せろりんです。
センター試験でしたね。センターには謎科目があります。たとえば英語の代わりに受験することができる「ドイツ語」や「フランス語」、数学ⅡBの代わりに受けることができる「情報関係基礎」「簿記・会計」などです。
ドイツ語フランス語は謎ですが、この世には数学ⅡBの代わりに簿記会計や情報を勉強する高校が存在するので、そういう高校の人たちのためにそのような科目があるわけです。
おれは商業高校出身で、しかも最近日商簿記2級を取得した人間なので、このタイミングでセンター簿記解かないわけにはいかんだろ、と思ったため遊びで解いてみました。ちなみにおれはセンターで「情報関係基礎」を選択した謎科目経験者でもあります。謎科目経験者の視点も交えて解説します。
誰でも受験できるけど点数にはならないかもしれないぞ!
センター簿記会計は数学ⅡBの代わりに受験することができる科目です。ただし注意しなければならないのは、受験するだけなら(大学入試センターのゲロ高い受験料を払えば)誰でも可能なんですが、志望校が点数として採用してくれるとは限らないということです。
大学入試でセンター簿記会計の点数を数学ⅡBの代わりの点数として採用してくれるのは商業高校に通ってる人のみ、あるいは簿記関係の単位を取った人のみ、というケースが多いです。普通科の進学校に通う人間が簿記会計や情報やドイツ語で100点取ったからって、100点取ったんだから大学入れろよコラと願書を出しても、多くの場合は点数としては採用してくれずに0点扱いになるか、受験資格無しとみなされるでしょう。
また、大学や学部学科によっては、受験生がどういう高校に所属していようが簿記・会計や情報関係基礎を点数として認めてくれないところがあります。
というかこの記事は受験の素人が書いているので、真に受けないようにすることをおすすめします。おれみたいなぺーぺーに他人の人生の責任は取れません。受験は超大事なので、センター簿記会計を使ってガチ受験をしようと考えている人は、高校の先生と志望する大学の学務課に必ず相談しましょう。
簿記・会計ってどんな科目?
普通科の高校に通っている人は、簿記や会計といったものがそもそも何なのかわからないかもしれません。
簿記とは決算書を作る技術のことです。決算書というのは、企業がどのくらい借金しているのかとか、最近どれくらい儲けたのかとか、売上がどのくらいあるのかとか、そういった会社に関係するお金の情報がまとめて書いてある書類のことです。
多くの会社は年に1回から4回ほど、この決算書と呼ばれる書類を作っていろんな人に見せびらかします。銀行や株主などの投資家や、税務署や、自分の会社の経営者や、その他社会の皆々様に見せびらかします。
たとえば投資家は、いろいろな会社の決算書を机にバーっと並べて、そのデータをもとに投資先を選ぶわけです。
その決算書を作るための技術やルールを学ぶのが簿記という学問です。当然ですが決算書は公的な書類なので、統一的なルールに基づいて厳密な計算を行って作る必要があります。計算方法の違いで会社の規模や業績を示す数字が変わってしまったら皆が困ります。だから記録や計算にはルールが必要なのです。
商業高校に通う人のほとんどはこの簿記というやつを勉強しますし、大学で商学部・経営学部あたりに進学する予定がある人は(センターでいい点を取ることができれば)晴れて大学で簿記を勉強することになるでしょう。
今の日本では、広域暴力団・日本商工会議所という団体が運営する「日商簿記検定」という資格が人気です。文系の大学生はわりと多くが日商簿記検定の2級か3級を引っさげて就活を行います。
「会計」はと言うと、決算書を作るためのルールを作ったり、今あるルールを見直したりするための学問です。公正で妥当なルールを作るには、どうしてそのルールが必要なのか、どういうルールを作れば公平なのか、ということを考え続けないといけません。そういうことを考察する学問が会計学です。
簿記も会計学も、どちらも正確な決算書を作るための学問です。そういう知識はビジネスをやる上で大いに役に立つだけでなく、今の社会を理解するために必須のものです。京セラの創業者・稲盛和夫氏に言わせれば、簿記・会計がわからない人が経営をやるのは飛行機パイロットがコックピットの計器を見ないで空を飛ぶようなものなのだそうです。だから日商簿記検定は(運営団体がクソなのに)人気の資格だし、簿記・会計の知識は多くの大学生に要求される知識だし、挙句の果てにセンター試験の科目にまでなるわけです。
問いてみるぞ!
