せろりんです。突然ですけど、ガールフレンド(仮)ってメチャクチャいいアニメなんですよね!知ってましたか?
一時期に異常な頻度でCMをやっていた軽薄そうなソシャゲアニメという印象が強いせいで舐められがちな作品ですが、でもガチでいい傑作日常系アニメなんですよね。
GF(仮)の魅力は、ずばり、ソシャゲ原作だから大量のキャラを出しまくらないといけないという政治的意図によって醸し出される圧倒的な賑やかさと奥深さにこそあります。
そういうわけで、あえて令和のいま、全12話の各話に対してネタバレ感想を書きます。
GF(仮)が放送されていたのは2014年です。いまから12年も前ですね。当時おれはセンター試験を控えた受験生で、受験生なんだからアニメを見てる場合じゃないけど、とはいえ息抜きも必要だから1本くらい見ておくか…と思ってGF(仮)を4回くらい繰り返し見てました。いい思い出です。
も く じ 🐬
1話「はじめての約束」
あらすじ
みんなが朝練をしてる体育館にやってきて、賑やかにおしゃべりをしてどこかへ去っていったクロエルメール。クロエが写真を落としていったことに気づいた椎名心実は、神出鬼没なクロエを追って学校中を駆け回る。

感想
これガチで良い回なんですけど、シブい話すぎて初見だと良さがわかりにくい回でもあります。GF(仮)というアニメがメチャクチャ死ぬほどいいアニメなのに世間でナメられがちなのは、1話が難解すぎるからなんじゃないかと思います。
1話は登場人物を全員紹介してやろうという趣旨の回で、同時に、いろんなキャラクターを出しまくって原作ファンを満足させようという政治的意図のある回でもあります。でもGF(仮)は登場人物が「戦争と平和」くらい多いので覚えるのが難しくて、みんなそこで面喰っちゃうんですよね。
このアニメを楽しむコツは、キャラの名前を覚えないことです。おれはこのアニメをたぶん10回くらい見てるんですけど、クロエルメールとか椎名心実みたいな主役級のキャラクター以外は、ぶっちゃけあんまり覚えていません。話に参加する登場人物は毎回毎回リセットされるので真面目に覚えていたら破滅します。覚えるべきキャラクターは何回も登場して自然に覚えるので、なんか女の子がかわいいなー、くらいのノリでドッシリ構えて視聴するのが重要です。
基本的に日常系アニメというのは、数人の小規模なグループの閉じた日常をじっくり描くものです。けど、GF(仮)は登場人物があまりにも多いので、結果的に、開放的でワチャワチャしているテイストになってるんですよね。なんかわからんけど賑やかで楽しそうだな、という感覚こそが魅力です。
前項の目的を達するため、1話は椎名心実が神出鬼没なクロエルメールを追いかけて学校中を駆け回っているうちに様々なキャラクターと言葉を交わすだけで終わる話になっています。特になにか起こるわけではない導入回ですけど、先を知っていると、にぎやかで楽しげな様子にワクワクが止まらないんですよね。
2話「ブルー・メロンパン」
あらすじ
大会が近いからと容赦なくメシを出してくる心実の母。順調に体重が増えてしまった心実はダイエットを試みて周りを巻き込んで運動をするが…。

感想
これダイエットしてる姿を「頑張って部活してる」と捉えられてメロンパンを差し入れされて食べてしまうのがオチなんですけど、オチがめちゃくちゃしょうもないのがいいんですよね。結局体重が増加してしまうけど、筋肉がついて脂肪は減っていました、みたいなオチも力が抜けるようなしょうもなさです。
しょうもない、って表現してますけど、貶してるんじゃなくて本気で褒めてるんですよね!このガックリくる感じがクセになりますし、このアニメの味だとも思います。
おれたちの日常に寓意は無いし、教訓もそれほどありません。だから日常系アニメにだって寓意や教訓が無いべきです。おれたちの日常はしょうもないし、だから日常系アニメはしょうもないべきなのです。捻ったオチにしようと思えばいくらでもできるだろうに、だれもが予想できるようなどうでもいいオチにするところに、逆にこのアニメのガッツを感じます。
3話「カメラとショートケーキ」
あらすじ
「本当に謎ですよね。いえ、望月先輩と村上先輩って真逆のタイプじゃないですか。仲がいいのが不思議だなって、前から思ってたんです。下手したら水と油」「犬と猫の仲になってもおかしくないデスね~」そんな二人の出会いの話です。
感想

