当にオ~とか言っておきましたが、とはいえおれもおばちゃんも英語がぜんぜん得意ではないので、おれが勝手に勘違いしているだけでおばちゃんは全然別の話をしていた可能性も普通にあります。

紅茶鉄道に乗るぞ!

ナヌオヤ駅に戻ってきました。

ナヌオヤからキャンディに向かいます。この区間は「紅茶鉄道」とか呼ばれていて、山間部の茶畑を縫うように走る風光明媚な路線です。アジアで一番美しい車窓と言われることもあるらしいです。

ドアが開きっぱなしなのでヤンチャな欧米人が身を乗り出して風景を楽しんでいます。

この区間は昨晩も通ったんですが、夜は真っ暗でまったく景色が見れないので、本とか読んでました。

たしかにめっちゃ景色がよかったです。

キャンディに行くぞ!

キャンディ駅まで戻ってきました。

ライスアンドカレーを頼んだところ、写真の通りのまあまあ大盛りの皿が来て、かなり食べごたえがありました。スプーンがついてきましたが、スリランカ人のマネをして手で食べるとおいしい気がするので手で食べます。

そろそろ食べ終わるぞというタイミングで、お店の人が手で飯を食べるジェスチャーをしながらライスがどうとか言ってきたので、「お前は日本人なのに手でライスを食べるんだな」みたいな意味なのかなと思って適当にYesと答えたところ、ぜんぜん全くそんな話ではなく「ライスおかわりいる?」って意味だったらしく、同じようなのがもう1杯きてしまいました。

さすがにもう満腹ではあるんですが、しかし自分からおかわりしておいて残すのは畜生すぎるだろと思ってがんばって平らげました。2対1に勝利した希少な例です。値段はおかわりしなかった場合と同じ480ルピー(240円くらい)で最強です。近所にほしいお店ですね。

キャンディです。

それからバスに2時間乗ってダンブッラの宿に到着しました。個室で1800円くらいの安宿を取ったところエアコンも温水シャワーもなくてどうしたものかと思いましたが、水のシャワーを浴びた後に暑めの部屋で寝たら結果的にプラマイゼロでちょうどよかったです。

超デカい岩・シギリヤロックに行くぞ!

今日は世界遺産・シギリヤロックに登ります。全高200mくらいある超デカい岩です。

入場料は外国人が5500円くらいで、スリランカ人は数十円とハチャメチャな差があります。このことにネットで文句を言っている日本人はわりといますけど、おれはぜんぜんいいと思います。おれは一度言われた金額を後で覆されたり、おつりを誤魔化されたり、ほかの外国人と比べても高い料金をとられたりするのは嫌いですけど、正々堂々と一律の外国人料金をとるのはぜんぜん許せます。地元民とそれ以外とで料金をわけるのはオーバーツーリズムに対する効果的で公正な対処法だとも思います。

この値段ですらシギリヤロックは激混みだったので、もし外国人料金を値下げしたらさらに混んで収拾がつかなくなり、結果的に全員が損するはずです。

それはそうと犬です。

でかいです。

いいかんじですね。

スリランカ料理は割とうまいぞ!

下山してきたのでチキンコットゥロティを食べます。

外国人向けのしっかりしたレストランで1800ルピー(900円くらい)でした。麺みたいな生地を切り刻んで正方形っぽい形にしたものと具を炒めたガチで謎の料理です。モチモチしてて超うまかったです。

そういえばノーシンガラの店ではココナッツを甘く煮たのをストリングホッパーで包んだものも食べました。ストリングホッパーは米粉で作った麺で、蒸し固めたものは餅とかパン生地みたなノリで扱えるのでスリランカではスイーツを包むのにも使うっぽいです。

これは日本のスリランカ料理屋さんで予習として食べたストリングホッパーカレーです。麺としてズルズル食べるのではなく、スプーンで小さく切って米みたいなノリで食べます。正直おれは米のほうが好きです。

麺を切り刻んだコットゥとか、麺を固めて米みたいにして食べるストリングホッパーとか、そういう麺の変化球みたいな謎の料理がスリランカには多いです。

その後バスでコロンボまで移動して、カレーをいただきました。なかなかうまかったです。

スリランカの文化はわりと南インドと似ていて、料理も南インドっぽいです。たとえばカレーは南インドと同じで基本的にはベジタリアンカレーで、動物性タンパク質は使われないことが多いです。チキンカレーやフィッシュカレーやエッグカレーを頼んでも、カレーとは別に調理されたチキンやフィッシュやエッグが上に乗ってるだけのベジタリアンカレーが出てくるパターンが多いです。

