アニメ「ガールフレンド(仮)」感想│ダージリンを飲みながら5話「ダージリンをみんなと」を見たぞ 

アニメ

せろりんです。

せろりんはダージリンが好きで、中でも夏摘みのダージリンが大好きです。この世にいろいろあるお茶の中で、ぶっちゃけ一番好きかもしれないです。

そういうことなので、ついこのあいだまで木にぶら下がっていた旬のイケイケ夏摘みダージリンをルピシアで買いました。グームティー茶園の紅茶で、等級はFTGFOP1です。50g入で2600円でした。

コイツを飲みながら名作アニメ「ガールフレンド(仮)」の5話お茶回「ダージリンをみんなと」を見ます。

ダージリンを飲むぞ

野菜や果物と同じで、お紅茶にも旬があります。紅茶業界では旬のことを(日本語で言えばいいのにわざわざカッコつけて)クオリティシーズンと言います。

ほとんどの紅茶において、クオリティーシーズンは年1回しか訪れません。ところがどっこいダージリンには、春と夏と秋で3回のクオリティシーズンがあります。

紅茶オタクは、(日本語で言えばいいのにわざわざカッコつけて)春摘み茶葉のことを「ファーストフラッシュ」と呼び、夏摘み茶葉のことを「セカンドフラッシュ」と呼び、秋摘み茶葉のことを何故かフラッシュ抜きで「オータムナル」と呼びます。この3つは、同じダージリンでありながら、誰が飲んでも一発でわかるくらい味の違いがハッキリしています。

3つの旬には、典型的には次のような特徴があります。

春摘み(ファーストフラッシュ)・・・春っぽい味。緑茶のような青々しい風味と花の香り。メチャメチャ高い。
夏摘み(セカンドフラッシュ)・・・夏っぽい味。華やかな味でありながらバランスのとれた紅茶らしい味わい。質の高いものはマスカットのような果実香が漂う。メチャ高い。
秋摘み(オータムナル)
・・・秋っぽい味。甘みとコクの際立つ落ち着いた味わい。高い。

このうち今回買ったのはセカンドフラッシュです。ダージリンの中でも、セカンドフラッシュは味のバランスが良く、わかりやすい美味しさがあるのでファンも多いです。

そういうわけで淹れてみました。セカンドフラッシュにしては濃い茶褐色をしていますね。

味はうまいの一言です。よく発酵した茶葉の重厚な香りと紅茶らしいコクがあってパンチがきいています。渋みが強めなんですが、それに負けないくらい甘みも強いです。

夏摘みダージリンの上質なものは「マスカットの香りがする」と言われることが多いんですが、2021年の夏摘みグームティーは、マスカットというよりワインのような複雑な香りが微かにします。同時に花のような甘い香りが非常に強く、とにかくいろんないい香りが詰まっていてメチャうまいです。このお茶のような高級なダージリンは、スーパーで売っているような、本当にダージリンが入っているか怪しいような低品質のダージリンとは明らかに別格のうまさです。

「ダージリンをみんなと」

ところで、おれは2014年に放送されたアニメ「ガールフレンド(仮)」が大好きです。ガールフレンド(仮)は、芸能人やスポーツ選手をやっている生徒がやたら多い学校「聖櫻学園」の日常を描いたアニメです。

ソシャゲ原作ゆえに登場人物がやたら多いアニメで、毎話いろんなキャラが出ては、その回限りで消えてしまう(でもたまに再登場する)スピード感が特徴です。

原作は男主人公目線の恋愛ゲームらしいんですが(実はおれは原作をやっていないので定かではないです)、アニメでは何故か主人公の存在が抹消されていて百合アニメみたいなテイストになっています。

ガールフレンド(仮)は全部で12話です。おれは全エピソード死ぬほど好きなんですけど、中でも5話「ダージリンをみんなと」が頭おかしくなるくらい好きです。次回予告の動画を貼っておきます。

アニメ「ガールフレンド(仮)」 第5話予告

注意:ここから先はガールフレンド(仮)5話のネタバレが含まれています。この記事では5話のおおまかなストーリーをまるごと紹介しながら感想を書きます。ネタバレされると一気につまらなくなるようなタイプのアニメでは無いような気もしますが、とはいえネタバレが気になる初見の人は先にアニメを見たほうがいいでしょう。


さて舞台は生徒会の権力が強い系高校の生徒会です。

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

「今日はとってもいい茶葉が入ったのよ」
「わあ、マスカットみたいな香り」
「ダージリン セカンドフラッシュのシュープリームマスカテルよ」
「会長、お茶を淹れるのだけは本当に上手ですね」
「えー?だけ~?」
「だけです」
「だけですね」
「だけですよね」