ホンマにいい回や…。下手したら水と油の二人がどうやって仲良くなったのかを解き明かす回です。直接的には説明されませんけど、アニメを見ると、二人の仲が良い理由がなんとなくわかるようになっています。
物静かで感情を表に出さないように見える村上文緒と、グイグイ系のエレナの2人は、確かに水と油といった感じで、性格が真逆のように思えます。でも、この回を見ると、二人がとてもよく似た人間で、水と水、あるいは油と油でしかないことが、なんとなくわかります。
エレナ視点で村上を見てみると、電車で席を譲っていたり、あるいはモデルになるのが嫌なときは勇気を出してしっかりと嫌と言うガッツを見せていたりします。そしてある時には、(周りの人は無表情だと言うけど)とても表情豊かな一面を見せてくれたりするわけです。わかりにくいから誤解されているだけで、実際は感情表現が豊かで、ある種のグイグイ系なのだと言えるのが村上で、だから決して二人は水と油なんかじゃないのです。ガチで美しく繊細な話だなーと思います。
この回がうまいのは、エレナの目線をある種のファインダーとして使っている点にあります。エレナが村上のことを少しずつ知っていく様子をエレナ視点で見ることで、誤解されやすい村上の性格を理解していくエレナの心の変化を我々も体験することができるのです。
4話「猫と雨の夜」
あらすじ
5匹の捨て猫を学校の生徒たちで引き取ることに。しかし親に相談してみると、猫を飼うためには中間試験で平均点をとらないといけないという恐るべき条件を付けられてしまい、貰い手有志で勉強合宿をすることに…。
感想

これガチでいい回ですね!勉強をしようと集まるけど一切捗らず、テストは結局平均点には届かないけど、成績は上がっているから結局猫を飼うことは許してもらえる・・・というオチがメッチャしょうもないのもいいです。日常に寓意は無いですし、教訓もそれほどありません。だから日常系アニメはしょうもなくあるべきです。
日常とは、定義から言って、特に何も起こらない日々を描くものです。そういうわけで、優れた日常系アニメは感想を書くのが難しいので、特にこれ以上書くことが無いのが難点です。
猫を助けるという一つの目的のために、ぜんぜん関係ない生徒たちが集まって努力をする、みたいな展開は、このアニメで何度も繰り返される独特の味です。一期一会でランダムな感じがGF(仮)の味なんですよね。
5話「ダージリンをみんなと」
あらすじ
お茶を入れるのだけはうまいけど実務的な能力が全然ない生徒会長と、その生徒会の話ですね。学食職員がイースター島へ社員旅行に行くも、天候不良でしばらく帰国できなくなってしまいます。臨時休業の学食を生徒会が運営することになるけど、うまく行くはずもなくてんやわんや。生徒会メンバーが限界を迎えているところに、お茶を持った生徒会長が現れて――。
感想

これガチでスーパー好きな回です。一番好きな回かもしれないです。好きすぎて独立した記事で長めの感想を書いています。
おれはお茶が好きで、ちょっとした趣味と言っていいくらいにはお茶をたくさん飲んでいます。で、この話はお茶アニメとして完璧に完成されているんですよね。
ちょっとお茶のウンチクを言わせてもらうと…この回は、ダージリンというお茶の王様を題材にした話です。スーパーで売ってるような混ざりものが多い安物のダージリンはともかく、ちゃんとした本格的なダージリンはメチャクチャおいしくて、普段あまりお茶を飲まない人でも明らかにわかるくらい、ほんとうに華やかな味がします。ダージリンの一番の特徴は、ほかの産地では年に1回しかやってこない茶葉の旬が、年に3回も、春と夏と秋にやってくることです。
詳しくはおれが書いた↑の記事を読んでほしいのですが、「ダージリンをみんなと」は、ダージリンの華やかさと、旬が三度もあるという性質を生かした見事な脚本に仕上がっています。ほかにも、お茶というものが人間にもたらしてくれるものを余すことなく脚本に生かしているのがこの回です。
6話「スイート・ビター・ポテト」
あらすじ
オカルト研究会の活動記録に載っていた暗号を解読して最終的にみんなでスイートポテトを食う回です。

