【概念】人類の生み出した文化の極み料理とは何か

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せろりんです。人類の生み出した文化の極み的な料理、うまいですよね。

人類の生み出した文化の極みとは何か

今後この記事ではエヴァの話は一切しないのでエヴァを見たことがない人もぜひ気軽に読んでほしいんですが、それはそうと前提としてエヴァに「歌はいいね。歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」みたいなセリフがあります。

なんか知らんけどエヴァは難しい言葉を使いたがるので人類のことをリリンと呼んでいるわけですが、それはそうと、このセリフには確かに圧倒的納得感があります。

歌。歌には生存に必要そうな要素が一切無い気もする一方で、しかし歌は生きるうえでの原始的で根源的な欲求を何故か満たしてくれるような、何か特別なものを持っている雰囲気もあります。それでいて、いま歌われているような歌は、原始的で根源的なだけの状態からは生まれ得ない、伝統と革新性と繊細さと大胆さを兼ね備えています。

たいていの芸術は好みが分かれます。みんながみんな、例えば油絵や、詩や、陶芸や、純文学や、彫刻といった芸術ジャンルを好むわけではありません。歌以外の芸術ジャンルは、どれも少なからず分かりやすさを欠いていて、人類全体のための芸術とは言い難いです。

しかし、歌は違います。好みや程度の差はあれど、歌の良さがわからない人はほとんどいません。歌は人類のほとんど誰しもが好む稀有な芸術です。

それでいて同時に、歌は、作る人にも歌う人にも聞く人にも極めて高度な技術を求める、緻密さと繊細さと奥深さと、そして難解さを内包している芸術でもあります。

こうして考えてみると、歌はまさに「人類の生み出した文化の極み」としか言いようのない芸術です。このフレーズはちょっと長いので、この記事では略して「人文極」と呼ぶことにします。

ところで、人文極的な文化として歌と双璧をなす存在があります。料理です。

人文極料理とは何か

料理はまさに人類の生み出した文化の極み、つまり人文極です。火が通っていて栄養がそれなりにあれば生存に差し支えは無いわけですから、ある程度以上の手の込んだ料理は、生存という観点では全て無駄です。にもかかわらず、美味しい料理には生きる上での根源的な欲求を満たしてくれるような特別な魅力があります。

美味しい料理を好まない人はほとんどいません。しかし同時に、本格的なカレーなんかがそうであるように、人類に愛されている料理には難解さと奥深さもあります。

歌と同様に、料理の中にも、人文極度合いの高い料理と、そうでない料理とが存在します。たとえば、肉を適当に焼いて塩をかけただけの料理は、流石に「文化の極み」とは言えません。結局そういうシンプルな料理が一番美味しいという事実に目をつぶれば、この料理には、まだ進化と工夫の余地があるはずです。

では、逆にどのような料理が人文極度合いの高い料理なのでしょうか?分かりやすい例が「カツ丼」です。カツ丼は極めて複雑な料理です。まずパンを作り、パン粉を作り、カツを作り、割り下を作り、カツ煮を作り、米を炊き、最後にカツ丼を作る必要があります。

カツ丼には、文化の極みとしか言いようのない無駄さと手間と複雑さがあります。同時に、子どもでも美味しさがわかる分かりやすさもあります。そしてカツ丼は、そこから何を抜いても、あるいは何を足してもカツ丼ではなくなってしまうような、微妙なバランスの上で成立している料理です。きっと文明が一度滅んだら、カツ丼という料理は二度と誕生しないでしょう。

つまり、人文極度は次の4つの基準で決まります。

①複雑で再発明不可能であること。
刺し身やビフテキのようなシンプルな料理は、どのような文化でもすぐに再発明されてしまいます。仮に、そういうシンプルな料理こそが世界一美味しかったとしても、「極み」とは表現できません。一度文明が滅んだらもう二度とこの料理は生まれないだろうな、と思わせる複雑さが必要です。

