せろりんでーす。せろりんは本州出身ですけど、ここ5年くらいは北海道に住んでいます。
そんで色々な場所に旅行に行きました。小樽、函館、札幌、帯広、稚内…有名な観光都市には大体行ったんですが、その中でも一番楽しいのはズバリ 夕張です。
夕張へ旅行しに行く、という人はあんまり居ないかもしれません。「あそこは何もないよ」なんて風評はよく聞きます。でも行ってみるとマジで楽しいし、良い場所です。行ったほうが良い理由を紹介します。
も く じ 🐬
夕張は廃墟がいっぱい!
夕張という自治体は昔は炭鉱で栄えた街でした。せっせと石炭を掘ってお金を稼いでいたわけですが、次第に石油が流行ってくると石炭はオワコン化してしまい、「炭鉱から観光へ」という韻を踏んだ謎のスローガンをもとに観光産業に投資し、「バリバリ 夕張」という韻を踏んだ謎のキャッチフレーズのもと、観光産業への転換をはかりました。
どっこい、いろいろあって観光客は思ったより来なくて、いろいろあって財政難になってしまいました。今では借りたカネを返すためにせっせと税をとり、せっせと公共サービスを切り詰めているので、「全国最低の行政サービスと全国最高の市民負担」なんて言われている自治体です。
炭鉱で栄えていたころ、夕張には11万人もの人が住んでいましたが、今では8000人を割る猛烈な過疎化が進行しています。そういう歴史があって、夕張は「昔は栄えていたけど今はそうでもない」という地方あるあるの極北を行く自治体です。
したがって廃墟がたくさん存在します。おれは廃墟マニアではない一般人ですが、廃墟がそこらじゅうにある光景というのはそのへんの街には無い物々しさを感じます。
メロン通年栽培場です。廃墟になっています。
駐車場が開放されていて、立入禁止などの看板も無いので建物自体は誰でも見ることができます(実は敷地内に入っちゃダメかもしれませんし、今後ダメになるかもしれないので自己責任で行きましょう。また、さすがに建物の中には入らないようにしたほうがいいでしょう。廃墟見物は自己責任でやりましょう)。
ここは、メロン栽培の展示と栽培技術の研究をしていた施設らしいです。使われなくなってしばらく経つようで、ドアのガラスが割られていたり、建物の中にゴミが散乱していたりします。今は一部が材木置き場になっているみたいです。
この看板によると、「メロン城」という城と「歴史村」という遊園地のようなものがあるらしいです。楽しそうですね。遊園地に行ってみましょう。
廃墟でした。めっちゃ入りたいですが、立入禁止と書いてあるのでやめます。立入禁止表示がある場所に入るのはマジでやめましょう(この記事では廃墟に立ち入ることを一切推奨していません)
遊園地の様子は外からでもある程度見ることができます。舗装された地面から草が生い茂っています。
気を取り直して次は「メロン城」に行ってみましょう。城があるのはすごいですね。
おれの出身地である山梨県は「フルーツ王国」を自称しています。王国って言うからには王様が独裁政治をやっていて、しかもお城が存在するはずですが、そういう真っ当な考察に反して山梨には城も王もありません。一方で夕張にはマジでお城があるって言うんだからすごいですね。
めろんのお城がすぐそこに・・・ドキドキしてきました。
お前も廃墟かい!
ちなみにこの写真は3年くらい前に撮影したものです。今はめろん城は立入禁止になってしまって、外からであっても見学することはできなくなっています。
あーあ、階段がボロボロになって雑草が生えています。ここも廃墟でしょうか?違います。ここは夕張市役所です。
夕張市役所もさすがに正門のあたりは立派ですが、隅っこのほうは管理が行き届いていないようで、所々ボロボロです。
このように、夕張には人が住んでいない廃墟やボロボロになった建物がいたるところにあります。
こうやって夕張を見て回ると、街が衰退するということ、若者が減るということ、お金がなくなるということ、そして人が住まなくなるということが、どのようなことなのか実感してしまいます。
とまあ、廃墟マニア見習いとして見物に行ってもよし、社会科見学として行ってもよしなのが夕張です。
夕張はメシがうまいぞ!
夕張名物といえばカレーそばです。カレーうどんの蕎麦バージョンですね。とろみのあるスープが丼の限界まで入っています。
これは「そば処 吉野家」という蕎麦屋のカレーそばです。蕎麦の細い麺がカレーのスープに絡んで美味しいです。
名物というわけでは無いのかもしれませんが、夕張の「のんきや」というお店のラーメンです。炭鉱で栄えていた時代から続く老舗らしいですね。具がたくさん入っていて美味しいです。
夕張はメロンがうまいぞ!
