せろりんです。
世界一うまい料理って何かご存知ですか。
そんなの決められるわけがないですし、決めることに意味があるとも思えないですし、あらゆる意味で無意味な問いかけだとは思うんですが、それはそうとタイのマッサマンカレーが世界一うまいとする説が割と有名です。
そういうわけで、タイ・バンコクでおそらく一番有名なマッサマンカレーのお店に行ってきました。バンコクで一番有名ということは世界で一番うまい可能性があるわけで、つまり世界一うまいかもしれない料理が世界一うまいかもしれないお店だということです。
世界一のガバガバ理論ではありますが、この記事はそんな感じのガバガバ記事です。
世界一うまい料理はマッサマンカレーらしいぞ
世界中のおいしい料理をランク付けした調査はいろいろあるわけですが、割と有名なのは、CNNトラベルの「The world’s 50 best foods」と題するランキングでしょう。
この記事で栄光の1位に輝いたのは、タイのマッサマンカレーとかいう謎のカレーです。
ただし、このランキングはなかなかツッコミどころが豊富で、50位にポップコーンとか48位にポテチとか39位にケチャップとか34位にメープルシロップとか29位に近江牛ステーキとか13位にトウモロコシとか9位にアイスクリームとか3位にチョコレートとか入っていてオイオイオイと言いたくなります。
こんなの記事書いた奴の主観でしかないだろ、と思いますし、そもそも料理の美味しさ自体にランク付けをしようという発想に無理がある気もします。とはいえ、おれの知らない料理がたくさんランクインしていてなんだかガチさを感じますし、けっこう有名なランキングであるのも事実です。どこかでこの謎ランキングを見たことのある人も多いんじゃないでしょうか?
このランキング以外だと、インドネシアのルンダンが1位だとするランキングとか、日本のカレーが1位だとするランキングとか、いろんなパターンがあるにはあります。ただ、一番有名なのは、たぶんマッサマンカレーが1位だとするランキングでしょう。検索でも、基本的に1位にはこのランキングが出ます。このランキングが有名なのは、おそらく松屋で期間限定メニューとしてマッサマンが発売されたときの宣伝文句に「世界一美味しい料理」と書かれていたからなんじゃないかと睨んでいます。
この手の、数的な評価が難しい対象を比較しているランキングの正当性を判断することは極めて困難です。正当性を評価する上で最もマシな方法は「権威を信じること」であると、我々は認めざるを得ません。一応、投票によって民主的にランキングを作ることも可能といえば可能ですが、そういう方法は衆愚的になりがちですし、よほどうまくやらないとランキング自体が単なる知名度ランキングになってしまいます。たとえば、渋谷のハチ公前で適当に選んだ日本人100人にアンケートをとって投票で”世界の”偉人ランキングを作ろうとすると、坂本龍馬や、ひろゆきや、忠犬ハチ公がそれなりに上位になってしまうわけです。世界の偉人ランキングは、世界中のあらゆる地域の歴史と文化と学問に精通していて、なおかつエヴァリスト・ガロアからチェ・ゲバラから尾田栄一郎まで様々なタイプの偉人の功績を深く理解し、しかも公正に比較できる人、つまり権威のある人が作らなければ意味がありません。まあ、意味がありませんとか言い出すのであれば、数的な評価ができないものをランキングにしようとする行為自体にそもそも意味が無いのかもしれないですが、とはいえおれは強さランキングブロガーです。ランキングを作ってあれこれ言い合う文化がとても好きなので、どれほど意味のないランキングであっても、存在しないよりは存在していてほしいと思うわけです。ということで、ひとまずはマッサマンが世界一うまい料理であるという主張を認めることにしましょう。
マッサマンカレーがバンコクで一番有名な店に行くぞ!