人類の生み出した技術の極みであるところの生成AIに「かくかくしかじかで、あなたが考える、最も人文極度が高い料理を教えて下さい」と聞いたところ、「寿司」と帰ってきて、まだおれのほうが賢いな、と安心しました。握り寿司の人文極度は、それなりに高いものの決してトップクラスとは言えません。握り寿司は基本的にシンプルさを尊ぶ料理ですし、なにより寿司は素材の味に頼りすぎだからです。

②完成されていて様式が定まっていること
人文極料理は同じような様式に収斂していなければなりません。収斂していない料理は「極み」と言えないからです。たとえば「ちゃんこ鍋」は割と複雑な料理ですが、スープの味付けや入れてもよい具材にはかなりの自由度があるため人文極的だとは言えません。

③分かりやすさと奥深さを兼ね備えていること。
一部の「わかってる」特権階級のための難解な文化は、人類のための文化とは言えません。なにより難解すぎるとカヲルくん(フィフスチルドレン。エヴァに登場する人文極概念の提唱者)に理解できない可能性が高いからです。例えばフォアグラやお抹茶は、奥深く繊細な一方でわかりやすさに欠けます。

その一方で、繊細さと奥深さを同時に兼ね備えていなければ「文化の極み」とは言えません。例えばチキンライスやミートボールは、わかりやすい一方でイマイチ奥深さに欠けます。

以上の特徴を「料理」の範疇で満たしていること

こういう議論をしていると、「和牛は大変な労力をかけて生み出された唯一無二の肉牛だ。だから和牛ステーキは人文極料理だ」とか「日本中の新鮮な刺し身を都会で食べるためには高度なコールドチェーンの発達が必要だ。だから刺し身は人文極料理だ」といった意見が出てきます。これは間違っています。米沢牛の品種改良や冷蔵トラックの開発は確かに高度な営みなのかもしれませんが、流石に「料理」と呼べる活動の範囲に無いからです。

前提となる技術やインフラや生物についてまで考え始めると難しすぎますし、出てくる結論も本来の趣旨からブレてしまいます。この制限を設けないと、人類の生み出した文化の極み料理の極みは「TSMCの半導体で動くAIが在庫管理をして、パナマ運河をコンテナ船で通ってきた、遺伝子組み換えされまくったアメリカ産のポップコーン」だ、という無意味な結論になってしまいます。

高人文極料理 3選

こんな記事を書くほど人文極という概念が重要なのは何故か?と言えば、人文極料理は今生でしか出会えない貴重な料理だからです。おれたちは人文極料理に出会えた幸福を噛み締めなければなりませんが、そのためには何が人文極なのかを知らなければなりません。

仮に、地球によく似た星の、人間によく似た宇宙人に転生したとします。宇宙は天文学的に広く、(諸説ありますが)観測可能な宇宙には惑星が700,000,000,000,000,000,000,000個もあると言われています。一方で、宇宙に地球人は80億人ぽっちしか居ないので、来世が宇宙人である可能性は極めて高いです。

その星に、刺し身や焼き魚やステーキやちゃんこ鍋がある可能性はそれなりにありますが、カツ丼がある可能性には期待できません。なぜなら、カツ丼は地球人の生み出した文化の極みだからです。

人類が享受している恵みには、自然の恵みと文化の恵みの2つがあります。恵みのすばらしさを噛み締めながらハッピーに生きるためには、この2つの区別が必要です。

そういうわけで、人文極の極みと言える料理を紹介します。

ビリヤニ

インドが誇るスパイス炊き込みご飯「ビリヤニ」です。繊細で多彩なスパイスの味が染み込んだパラパラのお米は文化の極みとしか言いようのない複雑さと完成度を有しています。たいていの場合はスパイスで味付けされた肉がゴロゴロ入っていて、わかりやすいご馳走感もあります。なにより、ビリヤニは心を潤してくれます。

南アジアの料理はどれも難解ですが、ビリヤニには分かりやすい美味さもあります。おれは以前インドを2週間も旅したときに、ずっとビリヤニばかり食っていました。

味噌ラーメン

ラーメンは全体的に人文極的なわけですが、中でも味噌ラーメンは特別です。味噌自体が極めて複雑で完成度の高い、つまり人文極度の高い調味料だからです。

おれは家系ラーメンとか二郎系ラーメンみたいな下品なラーメンが好きではあるんですが、ああいうラーメンは味付けが極端なので好みが分かれるんじゃないかと思います。老若男女を相手にグローバルで戦えるのは、味噌です。

