「成瀬は天下を取りにいく」は百合? 百合あるよ!【成瀬シリーズ】

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二級百合判定士のせろりんです。

最近、「成瀬 百合」みたいな検索流入が多いです。

そういう検索をする人は「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」「成瀬は都を駆け抜ける」が百合なのかどうか気になりすぎて夜も眠れず、結果的に200歳まで生きれないんじゃないかと思います。

そういうわけで二級のおれが僭越ながら解説します。

結論から言うと、

露骨な恋愛描写は無い。
・少なくとも文量的には百合じゃない部分がほとんど。でもメインヒロインの島崎が出てくるとまあまあ百合ある。あとシリーズの最後のほうは結構ちゃんと百合ある。
・全体を通して見ると百合要素は非常に繊細な薄味だから百合モクだけで読むなら想像力が試される。ただし薄味だからといって楽しめないわけでもない。お茶や白湯やすまし汁のことを考えよう。薄味だから映えるものだってあるはずだし、200歳まで生きるなら塩分ばかり取ってもいられないだろう。あとシリーズの最後のほうはちゃんと激濃の百合がある
それはそうと成瀬シリーズは面白いから百合とか関係なく今すぐ読んだほうがいい。

と思っています。

成瀬シリーズはギリ百合!

そういうわけで、おれは成瀬シリーズはギリ百合だと思って読んでいます。世間的にも、百合として楽しんでいる人はそこそこいる印象です。

百合と呼ばれる作品って2種類ありますよね。

狭義の百合
恋愛描写がしっかりと存在する作品。
例:安達としまむら、わたゆり、わたなれ、やがて君になる等

②広義の百合
狭義の百合にそのうち発展しても決しておかしくはないくらい感情が重いけど、ストレートな恋愛描写はほとんど無い作品。
例:ゆゆ式、ゆるキャン、けいおん、ぼっちざろっく…

成瀬シリーズは広義の百合の中でも、わりと百合じゃない寄りの作品です。ほな百合とちゃうか・・・。

成瀬シリーズは百合判定が出るかどうか人によってかなり際どいところだと思います。けど、おれはギリ百合だと思って見ています。あと最終巻「成瀬は都を駆け抜ける」はわりとちゃんと百合あります。

島崎がおもしれー女だぞ!

成瀬の言うことはいつでもスケールが大きい。小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「二百歳まで生きる」だった。冷凍保存や人体改造など何らかの処置を施すのかと思ったら、素のおばあちゃんとして二百歳まで生きるつもりだと言う。

 わたしはギネス世界記録が百二十二歳であることを根拠に、さすがに二百歳は難しいのではないかと伝えた。すると成瀬は平気な顔をして「島崎も含め、その頃にはみんな死んでるから確かめようがない」と言った。わたしは成瀬あかり史を見届けられないことを残念に思うと同時に、できる限り成瀬をそばで見ていようと誓ったのだった。

「成瀬は天下を取りにいく」ありがとう西武大津店 より https://www.shinchosha.co.jp/book/354951/preview/

「成瀬シリーズ」の主人公はもちろん成瀬です。成瀬はメチャ賢くて運動もできる才女で、しかも異常に行動力と創造力があって思いついたことを片っ端から試していく変人です。


成瀬は天下を取りにいく 3巻 (バンチコミックス)

↑コミカライズ3巻の表紙。左が島崎で右が成瀬。

成瀬シリーズを百合として見た時、メインヒロインと言えるのは島崎です。島崎は成瀬の幼馴染で、赤ん坊の頃から成瀬と同じマンションに住んでいます。島崎は自分のことを凡人だと思い込んでいます。そして、自分は凡人である一方で成瀬は非凡な存在なので、自分には「成瀬あかり史を見届ける」義務があると思っています。これが島崎です。ほな百合やないか!

成瀬シリーズ原作第一巻「成瀬は天下を取りにいく」は、成瀬が「お笑いで天下を取る」とか言い出して島崎とコンビを組んでM1グランプリに出場する話が軸となっています。島崎は自分のことを凡人だと思い込んでいるので最初は成瀬に巻き込まれる形で嫌々な感じを出しながら参加するわけですが、本当に嫌々だったらM1グランプリに出るのはムリだろと思います。ほな百合か~。

常識人の観測者ぶって変人の相方を眺めているけど実は眺めてるほうもイカれてる百合、いいですよね~。クゥ~。

ただし、ネタバレになるので詳しくは言いませんけど、島崎は重めの幼馴染に見えて意外とドライなところも見え隠れします。そういうところはコテコテの百合小説のジメジメした描写と一線を画しています。そういうところも成瀬シリーズの百合小説としての良さに一役買っているんですが、一方でドロドロした直球の百合の文脈に慣れている百合厨のみなさんからすると、1巻の範囲は良くも悪くも薄味に感じるんじゃないかとは思います。ほな百合と違うか・・・。

2巻はガールズラブコメ編!

