死ぬほどボケるレンズを買ったぞ!

写真、カメラ

せろりんです。

死ぬほどボケて死ぬほど明るいレンズを買ったので、どんな感じか軽く紹介します。この記事はカメラに詳しくないし興味もあんまり無い人向けに書かれています。

作例!

さて、レンズ沼、なんて言葉があるように、カメラが好きな人は交換レンズを買いまくる習性があります。

その姿を見て、カメラに詳しくない人は「レンズなんてどれも一緒でしょ」「そんなに変わるの?」って思うでしょうが、正直に申し上げますと、メチャクチャ変わります。新しいレンズを買うことは新しいカメラを買うことに匹敵するくらいの一大イベントなのです。

そういうわけで買ったのがこういうレンズです。TTArtisan 50mm F0.95 Cという名前のレンズで、お値段は3万円です。このレンズの特徴は、(誤解をまったく恐れずに一言で言えば)口径がメチャクチャデカい点にあります。

どういう写真が撮れるのか少しだけ作例を載せます。

まあまあ暗いお祭りの山車の写真ではありますが、昼間のように明るく撮れています。

カメラってこういう暗いシチュエーションだとどうしてもザラザラしたノイズが出て画質が落ちてしまいますけど、このレンズは口径がデカくて大量の光を取り込めるのでノイズの少ない綺麗な写真が撮れるわけです。夜に向いてるレンズだと言えます。

こういう写真も撮れます。どういう原理なのかはわかりませんが、口径がデカいレンズはピントの合う範囲が狭いという性質があるので、こういうボケボケの写真が撮れます。

このレンズは、3万という異常な安さでバカデカい口径を実現したせいで、写真の周辺部の画質がメチャクチャ悪くなってしまっています。このひまわりの写真なんて、四隅が黒くなってしまっています。四隅が暗くなるのをカメラの世界では周辺減光と言って、これが出るのは基本的に質の悪いレンズだとされます。でもそのおかげで逆にレトロで激エモな写真が撮れるとも言えるわけです。

F値がバケモン低いぞ!

さっきからおれが「口径」と呼んでいるものは、カメラの世界ではF値という数字で表されます(注:わかりやすさ優先でかなり雑な表現をしています)。

F値は低ければ低いほど口径がデカく大量の光を取り込めることを意味する数字です1。F値はレンズのスペックを表す非常に重要な数字なので、交換レンズの商品名にはほぼ100パー、F値の数字が入っています。テレビの型番にインチ数が書いてあったり、冷蔵庫の型番に何リッター入るかが書いてあったりするのと同じノリで、F値はそのくらい重要な指標なのです。

で、このレンズの名前はTTArtisan 50mm F0.95 Cです。名前からわかるようにF0.95のレンズです。F0.95!カメラに詳しい方ならわかるかと思いますが、メチャクチャな数字です。

(50mm単焦点の)CANON純正のレンズの場合、F1.8のレンズが3万円、F1.4が5万、最高スペックのF1.2が17万で売られています。1.2より小さいものはCANONの現行ラインナップには存在しません。口径が大きい(F値が小さい)レンズは作るのが難しいので、F値を少し下げるためにはものすごい金額の課金をしないといけないわけです。0.95という数字のヤバさがおわかりいただけるかと思います。

一応、現行ではライカがNOCTILUX-M 50mm F0.95 ASPHというレンズを売っているものの、お値段はなんと160万円です。F0.95は一般ピーポーが買えるレンズとしてはこの上ないくらいのハイスペックなのです。2

一方でこのレンズは3万円で買えてしまうわけです。安さの秘訣は、中華製でブランド力が無いのと、オートフォーカスが無いのと、設計がショボいので画質が良くないのと、本当はおれが使ってるデカいカメラよりもっと小さいカメラのために設計されているから(なのにおれが無茶してデカいカメラで使っているから)です。3

作例2

EOS RPというカメラ本体に装着して撮りました。10万くらいの中級者向けデジタル一眼ですね。断りのない限りF0.95で撮っています。

ピントをめちゃくちゃズラして花火を撮った写真です。真ん中のあたりは綺麗に丸くボケていますが、周辺はレモン型に変形してボケてしまっています。レモン型にボケるのは質の悪いレンズの特徴ではありますが、でもこういう作品を撮るならぜんぜんアリというか、むしろレモン型にボケてほしいまであります。おれはこういう、写真を見ただけでは意味のわからない写真(解説が必要な写真)って一枚の作品としてはあんまり好きじゃないんですが、しかしこのレンズだとめちゃくちゃボケでおもしろいのでついついたくさん撮ってしまいました。

この作例を含む組写真をおれのフォトブログに投稿しています。

ドン! – キネオーブがこんなに

マジで明るく撮れますね~。このレンズは「単焦点レンズ」と呼ばれるズームが出来ないタイプのレンズなんですが、ふつうの人がよく使うズームができるタイプのレンズはF4.0くらいが多いです。いろいろ計算すると、F0.95はF4.0の18倍もの光を取り込めるわけです。すごいですね。

ただ、口径をデカくした副作用としてピントが合う範囲がメチャクチャ狭くなってしまうので、こういうボケ感のある写真が良くも悪くも撮れてしまうわけです。この写真はたぶん警察車両にピントを合わせています。良く言えば映画みたいなボケボケの雰囲気のある画が撮れるわけですが、悪く言えばピントが合いづらく使いにくいです。

F値が小さい(口径が大きい)とピントが合いづらすぎて使いにくいので、どんなレンズにも意図的にF値を下げる(実質的な口径を小さくする)機能が付いています。そういう機能のことを絞りと言います。この写真は絞りを使ってF値を(たしか)2.8くらいまで落として撮った写真です。これでもまだボケボケですけど、遠くにある鉄塔もそれなりに視認できる程度にはボケが弱くなってます。

F0.95で撮るとこのように鉄塔がほぼ消滅します。それと、F0.95は明るすぎるので、晴天の昼間にF0.95で撮ろうとすると、このように全体的に白っぽくなってしまいます。4 そういうわけで、こういう大口径レンズを晴天下で使う場合はNDフィルターと呼ばれるレンズ用サングラスみたいな商品を装着する必要があるんですが、この日はNDフィルターを忘れてしまい、こういう明るすぎる写真を量産してしまいました。

このレンズが猛威をふるうのは夜間の街スナップな気がします。昼間に使うとボケ感と画質の悪さが際立って良くも悪くも異様な写真になってしまいますけど、夜の写真は大体みんなF値の低いレンズで撮りがちなのでこのレンズのような画でも違和感はさほどありません。画質の悪さも感度を下げられる点でうまいこと相殺できている気もします。カメラは明るさに合わせてセンサーの感度を自動で調節しているわけですが、感度を上げて少ない光をがんばって捉えようとするとノイズも拾ってしまうので画質がメチャクチャ悪くなる一方で、この写真は感度を一切上げずに撮ることに成功しているので画質がいいです。5 レンズの画質が悪くなるかわりにカメラ本体の画質が良くなるので相殺できるわけですね。このレンズを使えば手ブレしていないキレイな夜の写真を量産できるので正直メチャクチャ楽しいです。実はおれは夜の写真を撮るのがけっこう好きで、そのためにデジタル一眼を使ってるみたいなところもあるので、このレンズはメチャ気に入りました。

そういうわけでメチャ気に入ってます。買ってみるといいんじゃないでしょうか。

終わり。

せろりんでした。

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