エヴァではわりと序盤にラーメンを食べるシーンが登場します。カヲルくん(フィフスチルドレン。人文極概念の提唱者)も、もう少し早くエヴァに登場していれば歌に匹敵する文化の極みを味わえたことでしょう。アーメン。

たこ焼き

たこ焼き、うまいですよね。ソース、マヨ、鰹節、青のり、紅生姜、天かすなどの細々とした食材のどれを抜いても物足りなくなってしまいます。それでいて、たこ焼き味には「たこ焼きの味」としか言いようがないほどの調和した一体感があります。

具はタコじゃなくてもいい、などと言う人もいますが、実際に鶏肉とかウインナーとかエリンギとかを入れてみると、タコじゃないとダメだなという結論に至ります。庶民の屋台文化の中で、不要なものは抜かれ、必要なものは残り続け、常に淘汰圧を受けながら磨かれ続けて生き残った最適解がこの様式なのです。

早見表

そういうわけで、人文極料理というジャンルがどのような料理なのか、なんとなくわかったんじゃないかと思います。より精度の高い議論をするために、様々な料理の人文極度を100点満点で評価した早見表を乗せておきます。

料理人文極度理由
リンゴまるかじり0☓さすがに0点
☓今どきのリンゴは高度に品種改良されているかもしれないが、品種改良は「料理」の範囲外
タコス97◯圧倒的にうまい。奥も深い。
◯心を潤してくれる。
親子丼50◯完成度が高い
☓めちゃくちゃ複雑かと言われるとそうでもない
☓中毒性が低い
握り寿司65◯酢飯+醤油+ワサビの組み合わせるのは高度
◯なんだかんだ高度な伝統と技術が必要な美食の極み
☓素材の味に頼りすぎているしシンプルすぎる。
蕎麦35◯うまい蕎麦を打つのはかなり難しい
☓素材の味すぎる
オムライス31◯なんやかんや奥が深い
☓味がシンプルすぎる。パンチがない。
☓鶏卵とケチャップの味に頼りすぎ。
刺し身3☓調理法がこの上なくシンプル
◯醤油やワサビを合わせれば15点くらいはとれる
すき焼き38◯奥が深く工程が複雑で様式も定まっている
☓肉の素材の味に頼りすぎ
うどん48☓素材の味すぎる
◯シンプルゆえに製麺技術が極めてハイレベル
焼き魚5☓火の発見と同時に発明されてそう
◯結局一番うまくはある
日本のカレーライス91◯複雑で完成度が高く様式も定まっている
☓スパイスに着目して言えば外国のカレーのほうが複雑かも。
明治エッセルスーパーカップ20☓シンプルすぎる
◯とはいえうまい
ポッピングシャワー98◯複雑だしうまい。
◯弾けるキャンディーを入れるのは文化の極みすぎる
◯心を潤してくれる
ビッグマック55◯なんだかんだ世界中で愛されている。味が複雑で完成度も高い
☓ファストフードすぎて敬遠する人もいる
☓慣れた味だから安心感があるだけで実はそんな美味いわけでもないのでは?
マックシェイク20◯うまい
☓一度文明が滅んでも再興しそう
フォー45☓わりと素材の味寄りの料理
◯素材の味を活かしつつ出汁の繊細さと薬味の刺激もある
焼きそば30◯ソース味で完成度が高い
◯伸びしろもある
☓ソースの複雑さを除けばあとはシンプル
フォアグラのソテー7◯極めて複雑な味で実際美味い
☓フォアグラを作る作業に極み感はあるがそれはギリ「料理」の範囲外
☓難解。子どもは好まない。
ジンギスカン35◯なんだかんだスタイルが独特。
◯あの変な鉄板は文明が滅んだら二度と再発明されないのでは?
☓とはいえ素材の味に頼りすぎている
チャーハン46☓文明が滅んでも米が滅びなければ即再発明される
◯定番の町中華スタイルの玉子チャーハンに限って言えば最適解に到達してる感じがある
カオマンガイ52◯調理法が繊細で完成度も高い
☓使用する具材がシンプルすぎる
ブラックサンダー72◯極めて複雑で絶妙なバランスで成り立っている