ガールズラブコメってご存知ですか?「わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ(※ムリじゃなかった!?)」とか、「ここでは猫の言葉で話せ」とか、「スローループ」みたいな、主人公の女が複数のヒロインにモテてしまう百合のラブコメのことですね。

成瀬シリーズ原作第二巻である「成瀬は信じた道をいく」は、ギリガールズラブコメと言っていいような小説に仕上がっています。

島崎の出番は若干減る一方で、スーパーにクレームをいれるのが趣味の謎の主婦、成瀬と島崎のお笑いコンビのファンを名乗る謎の女児、琵琶湖観光大使になるために生まれてきた謎の女子大生…、といった個性的なヒロインに微妙にモテる話が展開されます。

もちろん、2巻でも直接的な恋愛描写は全く無いです。ほな百合と違うか…。しかし、大勢のヒロイン連中が成瀬の影響を受けて惹かれてゆく様子はちょっとラブコメっぽいですよね。ギリギリガールズラブコメだと言っても良いでしょう。

3巻は結構ちゃんと百合!

3巻の「成瀬は都を駆け抜ける」はわりとちゃんと百合です!2巻から引き続きガールズラブコメをやりつつ、ネタバレになるのであんまり詳しくは言えませんが、まあまあな迫力がある百合を見せてくれます。

これまでの集大成って感じの百合でガチでパワフルです。頭をぶん殴られたかのような衝撃を受けました。

あまりのパワーに、読み終わったときは海原雄山の鮎を食べた京極さんみたいな顔になっていました。

これに比べれば琵琶湖のブラックバスはカスや・・・。

成瀬シリーズは面白いから読め!

そういうわけで、成瀬シリーズは「大部分は百合ではない。でも島崎が出てくると解釈次第で百合だとも言える。そして最終巻はかなり百合が盛られていく」といった作品です。最後のほうはだいぶ百合なんですが、しかし全体を通すと百合が無い部分が多いので百合モクだけで読むにはかなり薄味ではあります。

とはいえ薄味だからと言って美味しくないという話ではありません。お茶とか、おかゆとか、白湯とか、カニパンとかって、味が薄いからこそ素材本来の美味しさが際立つわけですよね。海原雄山みたいなガチの美食家が食べる料理ってたいてい味が薄いわけです。エロ漫画でパンツ見えるより少年誌でパンツ見えたほうが全然うれしい、みたいなノリですね。なにより、途中まで繊細だった故に最後の方がめちゃくちゃ衝撃的でした。

実際、広いインターネットには成瀬シリーズの百合要素を熱く語ってる海原雄山もたくさんいます。われこそは海原雄山だと言う方は読んでみてください。必ず満足できるはずです。

ここで言っておきたいのは、百合要素を抜きにしても、成瀬シリーズはたいへんおもしろい小説だということです。

成瀬シリーズは児童文学のように平易な文体と簡単な語彙で書かれていて非常に読みやすいです。一方で、わりと釈然としない終わり方をしたり、謎すぎるワケわからない個性的なキャラクターがめちゃくちゃリアルに描かれていたりと、ストーリー自体には重厚感と迫力と予測不可能さがあります。文体と内容のギャップが魅力の小説なんですよね。ふつうの文学は難しい話をするために文章や語彙まで難しくしますけど、文体が簡単でも難しい話をすることは可能なんだなーとこの小説を読んで思いました。一度読んだだけでも分かりやすく心地よいストーリーがありつつ、謎の深みもあるのが魅力です。

百合かどうかの判断は一級百合判定士の皆様にお任せしますけど、どちらにせよ読んだほうがいいのはガチなのでとりあえず読んでみるといいです。


成瀬は天下を取りにいく(新潮文庫)

読む順番は「成瀬は天下を取りにいく」→「成瀬は信じた道をいく」→「成瀬は都を駆け抜ける」です。

Audible版もおすすめです!Amazonの朗読聴き放題サービスですね。おれも実はAudibleから入りました。月1500円で朗読が聴き放題で、最初の30日は無料です。

コミカライズはちょっと百合盛ってるぞ!


成瀬は天下を取りにいく 1巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)

成瀬シリーズはあまりにも人気があるので、ラノベでもなんでもないのに何故かコミカライズが出ています。

コミカライズも良い作品なので、小説を読むのが億劫な人はこっちから入ってもいいんじゃないかと思います。ただしガールズラブコメ編である原作2巻は2026年までコミカライズ化されない予定なのでハマったら原作を読む必要があります。

おれとしては原作3巻までぜひ読んでほしいので百合モクで読むなら原作から入ってほしい気もします。

コミカライズは島崎の萌えが少し盛られていて、しかも百合要素も少し盛られています。百合モクで読むならコミカライズにも手を出してみましょう。

原作:宮島未奈 作画:小畠泪 新潮社「成瀬は天下を取りにいく」2巻 p.162より引用
2巻ではコミカライズオリジナルエピソードとして幼少期の成瀬と島崎が描かれる。コミカライズは明らかに百合を盛っているし、島崎の萌えも盛っている。

終わり。

せろりんでした。

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