マッサマンが世界一おいしいカレーだとすると、世界一おいしいマッサマンを出す店に行きたくなってくるのが人情というものです。もちろんマッサマンを出す店は世界中にあるわけで、その中から真の1位を選ぶのは完全に無理であり、同時に完全に無意味でもあります。そもそも”真の1位”ってなんだよという話でもあります。おれにとっての1位でしょうか?人類全体から無作為に1万人くらい選んで全員にあらゆるマッサマンを食べさせて投票で決めた場合の1位でしょうか?海原雄山みたいな美食の鬼にとっての1位でしょうか?謎は尽きません。とはいえ、どうせタイに行くなら、どこかしら1位っぽさのある店の見当を付けて、その店に行ってみたいのも事実です。
そういうわけで、マッサマンはタイ料理なので、タイの首都・バンコクで一番おいしいマッサマンの店が世界一美味しいマッサマンの店だろうとあたりをつけます1。で、「バンコク マッサマンカレー 有名」とか「マッサマン 美味しい バンコク」でググると、「クルアアロイアロイ」という店の情報がめちゃくちゃ出てきます。
英語で検索しても似たような結果になります。Googleの言うことが絶対に正しいのか?Googleが死ねと言ったら死ぬのか?という話になる気もしますが、まあおれはGoogleが死ねと言ったら死ぬので別に問題ありません。
あとタイ在住Youtuberみたいな人も絶賛していて、実際の評判を見てもかなりガチっぽさがあります。
ここに行ってみることにしましょう。
クルアアロイアロイに行くぞ!
やってきました。
マッサマンを注文します。この店では鶏肉のものと豚肉のものが用意されています。”マッサマン”は”イスラム教の”という意味なので鶏肉を使うのが王道らしいですが、おれは普通に豚のほうが好きなので豚を頼みます。
カレーが100バーツ、米が10バーツです。460円くらいですね。世界一うまい世界一うまいメシ説がある料理にしてはメッチャ安いですね。
ウオ~、死ぬほどウメェ~。ココナッツミルクの濃厚なコクと風味がガツンときてめちゃくちゃうまいです。塩気がきいていてかなりワイルドな味わいでありながら、スパイスの繊細な風味と、しっかりとした甘みでバランスをとりにきています。震えるくらいうまいです。
具がゴロゴロなのもいいですね。デカいタマネギにデカい豚肉、そしてなによりデカいジャガイモが最高です。おれは”カレーにジャガイモを入れるな高校”の出身で、毎日毎日母校のことを思い出しながらカレーにジャガイモを入れるな高校校歌を歌っているわけですが、このジャガイモは硬さといい味の染みといいマジでちょうどいいです。カレー全体の味が濃い目なので米とも合います。
朝日が昇るワットアルン
カレーにジャガイモを入れるな高校校歌
カレーにジャガイモを入れるな
味がぶっ壊れるだろ
まあ入れても良いけど入れるんだったら大量に入れた上でライスと合わせずに単体で食うべきだろ
お好み焼きで米行かんだろ?