さてセンター簿記会計は以下のサイトで問題と解答を見ることができます。
2018年の問題を解いていきたいと思います。ちなみにおれは商業高校で全商2級と全商1級工業簿記を取得し、その後大学(工学部)に進学、3年生の冬(2ヶ月ほど前)に日商簿記2級に70点でギリギリ合格した人間です。正直言って簿記は得意じゃありません。この記事を書いている時点で、2級取得後に2ヶ月ほど簿記の勉強をしていないので、貸倒引当金を設定する仕訳を思い出すのに30秒ほどかかるというポンコツと化してしまいました。
それはそうと、いまの大学には「情報関係基礎」の点数を使って入ったため、センター謎科目には多少自信があります。ちなみに情報関係基礎は選択問題のマークをミスってごっそり点を落とし40点とか散々な結果でした。まあ受験した年の数学ⅡBの平均点が40点くらいであったことを考えるとさほど酷い結果なわけでもないと思いますが、選択問題の選択のしかたはちゃんと事前に模試などで確認しておくと良いです。センターの情報関係基礎や簿記・会計の模試なんてこの世に存在しないので、(1問も解けなくてもいいので)数学ⅡBの模試を解いてマークの仕方を確認しときましょう。おれは確認しなかったので死にました。大学には受かったので結果オーライではありますけど。
そんで解いてみました。印刷してもいいですがめんどかったらパソコンの画面を見ながらやってもいいでしょう、おれはめんどかったのでパソコンでやりました。
解いてみると・・・
問1・・・資産が75円純資産が60円のとき負債がいくらなのかという・・・つまりB/Sに表示される要素がどういう関係になっているのかを問う問題ですねー・・・あれ・・・?めっちゃ簡単では・・・?こんなの簿記の学習をはじめて最初の10分で習うことじゃん・・・
そんな調子でまあ、さすがに1問目は簡単すぎるものの(センター数学も1問目は特に簡単ですもんね)、大問Aでは日商3級レベル簿記の基本原理を問う問題や、取引によって資産や負債といった要素がどう増減するのかを問う、といった割りとヌルい問題が中心に出題されます。商業高校の1年生でも満点取れておかしくないレベルですね。
日商や全商や全経の簿記検定は電卓持ち込み可ですがセンター試験は電卓持ち込み禁止なので、暗算でも解けるように数字の桁がめっちゃ小さいです。純資産60円の会社ってなんやねん。
続いて大問Bでは、出張中の従業員から当座預金に10円振込があったが詳細が不明なときの仕訳・・・など、そんな難しくない仕訳の穴埋めをする問題が数問出題されていました。全商3級のテキストレベルの問題ですね。
指定暴力団日本商工会議所が運営する日商簿記検定では日商語と呼ばれる解読不能の謎言語で問題が出題されることがありますが、センター簿記会計にはそういった難解な言葉遣いはありません。正直簡単です。
ウームまあ、T字勘定と仕訳の関係を問う問題も出題されていて、それに関しては日商の勉強ばっかりしてきてT字勘定に不慣れな人や、簿記にご無沙汰してる人は少し戸惑うのかな?と思わなくもないですが、やはり簡単です。
大問Cは、会計学(全商簿記1級会計の知識)を中心に知識を問う問題が出題されました。おれは3年くらい前に全商1級会計の勉強をすこしだけしていたので、概ね解けたは解けたのですが、知識が曖昧だったのでそこそこ難しく感じました。といっても、いま現役商業高校3年生で全商1級会計の知識バリバリだぜ、という人にとっては、おそらく簡単な問題でしょう。
そんなことを考えながら解いたら、25分ほどで全部解けてしまいました。数学ⅡBが時間との勝負で最後まで解けないことも珍しくないのを考えると、時間が35分も余るというのはヤッベーという印象です。人生かかってるガチ受験だったら時間が余ったら見直しをするわけですが、人生がかかっていないのでそんな面倒なことはしません。採点します。
