フィルムカメラで写真を撮るぞ! Rollei35 LED編

写真、カメラ

せろりんでーす。

クソカッコいいカメラ「Rollei35 LED」を買ったので自慢しつつ、フィルムカメラは楽しいのでやってみるといいですよ~みたいな話をします。

気づいたら買ってたぞ!

レモン社 銀座教会店に来ています。

ところでおれはと言えば、数年前にフィルムカメラにハマっていたもののフィルムはカネがかかりすぎてヤバいので足を洗い、真人間になり、こんにちに至るという遍歴を持っています。

さて今日のお目当ては70年くらい前のカメラ、カールツアイス イエナのヴェラです。足を洗ったはずが何故か突然欲しくなってしまいました。

ヴェラ (カメラ) - Wikipedia

ヴェラは旧東ドイツで生産された大変希少な舶来品カメラです。希少なのでおれは実物を見たことが無く、ネットで写真を見て数年前からずっと憧れていました。レアカメラなので田舎には売っていないわけですが、東京のお店に行けばコイツがあるとネットで知って、山梨県八王子市からはるばる訪れました。東ドイツとかソ連のカメラってロマンがありますよね。

レンズキャップがそのままレンズフードになるという謎の構造がチャームポイントです。

で、完動品として陳列されているヴェラを実際に手にとって動作確認してみたところ、シャッターがまったく動かない致命的な不良を抱えており、泣く泣く何も買わずに帰宅することになりました。

終わり。

Rollei35 LEDを買うぞ!

脳内でエンディングを流しながらトボトボと帰宅しつつ銀座のケンタッキーでニワトリをしばいていたところ、「あ、そういえばヴェラの隣にあったあのカメラ、けっこう安いし、性能的にはヴェラとあんまり変わらないし、よく考えると意外といいんじゃね?見るだけ見るか~」と思い付いてしまい、再びレモン社銀座教会店に足を向けるのでした。

で、気づいたら買ってました。Rollei(ローライ)というメーカーのフィルムカメラ「Rollei 35LED」です。1万円ポッキリでした。ローライは西のほうのドイツの由緒正しき高級カメラメーカーです。

絞りが開放にならない動作不良がある、と記載されていましたが、動作確認したところちゃんと開放になったのでメチャお買い得でした。

そういう現象は古いカメラではよくあることです。売っぱらったときは動かなかったけど保管している間に動くようになったり、逆に、カメラ屋の良い環境では動いたけど家に持ち帰ったら動かなくなったり、わりとよく起こります。メカの部分の油の状態が温度や湿気や使用頻度で変わるからなんだと思います。ギャンブルみたいでドキドキですね。

クソかっこいいですね。本物はこの1万倍カッコいいですよ。

「Rollei35 LED」は、50年前に発売された「Rollei 35」という有名なカメラの派生商品の一つです。

いろいろある派生系のうち、廉価版グレードに位置するのがRollei35 LEDです。Intelで言うところのセレロンですね。

廉価版はどこの部品をケチっているかというと、主にレンズです。

デジカメと違ってフィルムカメラはレンズの性能だけで画質が決まってしまうのでレンズはメッチャ重要です。で、Rollei35 LEDは「トリオター」と呼ばれる、シンプルな構造で作られた安価なレンズを搭載しています。じゃあ画質が悪いのかと言われると、そんなこともありません。たしかに上位機種のようなあっと驚くシャープなキレイさは無いみたいなんですが、変わりにやわらかいふわっとした描写が一部のファンにウケており、上位機種も持ってるのに廉価版のほうを好んで使う人もいるらしいです。

今回買ったのは廉価版なんですが、Rollei35シリーズの最上位モデルであるRollei 35Sはアニメ「たまゆら」の主人公機として活躍していたので覚えている人もいるんじゃないでしょうか。「たまゆら」はすごく良いアニメなので見たほうがいいですよ。シリーズ全体で見るとそこそこ長いんですが1作目のOVA全4話(1話15分ちょっと)だけならサクっと見れていい感じにまとまっているのでOVAだけでもどうでしょうか。dアニメストアで見れます。

たまゆら(dアニメストア)を観る | Prime Video
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あと、上位モデルの一種である「Rollei35 TE」はおれも数年前に使っていました。金欠で売っぱらってしまったんですが良いカメラでした。

メチャ小さいぞ!