会議が終わり、生徒会長(画面左側に立ってる茶髪の人です)の淹れた夏摘みダージリンを生徒会役員がしばいているシーンから話は始まります。

生徒会長は、お茶を淹れるのだけは上手なんですがそれ以外はありえんくらいポンコツという、一見すると生徒会の要職には向いていない性格をしています。ありえんくらいポンコツなので実務はすべて副会長の篠宮りさ(画面一番右に座っている人です)にまかせています。

セリフに出てくる「シュープリームマスカテル」はこのアニメ以外ではあまり聞かない言葉です。おそらく、マスカットの香りが特別に強い茶葉に与えられる等級の一種でしょう。等級とは、茶園か販売店が商品につける、茶葉の特徴をあらわした宣伝文句みたいなものです。さっき飲んだダージリンの等級が”FTGFOP1″であったように、ダージリンの等級は商品の特徴をあらわした英単語の頭文字をいくつか並べて表すのが普通です。一方で、超高級茶葉の一部には「シュープリームマスカテル」のように一つの単語のみを略さずに使う特別な等級が付いたものもあります。

メッチャ高そうなダージリンを生徒会全員に振る舞うって、どっからカネ出てるんだよ、もしかして校費か?と突っ込みたくなる気持ちはあるんですが、ともかくそこに教頭先生がやってきて、ヤバい事実を語り始めます。

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

なんと学食職員がイースター島に慰安旅行に行ってしまった挙げ句、悪天候でしばらく日本に帰ってこれないんだそうです。さすがに謎すぎる展開ですね。慰安旅行なら草津とかにしとけよと思うんですが、ともかく学食はしばらくの間お休みするしか無い状況になってしまいました。

そこで、いつも思いつきで適当なことばかり言って周りを振り回すポンコツ生徒会長は言います。「いいアイデアがあるんだけど」「生徒会のみんなで、学食を再開するのはどうかしら?」

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

「ああ!カレーライスのはずが肉じゃがライスに!」

もちろん、素人集団で学食を運営しようだなんて、そんなの上手く行くはずありません。いざ運営してみても、奮戦虚しく失敗続きで何も上手くいきませんでした。その上、言い出しっぺの生徒会長は「お茶を淹れるのだけは上手」なので、お茶を淹れること以外はなにもできません。会長も一応は学食運営を手伝おうとするものの、余計なことをして足を引っ張るばかりです。

言い出しっぺの生徒会長に実務を押し付けられた副会長・篠宮りさは忙しさのあまりパニックになってしまい、カレーライスのはずが肉じゃがライスを作ってしまう謎のミスをやらかします。

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

「カモミールティーにハチミツを入れたの。気分が落ち着くお茶なのよ」
「へえ」
「りさちゃんってすごいわね。」
「えっ?」
「本当に学食開いちゃった」
「会長が言ったからでしょう!」
「うん。私は言っただけ」

そこで、ハチミツ入りのカモミールティーなどという、ありえんくらい落ち着く味のお茶を持って颯爽と登場するのが生徒会長です。会長の淹れたお茶を飲んで落ち着いた副会長は、再び食堂に立って鍋を振るうのでした。

よくできたお茶アニメだぞ

5話「ダージリンをみんなと」は要するに、実務を遂行する能力が皆無な上に思いつきで適当なことばっかり言って周りを振り回すけど、茶を淹れるのだけは上手なので、何だかんだ何もかも上手くいくし何だかんだ周りの人にも謎に慕われている生徒会長の話です。

このアニメが表す通り、人間は、ちょうどいいタイミングでちょうどいい味のお茶にありつくことさえできれば、疲れを癒やしたり、パニックを鎮めたり、イライラを抑えたり、やる気を奮い立たせたりすることができる単純な生き物です。

おれたちは生きていると、自分で自分の精神をなんとか制御しないといけない場面に何度も出くわします。自分で自分の精神を制御するのは、生きていく上でメチャクチャ大事であると同時に、メチャクチャ困難なことでもあります。

もともと、精神を精神でコントロールするのは無理ゲーです。おれたちの脳は、イライラを鎮めようと意識すれば意識するほど余計にイライラするように出来ています。精神を精神でコントロールするのは無理だけど、ところが、精神は、お茶を淹れるのが上手い生徒会長にはコントロールすることができるのです・・・。

もちろん、おれたちの住むこの世界には生徒会長は存在しないので、美味しいお茶は自分で淹れる必要があります。それでも、家に何種類かお茶を用意しておいて、パニックになったときは落ち着く香りのハチミツ入りカモミールを、お腹が空いたときは甘い甘いロイヤルミルクティーを、気分を上げたいときはとびきり美味しい高級ダージリンのセカンドフラッシュ飲むことで、時には心を穏やかに、時にはやる気をバリバリに出しながら、なんとか生きていけるのです。お茶最高!