夕張には、高級メロンの代名詞・夕張メロンの販売所がそこらじゅうにあります。
旧夕張駅から徒歩2分、「夕張メロン市場」です。地元の人におすすめしてもらった場所です。
いつもやっているかは知りませんが、おれが行ったときは「夕張メロンがほぼほぼ当たる!」とか書いてある500円のガチャガチャが置いてありました。そんで500円入れて回してみたわけですが、ほぼほぼ当たるのでおれも当たりました。若干小玉ですが、このメロンがひと玉500円です。超安いですね。味もめっちゃうまいです。
さて、夕張メロンには等級があります。「良」「優」「秀」「特秀」という、くそいまいましい大学の成績みたいに4つのランクが存在します。
そんで、おれも北海道民の端くれなのでスーパーなどで夕張メロンを目にすることがあるんですが、「秀」はなかなか見ることができません。特秀となると、おれはもはや見たことがありません。「夕張メロン市場」にはその幻の特秀のメロンがありました。お値段なんと1万円!
もちろんこんなの買えるわけが無いので、店員のお姉さんに「特秀のメロン、見るだけ見てもいいですか?」と言うだけ言ってみたところ、「写真撮ってインスタでもなんでも載せちゃっていいよ!」と言われました。載せます。
「夕張メロン市場」で買った摘果メロンです。間引いた若いメロンですね。コーンで言うところのヤングコーンです。
柔らかいキュウリみたいな味です。甘さは無いです。詰め放題で購入して11個で200円でした。めちゃくちゃ安いですね。漬物などにして食べました。摘果メロンは夕張の道の駅「夕張メロード」なんかでも買うことができます。摘果メロンはそんなにメッチャ美味いものでもありませんが、安いのでおれは夕張に行く度に買っています。
旧夕張駅から徒歩0分、「Cafe & Sweets 和」では、夕張メロンの時期(夏)限定で夕張メロンパフェが提供されています。ここの夕張メロンパフェはマジでうまいです。
ここの夕張メロンはマジで段違いの美味しさです。目利きがうまいのか、食べごろド真ん中のメロンを提供しているからなのかわかりませんが、とにかくなんでか知りませんが自分で切って食べるメロンとは段違いの美味しさです。あふれる果汁、広がる芳香、こんなにうまいメロンは無いんじゃないでしょうか。
メロンパフェが無い時期でも大丈夫!夕張メロンソフトなら通年販売しています。これもマジでうまいです。
夕張にはでっかい青い池「シューパロ湖」があるぞ!
北海道・美瑛には、写真がマッキントッシュの壁紙に採用されていることで有名な「青い池」があります(上の写真)。絵の具で塗ったような青に、立ち枯れの木々。とても幻想的な池です。
どっこい夕張にはもっとでっかい青い池があります。シューパロ湖というダム湖です。
絵の具で塗ったような青に立ち枯れの木々!青い池みたいです。
美瑛の青い池は、光や天候によってメッチャ青く見えたり、そうでもなかったりしますが、それはシューパロ湖も同様です。シューパロ湖も青い時は結構青いです。季節や時間や天候によって様々な色をみせてくれます。
しかも、枯れた木が湖面から生えていて幻想的です。この木もきっとそのうち倒壊してしまうので、早めに見ておくといいんじゃないでしょうか。
シューパロ湖の下には街が沈んでいます。写真の橋は今も使われているものですが、それはそうと貯水量が減ってくると沈んでしまった橋などの建造物を見ることもできます。
夕張には夕張岳があるぞ!
夕張には夕張岳があります。おれは登山趣味を持つ人の端くれなので様々な山に登っているわけですが、夕張岳より素晴らしい山はそうそうありません。マジです。
夕張岳は600種類以上の高山植物が自生する高山植物の宝庫です。「日本二百名山」の一つであると同時に、「花の百名山」の一つでもあります。
おれは高山植物の名前を(シラネアオイ以外)一切知らない雑魚ではありますが、夕張岳には見たこと無い高山植物がたくさん生えていてとても美しいです。高山植物にあんまり興味が無いおれでもめっちゃ楽しめる山です。
北海道の山にはリスさんもいます。本州の山でリスに出会ったことは1回もありませんが、北海道では5回くらい出会ったことがあります。めっちゃかわいいです。自然が豊かで素晴らしいですね。いぢめないよォ!
なんといっても景色がめちゃくちゃいいです。本物はこの1万倍綺麗ですよ。
マジで楽しい山なので登山する人はぜひ行ってみてください。北海道旅行のメインイベントとして行っても損はしない素晴らしい山です。
(ただし素人だけで行く山としてはオススメしません。夕張岳は標高1668メートルのそれほど高くない山ですが、標高が低い割に体力的にかなりキツい山です。標高は低いですが、北海道なので夏でも寒いです。本州の3000m級の山と同じくらいの感覚で行くべきです。夏でも雨が降って風が吹けば山用の装備がないと死にます。山の上では天気予報は当てになりません。ヒグマも出ます。山小屋なんて無いし、本州の山と違って人もめったに通りません。危ないので登山慣れしている人と行きましょう)
夕張には石炭博物館があるぞ!