感想
これメチャクチャいい日常系アニメの謎解き回ですね!謎解き自体はかなりショボくて、スイートポテトをみんなで食って「あの暗号ってこういう意味で合ってるのかな」でモヤッと終わるしょうもない話なんですけど、そのガックリ感がいいんですよね。しょうもない話をやりつつ、ウザキャラだけどその反面で先輩から疎まれているのではないかと悩む朝比奈桃子の話が並行して走っているおかげで奥深さとハッピーさも兼ね備えているのが良いですね。最後が「うん!」で終わるのも爽快感と疾走感と驚きと余韻があって、ハッピーで良いんですよね。
この回に登場する人のほとんどは、他の話にほとんど登場しないわけですけど、そういう一期一会な感じこそがこのアニメの魅力です。この人たちの別の話をもっと見てみたいな、と思う若干の寂しさがスパイスとなって、逆にアニメで描かれてないけど確かに存在するであろう賑やかな日常を想像させて楽しい気持ちになるんですよね。
7話「ドギー&スクランブル」
あらすじ
むかしむかし、ある所に、宇宙人とサイボーグとアンモナイトと熊本城と柴犬とシーモンキーとチンゲンサイが住んでいました――。文芸部の夏目真尋は、小学生のころから少しずつ書いている小説をいつまでも完結させることができない。小説を周りの人に読んでもらっているうちに、未完の小説には次々とファンがついてしまい、真尋ついに小説を完成させようと決意する。
感想

これ本当にいい回ですね。当時見てた人の中でも、この話だけは覚えてる人も多いんじゃないでしょうか。
言ってしまえば小説の続きを書かせるために夏目真尋を詰めるだけの回なわけですけど、おれたちは小説の内容をほとんど知らないはずなのに、気づけば小説の続きを渇望する読者の一人として真尋の執筆を応援しちゃうんですよね。話の内容はほとんど明かされませんけど、でもすごく良い小説なんだろうなって思います。
夏目真尋の小説の内容は、変な登場人物が活躍するスペースオペラであることくらいしか我々には開示されていません。でも読んでいる人の感想から考えると、たぶんアッと驚くような話のギミックがあるわけでも、宇宙の神秘を感じさせるようなSF要素があるわけでも、重厚で深遠な文学的表現があるわけでもないんじゃないかと思います。おれは、本当におもしろい小説というのは、キャラが生き生きとしていて、特に斬新で大胆な展開がなくても話の行く末が気になるような小説なんだと思っています。夏目真尋の小説は、きっとたぶんそんな感じなんじゃないかと睨んでいます。そして、7話「ドギー&スクランブル」も、まさにそんな話です。
話は変わりますけど、夏目真尋が自分の小説のことを恥ずかしがっていないところがいいんですよね。ふつうは、よほど書き慣れているか、身の程を知らない人でなければ、自作を知り合いに読まれることには少しくらい抵抗があるものです。しかし夏目は、ファンが増えてしまうからという理由で知り合いに読まれたくないと思うことはあっても、決して自作を恥じません。高校生にしてその境地に達しているのは、自分の書いたものに多大な思い入れがある証拠なわけです。書いている人も読んでいる人も作品のことが好きなんだなと伝わってきますし、小説の続きが読みたい気持ちとか、でも書けない気持ちとか、終わらせたくない気持ちとか、終わってほしくない気持ちとか、そういうのが臨場感たっぷりに感じられます。
最後で続編が決定するのもハッピーな展開で良いですよね。好きな物語の続編が出続けるというのは幸福なことです。おれもGF(仮)アニメの続きが見たいです。
8話「クリームソーダの向こう」
あらすじ
全国大会を目前にした椎名心実が、失敗するかもしれないけどキマればデカい難易度の高い技に挑戦するかどうかで悩みつつ、尊敬する笠原先輩のカフェをお手伝いする話です。
感想