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

「あー疲れた」
「はい、どうぞ。」
「わあ、さわやかな香り」
「ダージリンのファーストフラッシュ。気分が爽快になるお茶なの」

さて、副会長のがんばりもあって、この日の学食運営は一段落しました。いろいろありましたが、学食は意外と好評だったようです。

この話がスゴいのは、生徒会が飲んでいるお茶が最初はダージリンのセカンドフラッシュ(夏摘み)で始まって、最後はファーストフラッシュ(春摘み)で終わるところです。

(c)CyberAgent,Inc. /ガールフレンド(仮)製作委員会 「ガールフレンド(仮)」5話より引用

「先程連絡がありました。飛行機が飛べるようになったので、学食の職員が帰ってくるそうです」
「それじゃあ明日からは・・・」
「無理みたいですよ」
「えっ?」
「イースター島って、いったんチリのサンティアゴに飛んで、そこからフランスのパリに飛んで、そこからやっと成田に飛んで、ここまで帰ってこないといけないから・・・」
「明日どころか、あさっても無理よね」

学食運営の騒がしさを予感させる冒頭では騒がしい夏を感じさせる夏摘みを飲んだ一方で、騒動が一段落したラストシーンでは春摘みを飲むわけです。

春と言えば・・・夏の一つ前の季節ですよ!少し経てばこの生徒会には再びお祭りのような夏の季節がやってきて、また騒がしくなるに違いありません。学食の営業が終わって一旦は春のような穏やかな落ち着きを取り戻しているものの、きっとすぐに次の季節がやってきて、この後も生徒会長が無茶振りをして副会長がなんとか解決する、なんてやりとりが、(季節のめぐるように)何度も繰り返されるんでしょう。次の日もまた騒がしい学食運営が続くであろうことを示唆するラストシーンにうまく対応しています。すごいですね。

ガールフレンド(仮)は登場人物がメチャクチャ多いので、残念ながらこの生徒会がメインの話は5話以外には無いんですが、9話「進化系Girl」では、生徒会の変わらない姿をちょっとだけ覗き見ることができます。

5話「ダージリンをみんなと」は、お茶のすばらしさ、特に、旬が3回あって1年を通して茶葉の出荷が行われるダージリンのすばらしさを活かしたお話です。

ダージリンは美味しいしガールフレンド(仮)は面白いぞ

ダージリンは美味しいし季節を感じられて楽しいですよという話と、ガールフレンド(仮)は面白いよという話でした。

今の時期(8月~)は夏摘みが出回り始めています。気になる人は買ってみるといいんじゃないでしょうか。モノにもよるんですが美味しいのはガチで美味しいですよ。「TEAPOND」みたいな茶園指定の紅茶を売っている通販で買うかルピシアの店舗で買うのが確実です。

ガールフレンド(仮)は5話以外もメッチャクチャ面白いです。宇宙人とサイボーグとアンモナイトと熊本城と柴犬とシーモンキーとチンゲンサイが活躍する7話「ドギー&スクランブル」なんかは今でもファンが多いんじゃないでしょうか。や、拙者は3話「カメラとショートケーキ」8話「クリームソーダの向こう」10話「プリンセス&プライド」あたりも大好きですが・・・。

や、ガールフレンド(仮)はガチで面白いですよ。主役になれるくらい個性の強いキャラクターが何十人も登場しては消えていくスピード感とか、にもかかわらずストーリーの運びが穏やかなギャップ感とか、一見するとストーリーがメッチャしょうもないわりに実はすごくロジカルに作られていて納得感があるところとか、視聴してから改めてサブタイを見ると「なるほどー」ってなるところとか・・・、おれはこのアニメが死ぬほどすきです。

おれは放送当時に大学受験生をやっていました。で、「いくら受験間近でも1タイトルくらいはアニメ見ても息抜きとして許されるだろ」と思ってガールフレンド(仮)を毎週4回くらい見てました。そんな思い出のあるアニメです。その結果、志望校には普通に合格したのでガールフレンド(仮)には合格祈願のご利益があります。

終わり。

せろりんでした。

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