Rollei 35シリーズの一番の特徴はなんといってもコンパクトさです。ちっちゃくて超カワイイですね。それでいて性能はピカイチで、チープさは皆無なのがすごいです。ドイツの科学力は世界一ですね。

この大きさでハーフカメラじゃないんだからすごいな~と思います。当時お高かったらしいですがバカ売れしたらしいですよ。

それで、Rollei35(上位モデル)が世界でバカ売れしたので、当時日本でもRollei35の影響を受けた小さいカメラが大量に開発されたらしいです。隣に置いたYASHICA SNAPというカメラも恐らくその一つです。

おれはRollei35の影響を受けた小さい国産カメラがけっこう好きなんですが、とはいえそういうカメラはコンパクトさも高級感も微妙にRollei 35シリーズには及んでいないというのが正直な感想です(もちろんどちらも魅力的なカメラですし、機能や値段が全然違うのでどっちが偉いという話ではないです)。

安価な日本勢に押されて売上が落ちてきたRollei社が次に投入したのが、機能を絞った上でレンズにトリオターを採用した廉価版のRollei35シリーズなわけです。おもしろいですね。

Rollei35シリーズの圧倒的ちっこさの秘訣の一つは、沈胴式レンズです。コイツは昔のフィルムカメラでありながらデジカメのようにレンズを本体に格納する機能がついています。撮影時だけニョキッとレンズを出すことで普段はコンパクトに持ち運べるのです。

ただしデジカメと違ってレンズは手動で出し入れします。電気などという軟弱で意味不明なテクノロジーには頼っていないため、すべて指の力と機械部品の動きだけで完結するのがこの時代のカメラの魅力です。

まあ実はこのカメラに内蔵されている「露出計」と呼ばれる光量センサーだけは電気で動いており、露出計を使うためには特殊な規格の電池が必要なんですが、とはいえ露出計なんて一切使わなくても写真は普通に撮れるので関係無い話です。実際、Rollei35の廉価版派生機には「Rollei C35」という露出計無しのモデルも存在しています。

ちっこさの秘訣・その2は、ピントが目測式な点です。

大体のフィルムカメラには、ピントをバッチリあわせるための複雑な距離測定メカが搭載されています(一眼レフのレフの部分や、レンジファインダーカメラのレンジファインダーの部分や、二眼レフのレフと片眼のことです)。

ところがRollei 35シリーズは「なんとなく3メートルっぽい!ヨシ!」みたいなノリで人間がピントを設定するアバウトな方式を採用しているため、複雑なメカを搭載する必要がありません。

おのれの目だけで距離を測定しないといけないので慣れが必要ですし、おのれの目だけで距離を正確に測定できるワケはないので時々ピントを外してしまうんですが、そのへんさえ割り切って使えば問題ありません。

裏側もカッコいいですね。ただ、このカッコよさがみなさんに伝わるかはなんとも言えません。

もちろん実物はガチでメチャかっこいいですし、不思議なことに実物を一度見てしまえば写真だけでもカッコよさがわかるようになるんですが、しかし一度も実物を見たことがないと、このギュッと詰まった機能的カッコよさとカワイイさは伝わらないような気がします。

おれも数年前にお店で実物を見るまではそこまでカッコよくは感じませんでした。ラーメン二郎を食べたことがない人はラーメン二郎の写真を見てもモヤシばっかでまずそうと思うけどラーメン二郎を食べたことがあると写真を見ただけで腹が減ってくるのと同じ原理だとドイツでは言われています。

そういうわけでフィルムを詰めていきます。おれ(25歳)以上の年齢の人は懐かしいと感じ、おれ未満の年齢の人はナニコレって感じることでしょう。

裏蓋をスポッと外して、ゴチャゴチャやって装填します。

で、撮影が終わったら巻き戻して現像屋に持っていきます。

現像屋に持っていくと、大体1本1200円くらい払えば、現像した上でネガをスキャンしたデジタルデータをCDに書き込んでくれます。

「せっかくフィルムで撮ったのにデジタルデータにするんかい!」って思うでしょう?フフ、そうなんですよ。令和にフィルムをやる奴ってのはみんな意味不明で、自分がなにをやっているのか自分でもよくわかっていないんです。

それはそうと街の現像屋さんとは別に、ネットで申し込んでフィルムを送りつけると現像してくれるサービスもあって、そういうサービスなら1本500円くらいで現像+CD出力をやってくれます。ただし送料が数百円かかるので、一度にたくさん送らないとあまりオトクにはなりません。

フィルムのランニングコストはなんだかんだ最安で1枚60円くらいです。2枚でジュース1本、5枚でミラノ風ドリア1枚か~と考えると贅沢な趣味だなと思います(ミラドリが安いだけ説もあります)。

ただ、フィルムはランニングコストが高い変わりにイニシャルコストがメチャ安いです。なんといってもRollei35 LEDみたいなドイツ製の高級カメラですら1万で買えてしまいます。ライカとかになってくると話は変わってきますけど、たとえばちょっとした国産カメラなら2000円くらいで買えてしまうわけで、イニシャルコストは超安いです。

あまりバシバシ写真を撮らない人なら、実は高級デジカメよりトータルで安く済む説もあります。ソニーのフルサイズデジタル一眼カメラなんて、フィルムカメラとセンサーサイズ同じなクセして30万くらいしますからね。

Rollei35 LEDの作例を見るぞ!