これ、いいですね~。椎名は失敗を恐れずにメロンソーダを作る笠原先輩に憧れ、笠原先輩は椎名のひたむきな努力に心を動かされてメロンソーダを作り、そして椎名は自分の行動が他人に勇気を与えていることを知って新しい技に挑戦する、という相補的な状況がガチで良いんですよね。自分のしっぽを自分で嚙んでる蛇の絵って不吉の象徴とされますが、そんなことないのかもしれません。
GF(仮)って全体を平均して判断すれば微百合日常系アニメって感じではあるものの、露骨な百合描写はそう多くないんですよね。でも実質的主人公と言える椎名心実だけは明らかに笠原先輩に惚れてて、全体的には不足しがちな百合要素を一人で補ってくれてるんですよね。ありがたいですね~。なんかこう、二人ともお互いのことがけっこう好きっぽくて、見ちゃいけないところをのぞき見してるみたいでドキドキしちゃいますね。
なにをどうしたら男性主人公目線恋愛異性愛ゲームが傑作微百合日常系アニメに生まれ変わるのかは謎ですけど、とにかくこの采配をした人はすごいです。アルベルト・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、アイザック・ニュートン。世界を変えるのはいつだってそういう人です。
GF(仮)ってオムニバス形式の群像劇ですけど、全体としては椎名心実が新体操で勝ち進んでいくのを全校で応援する、という一本筋の通ったストーリーが用意されているんですよね。個性的で多様なキャラクターを描きつつも、学校を完全なカオスとして扱うのではなく、椎名心実という一本の筋が通ったストーリーを用意することで一体感があるコミュニティとして学校を表現してるわけです。
ジャグリングの人のように境遇が椎名と似ている人もいれば、笠原先輩のように境遇が全然違う人もいて、いろんな立場の人が、いろんな形でエールを送ってるのもいいんですよね。個性的なキャラクターが登場しまくるこのアニメならではの話づくりだと思います。
9話「進化系Girl」
あらすじ
来たる文化祭、軽音部の「にゅーろん☆くりぃむそふと」はトリで演奏することに!文化祭が刻々と近づく中、風町陽歌は新曲の歌詞が書けずにいた…。
感想