あと入れるにしてもジャガよりサツマイモのほうがうまい
ジャガイモはサツマイモの下位互換
母なる大河チャオプラヤと生きる
ああ 我ら 我ら 我らがカレーにジャガイモを入れるな高校
あたりまえのことですけど、米がタイ米なのもうれしいです。おれは日本のカレーも普通に好きなんですけど、とはいえ実は他の日本人ほどは日本のカレーが好きではありません。通常の大和男子は給食がカレーだと狂喜乱舞するかと思いますが、おれは給食でカレーが出ても、特にガッカリもしないけど喜びもしないガキでした。
理由はわかっていて、日本のカレーは米が甘すぎてルウとの調和が取れていないと思うからです。おれは自炊でカレーライスを作るときはわざわざタイ米を炊いたり、日本米であっても玄米を炊いたり、あるいはジャガイモかサツマイモをたくさん入れるかわりに米を一切使わなかったりして凌いでいました。でもタイ米ってあんまり甘くなくて粘りも少ないのでカレーにメチャクチャ合うんですよね。日本のカレーも全部これになってほしいです。
そういうわけで世界一うまい世界一うまい料理説がある一皿をいただいてきました。まあ、ここ1年間に食べた食い物で3本の指に入るくらいにはメチャクチャうまくて感動的だったんですが、これが世界の最高オブ最高とは流石に思わないです。
たしかに本場のマッサマンって(この店のものに限らず)震えるほどうまくて、世界の料理でもトップクラスに完成度が高いと思いますけど、1位なのかと言われるとなんとも言えないところです。震えるほどうまいと感じるのも食べ慣れていないから震えるのであって、ずっと食べていれば慣れる気もします。
マッサマンもうまいですけど、日本のカレーもめちゃくちゃ美味しいと思いますし、讃岐うどんとか家系ラーメンとかも美味しいですし、焼肉とか鱧とか唐揚げとかもうまいです。ハンバーガーやマルゲリータやパエリアやビリヤニや麻婆豆腐もうまいです。タイ料理でもパッタイやカオマンガイやソムタムだって超うまいです。世界には震えるほど美味しい食べ物や食材が溢れているわけで、普通に考えて誰もが納得する1位を決めるのは無理なんだというわかり切っていた結論に行き着くわけです。
あとおれはチョコモナカジャンボがめちゃくちゃ好きなので世界一美味しい料理は普通にチョコモナカジャンボな気もします。
タリンプリンに行くぞ!
別の有名店にも来てみました。タリンプリンというバンコクに何店舗かあるお店で、日本人旅行者には有名なお店っぽいです。ここも検索で上位に出てきますし、タイ在住Youtuberも絶賛しています。
バンコクにしてはちょっと高めのお店ですが(とはいえ日本の平均的なファミレスくらいの相場感です)、衛生的で、バンコクに何店舗かあって、タイ料理はだいたい置いてあって、何を食ってもうまいのでマジでおすすめです。
ここのマッサマンはロティとかいうパイ生地みたいな小麦粉の料理がついてきて、カレーをつけて食べるスタイルです。マジでうめえ~。生地がサクサクで甘みがあって、これだけで行けます。
カレーはさっきの店より濃厚で、風味が強くてメッチャうまいです。個人的にはさっきの店よりこっちのほうがうまいです。マジでうまくて暴君ハバネロを食ったアメリカ人のコピペみたいになりました。そううわけで、バンコクにはうまいマッサマン屋さんが他にもいくらでもありそうです。
タイ料理のうまさは異常
タイ料理ってマジでうまいんですよね。
さっきの謎ランキングにも、1位マッサマン、8位トムヤムクン、45位シンガポールチキンライス(タイのカオマンガイとほぼ同じなので実質タイ料理)、46位ソムタムと、4つもランクインしています。世界には196も国があり、ランキングには50個しか枠がないことを考えると異常な多さです。
まあこのランキングは全体的にアジア料理を過大評価しすぎな傾向がある気がしますが、タイ料理がうまいのはガチです。
たとえばこれは、タリンプリンで頼んだ”ソムタム”です。青パパイヤとかいう謎の野菜を千切りにして、インゲンとかライムとかトマトとか干しエビとかナッツを入れてナンプラーなどで味付けしたタイの伝統的なサラダです。
青パパイヤはごぼうみたいな食感で歯ごたえがあってめちゃくちゃうまいですし、ナッツや干しエビとの食感のコントラストが最高です。なにより、酸っぱくて、甘くて、しょっぱくて、旨味のある味付けがメッチャうまいです。