そういうわけで現像から帰ってきました。

フィルムらしいレトロな写りですね。

いいかんじの建物です。

フィルムっぽいザラつき感のある画で、デジカメからこんな画が出てきたら「画質わっる」って思ってしまうところではありますが、こういういいかんじの建物の写真だと画質の悪さが逆に味になります。

まあでも、デジタルでキレイに撮ってからフォトショとかでフィルムっぽい画に編集すればいいだけなのであえてフィルムカメラを使う理由にはならないんですよね。フィルムやってる人は本当に意味不明です。

雰囲気が出ていますね。

開放(F3.5)で最短撮影距離(90cm)の撮影にチャレンジした写真です。ようするに最もピントを合わせるのが難しい(代わりに背景が超ボケる)条件で撮影した写真です。

おれは特別な訓練を受けているのでバッチリ90cmを目測ではかってピントをキメることに成功しましたけど、慣れていない人間には難しいかもしれないです。

この写真はコダック製のフィルムを使って撮りました。コダックはポケモンみたいな黄色がコーポレートカラーになっている会社で、そのせいなのかフィルムも黄色の発色が良くなるように作られていると言われることが多いです。確かにそうかもしれないですね。

ボチボチきれいに写っていますね。上位機種のレンズ(テッサー)のようなシャープなきれいさはありませんが、これはこれで良いです。

ペットのヨシキリザメです。動物写真は目にピントを合わせるのがセオリーなので、ピントを90cmに設定した上で目にピントを合わせようと試みました。結果、目ではなくエラのあたりにピントが来ている気がします。ピント目測はやっぱり難しいですね。

はい

はい。これは全体的に白っぽくなってしまっています。ちょっと露出オーバー(フィルムに光を当てすぎ)だったかもしれないです。こういうマニュアルのカメラは露出計(光量センサー)の表示に従いながら設定をいじくってフィルムに当てる光の量をちょうど良い具合にしてから撮るのが基本なわけですが、おれは電気とかいう謎のテクノロジーには頼らないので肉眼で光量をセンシングして設定を決めています。その結果、たまに設定をミスってこういう微妙に失敗っぽい写真が出てくるわけです。

やわらかい写りで、良くも悪くもフィルムらしさが活きるレンズだなと思いました。上位機種に搭載されているレンズ(テッサー)はちょっと画質が良すぎるなーと感じる場面もあったので、どっちが良いかはともかく気に入りました。

おまけ:テッサーの作例

さてこれまで見てきたのはトリオターという廉価版レンズを装備したRollei35 LEDの作例です。ところがどっこい、おれは数年前にテッサーという名前のレンズを搭載した上位機種・Rollei35 TEを所有していました。

そういうわけでRollei35 TEで撮影した写真も貼っつけておきます。テッサーは「鷹の目テッサー」なんて二つ名が付いているほど画質が良いレンズで、鷹みたいに遠くのモノまで鮮明に撮影できる写りの良さで知られるレンズです。

めっちゃカッチリ写ってますね。40年前のフィルムカメラとは思えないくらい画質が良いです。

フィルムっぽいノスタルジックな雰囲気がありつつ、描写はシャープなのでずっと見ていても飽きない画になっています(自画自賛っぽくなってしまいましたが優れているのはおれの写真の腕ではなくドイツ製の高級レンズです)。

コンパクトなフィルムカメラにありがちなボヤ~っとした夢の世界みたいな雰囲気は(良くも悪くも)全くありません。現実的な描写ですね。

それはそうとこの写真は富士フィルムのフィルムで撮影したものです。富士フィルムはコーポレートカラーが緑で、そのせいなのか緑がキレイに出る傾向があると言われています。たしかにこの写真を見てみると、緑に階調性があって色の表現が豊かな気がしなくもないです。

う~ん空気感までしっかり写っています。やっぱりテッサーはすごいですね~。

フィルムのいいところ

そういうわけで久しぶりにフィルムカメラを買って写真を撮りました、という話でした。

ちなみにデジタル一眼レフだとこんな感じに撮れます。どう考えてもフィルムより圧倒的にキレイですね。

キレイな写真を汚くするのは容易なので、こういう写真をフィルムっぽく加工するのはお茶の子さいさいです。

じゃあなんであえてフィルムを使うのかと聞かれると、撮っていて楽しいからです。フィルムのいいところは、1枚1枚をドキドキしながら撮れるところです。デジタルだとやり直しが利くので何も考えずにバシバシ撮ってしまいます。それはそれで楽しいんですが、一方で、フィルムなら出来上がりを想像しながら1枚1枚をじっくり撮ることができます。

出来上がりの画はわりとどうでもよくて、そういう撮影体験の楽しさこそがフィルムの魅力なんだと思います。

みなさまもいかがでしょうか。

昔のメカメカしいカメラは使っていてとても楽しいです。それでいて、機種にこだわらなければ数千円で買えてしまうイニシャルコストの安さも魅力です。ぜひ軽率になにも考えずに手を出していただければと思います。ファインダーをのぞきながら、どの風景をどう切り取ってやろうか考えながらお散歩するのは超楽しいですよ。

せろりんでした。

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