◯チョコ自体が複雑
☓チョコに頼りすぎている
キットカット40☓うまいけどシンプルではある
◯チョコ自体が複雑
板チョコ38◯味も製法も複雑
◯めちゃくちゃうまい
チョコモナカジャンボ92◯ガチでうまい。チョコがパリパリ、皮はサクサク
◯これのうまさがあんまりピンとこない人は鮮度が落ちたシナシナのジャンボしか食ったことがないんだと思う
◯回転のいいコンビニで食ってみてほしい
◯モナカとアイスをチョコでバリアしているおかげでモナカのサクサクさをある程度守っているのがテクニカル
◯アイスの開発は「料理」判定です
☓ずっと食ってると流石に飽きる
スイカバー69◯スイカを模した上で種をチョコで表現するという遊び心
◯出落ち感あるのにちゃんとうまいから偉い
☓味はシンプルではある
◯とはいえチョコとスイカの取り合わせは絶妙。考えた人はすごい
カレーうどん97◯うまい。カレーとも違う絶妙な出汁づかい。
◯和の出汁文化とカレー文化が融合しないと誕生しない奇跡の料理
◯心を潤してくれる
麻婆豆腐82◯辛さは痛みなのにあえて辛いものを食べるのは文化の極み感あり
◯豆腐や豆板醤がそこそこ複雑な食材
◯美味いし完成度も高い
マルゲリータ79◯いい店のやつは技術が極まっている
☓具材はそんなに複雑じゃない。素材の味に頼ってる。
◯なのにあそこまで完成度が高く奥深いのはやっぱりすごいと思う。
◯結果的にイタリアの国旗と同じ色なのも芸術点高い
ミルフィーユ50◯複雑なのに秩序がある構造が美しい
◯ある種の歌に似たハーモニーがある
☓味は意外とシンプル
サンドイッチ8☓サンドイッチ伯爵が賭け事をやりながらメシを食うために発明したとか言われてるけど絶対嘘だろ
☓絶対もっと昔からあるって。賭けても良い
☓パンの発明とほぼ同時に発明されてるまである
コカコーラ65◯あの味はコーラ味としか表現できない
☓飲み物なのでシンプルといえばシンプル
二郎系ラーメン62◯あのスタイルは唯一無二で再発明不可能。ニンニクラーメン、ニンニクマシで!
◯適当に作ってるように見えて意外と完成されてるんだよな
☓中毒になった若めの男性以外からは全然好まれない
家系ラーメン85◯何を足しても引いてもいけない圧倒的な完成度
☓脂っこくてしょっぱい。若めの男性がメインターゲットではある
広島風お好み焼き92◯狂ってないと発明できないと思う。料理界の特異点
◯心を潤してくれる
☓冷静に考えるとただの凝った焼きそばでは?
味噌汁17◯味噌そのものが複雑
☓味噌の複雑さに頼り切っている
☓外国人は不味いと感じるらしい
◯でも味噌汁こそが日本料理の心そのものな気もする
かた焼きそば85◯いろんな具材が入っていてうれしい
◯しかも全食材がご馳走感あってうまい
◯パリパリの麺にトロトロの餡をかける発想はかなり文化の極み
◯心を潤してくれる
フグの卵巣のぬか漬け22◯極めてテクニカルではある
☓食べたことないけど多分誰にでも愛されるような味ではないと思う
うな重62◯なんだかんだウナギにはこの調理法しかないと思わせる完成度
◯これに山椒を使う発想は文化の極み
☓材料がシンプル

終わり

そういう感じです。

人文極とは、要するに「完成されていて、再発明不可能で、複雑で奥深くて難解だけどわかりやすさも兼ね備えている状態」のことなので、食べ物以外にも適用できます。

つまり、人文極度の高い、アニメや、ゲームや、映画や、音楽や、選挙制度や、英単語や、乗用車が存在するわけです。いろいろ考えてみるといいんじゃないでしょうか。

せろりんでした。

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