最高の回ですね。一番好きな回かもしれないです。この人たちだけで何クールも作れてしまいそうなくらい魅力が詰まった軽音部の、最も輝かしい一瞬を1話ポッキリにまとめている贅沢な回です。おもしろくないわけがないですよね。
「なんか歌のアイデアとかってある?」
「うん・・・?ええと・・・やっぱり、みんながノれて、盛り上がって歌えるような曲がいいよね。できれば、夢を持つことの大切さとか、つらいことを抱えている人にエールみたいなこととか、友達とか家族とか、自分の周りの人への感謝とか、日本の行く末とか、地球環境とか、愛と平和とか…」
「いやそれ1曲の中に納まる!?」
こういうことをぐるぐる考えてしまうのが風町陽歌さんの魅力なんですよね。こういう人からにゅーろん☆くりぃむそふとの詞が生まれてるんだなーと思うと納得感があります。いやもちろん、このいきなり出てきた風町陽歌とかいう女、マジで誰やねん、という気持ちも当然あります。けど、風町陽歌が誰なのか知らなくても、その魅力は、いま引用したセリフと、いまから引用する会話に全部詰まってる気がするんですよね。
「作詞ができないの?」
「うん」
「いつも歌ってるじゃない。あんな感じでいいんじゃないのかな。」
「いつも、歌ってる?え?」
「購買部の新しいコロッケパーンがおいしいよーとか、中庭に知らない花が咲いてるよーとか」(中略)
「私、ああいうハルカちゃんらしい歌が聞きたいなって思うよ」
「それだ!」
「世界平和とか人類愛は他の人に任せて、ちっさいことを歌えばいいだがや!」
結局ここにたどり着くのがいいんですよね。世界平和とか人類愛は他の人に任せて、ちっさいことを歌えばいい。めちゃくちゃいいセリフですよね。
「始まらないと、いいのにな」
「えっ!?」
「あっ、ああ、違うの。文化祭が始まっちゃうと、もう終わるしかなくなっちゃうでしょ?ずっと今みたいにワクワクする時間が続けばいいなって、思っちゃったの」(中略)
「そういう気持ちを曲にすればいいんじゃないかい?」
「できるかな・・・。でも、歌ってみたい!」
結局、文化祭という非日常で、日常への賛歌を歌うことになるのがマジでいいんですよね。7話「ドギー&スクランブル」でも、小説を書き終えてしまうのが寂しい、みたいなセリフがありましたけど、このアニメって徹底して日常賛歌なんですよね。部活動とか課外活動が盛んで芸能人やスポーツ選手が多い聖櫻学園を舞台にしているにも関わらず、たとえば、夢を追いかけて死ぬほど努力したり、すべてを賭けた試合に負けて悔し涙を流したりするような熱血な話は、やろうと思えばいくらでもできるのに、このアニメにはまったく出てきません。世界平和とか人類愛は他の人に任せてちっさいことを歌うのがGF(仮)というアニメです。
よくできた日常系アニメには日常に対する賛美が詰まっているものです。原作は男目線異性愛恋愛ゲームらしいのに、ここまで日常系アニメのことをよく理解した作品に仕上がっているのは本当に驚くべきことです。
生徒会のみなさんが再登場するのもメチャクチャうれしいですね!みなさん、生徒会長の扱いがわかってきたようで何よりです。生徒会の仕事がお役所仕事的じゃないのもうれしいですよね。
10話「プリンセス&プライド」
あらすじ
今年もミスコンの開催が迫る!司会をする気満々だった櫻井明音は、しかし自身もミスコンに入賞してしまい、司会を同じ放送委員の押井知に任せることに。人前でしゃべることがあまり得意でない押井は司会を一度断るが・・・。
感想

百合が咲きます、大切にしましょう!
これまでめちゃくちゃ登場しつつも脇役に徹してきた櫻井が、満を持して主役をやる回ですね。櫻井と押井の相棒感がめちゃくちゃいいんですよね~。
なんといっても姫島木乃子らが観客に向けて「拍手!」とか看板を向けて盛り上げてるのがうれしいですよね!これ、なかなかできることじゃないですね。理由は後で言いますが、ほかのアニメだと、この表現は決してできません。ありふれた平坦なアニメは、押井がたくさん努力をして司会を成功させてめでたしめでたし、というところで終わりにしてしまうわけです。
要するに、いつも裏方をやっていた押井の代わりに、みんなが今度は裏方をやってくれることで、押井もまた裏方の大切さを知って報われる、というのがこの回の骨子です。裏方が表舞台に出る、という割とありがちな話でありながら「自分に正直になって表で活躍しよう、勇気がないから内心を隠してるだけで本当はお前も表で活躍したいんだろ」みたいな陳腐で説教臭くて間違った教訓話には決してならず、かといって「表に出てみてわかったけどやっぱり自分には裏方が天職であることがわかった」みたいな諦めを内包した単純な話にもならないのがこの回です。全員の過去と未来が報わる一話に仕上がっているのがハッピーでいいんですよね。
そして、押井の代わりに裏方を務めてくれる人々は「森のお茶会」なる謎の催しで集まった押井と関係ない人たちでしかありません。ほかのアニメで決してこのような話がやれない理由は、ほかのアニメでは登場人物の数が足りないからです!
11話「さよならア・ラ・モード」
あらすじ
クロエルメールが急遽学園を退学してフランスへ帰国することに。クロエの家族を説得するために学園のみんなが結集する!
感想