採点するぞ~
そういうわけで採点したら96点です。うーむどうせなら満点がよかったという気もしますが、平均点が50点くらいを推移している数学2Bの代わりの試験であることを考えると、おれごときが96点を取れるというのはわりと驚異的です。現役のときこの点数取れてたら合格発表まで相当気持ちが楽だったろうなーーーーーーーーーー
ちなみに間違えた「シ」は、事業主の所得税を店が払ったときの仕訳(純資産の減少)を問う問題ですが、事業税を支払ったときの仕訳と読み間違えてマイナス2点です。ア~~しょうもないミスしてしまった・・・あと一応言い訳なんですが、引出金は日商簿記3級だと出てくるけど、日商2級だと出てこない科目です。言い訳ですが、おれは日商3級をすっ飛ばしていきなり2級を受験したので引出金は全然覚えていませんでした。
同じく間違えた「ネ」は、「会社法における計算書類には含まれないが金融商品取引法における財務諸表には含まれるもの」を、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、損益計算書、株主資本等変動計算書の中から選ばせる問題です。これは全然わからなかったです。貸借対照表と損益計算書は基本だからどっちにも含まれるとしてキャッシュフローか株主資本等変動計算書のどっちかだよなーと悩んだ末に株主資本等変動計算書を選んで見事バツ、という完全なおれの知識不足でバツもらってしまったやつです。
そういうわけで、「簿記・会計」のうち簿記の部分は、全商なら2級合格レベル、日商なら3級合格レベルの能力があれば、2018年の問題であれば8割から9割くらい取れるな、という印象です。
ただ、ことしは特に簡単だったようなので、ほかの年の問題を解く場合はもうちょっと点数が落ちるかとは思います。ほかの年の簿記・会計の問題を見ると、さすがに今年ほどヌルい年はあまり無いようなので、日商簿記2級程度の簿記の知識があったとしてもさすがに毎年9割強の点数を取れるかというと微妙です。
会計の勉強はある程度しよう
クセモノなのが会計の部分です。これは全商1級会計の勉強をざっとやっておかないと厳しいといった印象を受けました。日商1級の勉強をしたことがある奇人変人は知りませんが、2級までの日商簿記の勉強しかしていない人は会計学の知識がほとんど無いはずなので、ここで苦戦するかなーと思いました。そうは言っても会計学分野の問題も難易度はわりと低いようで、全商1級会計合格レベルまで行っている人なら良い点を狙えてもおかしくないのではないでしょうか。
ちなみにここ数年の簿記会計の平均点は60点前後なので、100点近く取れる人もいれば、30点とかそのくらいしか取れない人も恐らくいるわけです。おれはたまたまいい点が取れましたがあまりナメずにしっかり勉強しておくのが良いでしょう。
はい
そういうわけで、センター簿記会計は年によっては9割も狙えるかもしれない試験なわけです。商業高校に通ってるけど一般受験したい、という人は過去問解いてみて、点数が取れたら簿記を選択してみてもいいのではないでしょうか。
それはそうと簿記検定の学習をしている人は、気分転換でセンター簿記・会計を解いてみて、おれのように「○○点取れたぜ!」とイキり倒すのも楽しくていいかもしれません。おれは楽しいです。終わり。
せろりんでした。
この記事は、当サイトの前身「日本霜降社」に掲載されていた記事を移転したものです。
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