肉も魚も使ってない料理が美味いわけないだろと思ってしまうところですが、実際に食べてみると謎の旨味があってメッチャうまいです。おれの母親はわりとベジタリアン料理が好きなので幼少期にいろいろ食べさせられましたけど、インドやスリランカ人が日常的に食べてるベジタリアン料理は、日本人が適当につくるベジタリアン料理とはぜんぜん違ってちゃんと美味いので驚きました。

コットゥをEGBで流し込みます。EGBはスリランカ人がみんな飲んでる謎のジンジャーエールです。

ビリヤニ(カレー味の炊き込みご飯)もよく食べられているみたいです。これはコロンボのそこそこちゃんとしたレストランで1000円くらい払って食べたチキンビリヤニです。でもあんまり美味しくはなかったです。スリランカはインドほどにはそこらじゅうにビリヤニ屋さんがあるわけではないみたいで、ビリヤニに関してはインドのほうがうまかったです。

ケンタッキーでビリヤニが売られていたのでつい食べてしまいました。フライドチキンが乗ったビリヤニで、かなりうまかったです。

スリランカ航空でスリランカから日本に帰るときに食べた機内食です。チキン味のカレーでした。めっちゃおいしかったです。

パウチされた牛乳と、そしてパンがついてきて、なんだよこれ、カレーライスと絶対合わないだろ、と思いながら恐る恐る牛乳をパンにつけて食ったところ、牛乳をパンにつけた味がして全然おいしくなかったです。

食後になって紅茶が配られて、パンも牛乳も実は食後のティータイム用にとっておくのが正解だったことが発覚しました。難しすぎます。

日本だとミルクティーに入れるのはコーヒーフレッシュか生クリームですけど、実は本場イギリスとかだと普通の牛乳を入れます。おれはどっちを入れてもそれなりにうまいから別にどっちでもいいだろと思っているんですが、とはいえ生クリームを入れるのは、紅茶オタク的には決して正しくはありません。

そのことを理解している日本人は極めてレアなので、日本の喫茶店で紅茶を頼んで牛乳が出てくることは稀です。日本の喫茶店はコーヒーにはいくらでもこだわりますが、紅茶にはまったくこだわりがないのが普通なのです。

ところがスリランカ航空はちゃんと紅茶のことを理解しているので、しっかり牛乳を出してくれて偉いなーと思います。さすがはセイロンティーの国です。

スリランカはわんわんパラダイス

スリランカには犬がメチャクチャたくさんいます。そこらじゅうで無防備に寝ているので写真取り放題のパラダイスでした。

タイとかベトナムの犬はけっこう小汚かったですけど、スリランカの犬はわりと小綺麗です。

そんなこと絶対しないですけど、触っても平気なんじゃないか?と思うほどでした。

めちゃくちゃかわいいです。狂犬病が怖いのであんまり距離を詰められませんが、しかしエサを貰えると思っているのか、写真を撮っていると向こうから距離をつめてくることもあります。

気持ちよさそうに眠っています。スリランカの犬はお昼寝大好きなようで、そこらじゅうで横になっています。

スリランカの犬として生きる人生は意外と幸せかもなーとか思いますけど、まあでも、よく見るとたまに怪我をしてる奴とか、目をえぐられてる奴とか、シンプルに死んでる奴とかもいてそこまで甘い世界ではないのかもしれないです。

めちゃくちゃかわいい~。うおおおおお。

ウマとかウシもいます。

サルが追いかけっこをしていました。

今回は参加しなかったですけど、サファリツアーに参加するとゾウとかヒョウにも会えるらしいです。そのうち行きたいですね。

そういうわけでコロンボに帰ってきました。この後は特にぼったくられることもなく、変なやつに出会うこともなく無事に帰国しました。

スリランカは自然もあるし、都会っぽさもあるし、アジアのカオスさもあるし、ヨーロッパのオシャレさもあるし、良い奴もいるし、悪い奴もいるし、うまい飯もあるし、そうでもない飯もあるという奥深い国でした。

おれもそこまでいろんな国に行ったことがあるわけではないですけど、それでも、スリランカほどいろんな顔を持つ国もそうそう無いんじゃないかと思います。5日間滞在しましたけど普通に足りないのでまた行きたいです。

せろりんでした。

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