あのニャンコズ5を筆頭に、これまでに登場した人が勢ぞろいなのがうれしいですよね。なんというか、本当にいいアニメだなあ、と思ってしまいます。
クライマックスにふさわしい王道の回でもあります。つまり、きわめてGF(仮)的な回だと思います。言い換えると、なにか事件が起きて、巻き込まれる形で学校のいろんな人が関与するも、オチはしょうもなくて…みたいな様式美フォーマットの極致にある一話です。
留学生が家庭の事情で国に帰ってしまうというのは、確かに悲劇的な出来事です。しかし同時に、よくあるような、それなりに納得できる、ありふれた出来事でもあります。にもかかわらず皆がクロエの家族を説得しようと動くのは、クロエがすでに学園の日常の欠かせない一部として溶け込んでいて、みんなが日常を終わらせたくないと願っているからにほかなりません。
そしてこの回は、流石にクライマックスなだけあって、参加する人の数がめちゃくちゃ多い上に、オチのしょうもなさも段違いなんですよね。このアニメは徹底的に日常讃歌で、日常讃歌はしょうもなさの讃歌なのです。
12話「ガールフレンドxxx」
あらすじ
大晦日。初めてのお正月に興味津々のクロエたちは、日本の年越しを見学するために椎名家に集う。
感想

椎名は「うちは普通の家ですけど、そのぶん、普通の年越しを見ていただけるんじゃないかと」なんて言ってクロエを誘うわけですけど、この回ってガチで本当に普通の年越しなんですよね。変な年越しにしようと思えばいくらでもできるキャラクターたちですし、最終話だからもっとパリピっぽくしてもいいのに、あえて普通の穏やかな年越しを描くのが偉いです。
椎名心実が「私、クロエさんと、来年もいっしょにおめでとうって言いたいです」「もちろんデスよ~」で終わって、いつも通りの普通のエンディングが流れるのが最終回としては本当に完璧なんですよね。12話は事件らしい事件が起きない唯一の回でもあります。日常と、日常が続いていくことへの願いを描いて終わりなんですよね。
このアニメの話って、全体的に「これからまた騒がしい1年が始まるぞ」みたいな期待感のある終わり方をしてくれるんですよね。「クリームソーダの向こう」で椎名の出番が始まる直前で終わるのもそうですし、「ダージリンをみんなと」が夏のダージリンとともに話が始まって、春のダージリンを飲みながら次のトラブルを予感させる情報とともに幕を閉じるのもそうですし、「ドギー&スクランブル」で続編が決定して終わるのもそうです。見終わって寂しい気持ちは余韻として残るけど、決して悲しくない終わり方をしてくれるのが良いです。
上の写真はクリスマスパーティーに集まった人の記念撮影です。これだけいるのに登場人物が全員参戦しているわけではないみたいで(たとえば気づいただけでも生徒会メンバーがいません)、どんだけ登場人物多いんだよと思わなくはないです。でも12話まで見れば、たいていの登場人物は、この人はあの時のあの人だ、となんとなく思い出せるんじゃないかと思います。
そういうわけでこのアニメは12話をもって終了してしまい、続編はもはや期待できないわけです。でも、この日常はずっと続いていくんだろうな、人が変わっても学園では同じようなことが繰り返されるんだろうな、なんて気持ちで終わってくれます。終わってしまうのは悲しいけど、期待にあふれた最終話です。
終わり
そういう感じです。
メチャクチャ名作なのにあんまり注目されていないことを憂慮して書かれたのがこの記事です。みなさんも見たことが無かったらぜひ見ていただいて、見たことがあったらもう一回見ていただければと思います。
おれは原作ゲームに一切触れてないので原作ファンの人はいろいろ言いたいこともあるんじゃないかと思います。補足があればコメントください。
終わり。
せろりんでした。



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