先程廃墟として紹介した「石炭の歴史村」ですが、遊園地は廃墟になってしまったものの、一部は営業しています。それが「石炭博物館」です。
ただし博物館の入り口部分はだいぶ廃墟っぽいです。営業中の施設の入り口の階段にこんなに落ち葉が貯まることある?
博物館の常設展に入ると、いきなり「全国最低の行政サービスと全国最高の市民負担」などと書いてあって、迫力があります。初手から夕張の歴史の負の側面に触れています。
常設展の最初のほうは文字多めで見応えがあります。
「国は石炭を無理やり増産しようとしたが、無理な増産計画に不満を持った労働者は、過剰な量の石炭を採掘機械に乗せるなどしてをこっそり設備を破壊しサボタージュを行った」みたいなほっこりするいい話が書いてありました。
常設展の後半は炭鉱っぽい雰囲気の地下に移ります。モノ多めの展示です。これはたしか採炭救国坑夫の像という彫刻のレプリカです。採炭救国とかいう言葉が昔っぽいですね。過酷な肉体労働でせっせと石炭を掘ることが救国になる時代のお話です。カッコいい像と全体主義っぽいスローガンで労働者の士気を発揚しようとする一方で、採掘機械を破壊してサボる労働者もいたというのはとても面白いことです。
蝋人形がたくさんあります。ノミとハンマーで石炭を掘ってシャベルで炭鉱の外に出していた時代の様子です。
アカギのスピンオフ漫画「ワシズ -閻魔の闘牌-」で鷲巣様が「男たるもの肉体も鍛えなければならない」とか言ってツルハシ一つで北海道まで石炭を掘りに行く話を思いだします(その後、人間くらいのサイズの巨大麻雀牌を使って行う「人間麻雀」が炭鉱の中で開催されるという謎すぎるストーリーが展開されます)。
さて、石炭博物館には別館のようなものがあります。模擬坑道というもので、本物の炭鉱をそのまま博物館の展示にしたものです。実際に使われていた設備などが展示されていてガチで面白いです。
ところがどっこい、2019年に炭鉱火災が起こってしまい、今は見学できなくなっています。模擬坑道はガチで面白いので非常に残念です。早く復旧してほしいですね。
実は最近まで博物館の本館のほうはリニューアルのため長い間休館していました。そんで、本館のほうがリニューアルオープンしたと思ったら、今度は模擬坑道が火災になってしまいました。なんて運が悪いんでしょう。本館も模擬坑道も開館している完全バージョンを早く見たいですね。
夕張にはヨーグリーナお姉さんがいるぞ!
3年位前でしょうか。まだ夕張支線が走っていた頃、自転車で夕張まで行って、夕張駅の近くの自販機で水を買おうとしたときの話です。水かなにかを買おうとして自販機に手を伸ばすと、エプロンを着ていて、おそらく近くで働いているお姉さんが話かけてきました。
「ヨーグリーナ?」
「え?いや、水です。ヨーグリーナは美味しいらしいですけど飲んだことないですね・・・」
「そう。めっちゃ美味しいよ!」
「そうなんですね・・・。凍らせても美味しいらしいですね」
「あー、めっちゃ美味しいよ!」
そう言ってお姉さんはヨーグリーナを買って去っていきました。これはその後、なーんかヨーグリーナが気になってしまって新夕張駅の自販機で買ったヨーグリーナです。めっちゃ美味しかったです。あのお姉さんはなんだったんでしょう。ヨーグリーナの妖精でしょうか。謎です。
何が言いたいかというと、夕張はとても気さくな方が多いということです。おれもいろいろなところに旅行に行きましたけど、ここまで親切な人が多い街というのは知りません。たまたまかもしれませんけど、夕張の人は結構話しかけてきます。おれは4回夕張に行きましたが、毎回のように誰かに親切に話しかけられています。おれは見た目が陰キャラ丸出しなので、旅先で誰かに話しかけられるというのは結構めずらしい体験です。
たとえば、喫茶店で友人と「お土産のメロン、どこで買おうか」なんて話をしていると、お店の人がオススメのメロン販売所を教えてくれます。メロン販売所に行ってみると、特に何か聞いたわけでもないのに夕張メロンのいろいろなことを教えてくれます。石炭博物館の人もとても親切に案内をしてくれます。かといって押し付けがましいわけでもなく、とてもちょうどいいです。おれは人格が終わっているので「人の暖かみ」みたいなのを売りにしている観光地レポートってあんまり信用できないタイプなんですけど、夕張だけはガチだと思っています。
北海道旅行は夕張に行け!
このように自然も歴史もグルメも人も最強という街が夕張です。
夕張の人が自分の街のことを「この街なんにも無いでしょ」なんて言うのをおれは何回か聞きました。でもおれは見どころがたくさんあるとてもいい場所だと思います。
おまけに札幌から車で2時間、新千歳空港から1時間で行ける近さも魅力です。北海道旅行で夕張に行かない手はありません。ぜひ行ってみましょう。
終わり。
せろりんでした。
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