サラダって普通はあくまでも前菜としていただくサイドメニューで、料理としてはナメられがちなわけですけど、ソムタムはあまりにもうまいので謎ランキングでも46位に入っています。
これはティップサマイって店の「パッタイ」です。パッタイはタイ風の焼きそばです。卵とか豆腐のふわふわ感と麺のもちもち感とモヤシのシャキシャキ感が同時に攻めてきてマジでうまいです。おれはパッタイがマジで好きで、日本でもよく食べます。
ティップサマイはバンコクだと一番有名なパッタイのお店だと思います。つまり世界で一番うまいパッタイの店である可能性があります。
ホテルの近所にあったอากุ้ย ผัดไทหอยทอดという食堂のパッタイです。昼飯を食べようと思ってなにも考えずにてきとうに入ったんですが、ここで食べたイカ入りパッタイがガチでメチャクチャうまくて、その日の夜にも食べに来てしまいました。さっきの店もメッチャ美味しかったですがこっちのほうが断然うまいです。
パッタイってガチでうまくて、なんでこんなにうまいんだろうと思って調べたことがあったんですが、どうやらパッタイは1930年代に政府主導でタイ人のナショナリズムを高揚させるための国民食としてコンテストでつくられたんだそうです。つまりパッタイは日本で言うところの国家神道にみたいな存在なわけで、そりゃうまいに決まっているのです。
タイ料理といえばガパオライスも有名ですね~。同じくอากุ้ย ผัดไทหอยทอดで食べました。”ガパオ”とはホーリーバジルとかいう謎の草のことで、日本でよく見るスイートバジルとは別物らしいです。日本だとホーリーバジルが入手困難なので基本的にスイートバジルが使われますが、これは本場のガパオライスなので恐らくホーリーバジルを使っています。スイートバジルとの違いはよくわかりません。
「カオソーイ」もうまいですよね~。ココナッツミルクベースのカレーラーメンです。ふつうの中華麺のほかにパリパリの揚げ麺が乗っているのがにくい演出です。
タイ料理って味付けがとにかく多彩で、ナンプラー、ココナツミルク、砂糖、味の素、唐辛子、スパイス、柑橘、タマリンド、パクチー、レモングラスといろんな武器があるのがズルいです。特に、タイ料理は味の素をバリバリ使うので日本人の口に合う気がします。
カオマンガイも有名ですね。鶏の出汁で炊いた米に茹でた鶏を乗せて、タレをかけて食べる料理です。この料理は東南アジア全般でよく食べられている料理で、シンガポールチキンライスとか海南鶏飯とかコムガーとか、2別名がたくさんある定番料理です。
これはスワンナプーム国際空港のフードコートで帰国直前に食べたカオマンガイです。ついでにソムタムも頼んでいます。ソムタムはうまいので売ってたら迷わず食ったほうがいいです。
おれが頼んだのは、カオマンガイのうち半分をカオマンガイ・トート(フライドチキン)にしてもらったバージョンのカオマンガイです。日本のカオマンガイ屋さんはガイをトートにしてくれないことも多いですが、タイではわりとやってくれるのでうれしいです。カオマンガイってうまいんですが、どちらかというと素材の味を生かしたあっさり料理なので気分じゃないことも多く、そういうときにカオマンガイトートの選択肢があるのはマジでうれしいです。
タレをかけて食べます。黒いタレが甘くてメッチャうまいです。和食ってわりと砂糖を使いまくりがちですけど、タイ料理も味付けが甘めなので日本人の口に合う気がします。
同じく空港のフードコートで入国直後に食べたマッサマンカレーと、ソムタム・トート(揚げたソムタム)です。マッサマンはやっぱりめちゃくちゃ美味しくて、特にデカいジャガイモが神です。
ソムタムトートはゴボウのかき揚げみたいな感じなのかな、重いのかな、と思っていたんですが、実際はガリガリボリボリに揚がっていてペロっと食べてしまいました。メッチャうまいです。タレにはトウモロコシやトマトなどいろんな具材が入っていて、いろんな味がしてうまいです。
タイ料理っていろんな野菜やハーブやスパイスのフレッシュさを、甘みや酸味や旨味や辛味で完璧にまとめ上げていて、繊細さと大胆さとかいう相反する性質を一皿に両立させている最強料理なんですよね。
そういうわけでタイ料理はうまいという話でした。
せろりんでした。
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