「光のとこにいてね」聖地巡礼 串本で特急からプリウスを探すぞ!

オーディオブック

せろりんです。

光のとこにいてねの聖地巡礼をしてきました。

えっ!光のとこにいてねを読んでない!?

そんな・・・いい作品なので読んだほうがいいですよ!ボロい団地で出会った二人の女性が四半世紀の中で繰り返す出会いと別れを描いた小説です。


Audible会員ならすばらしい朗読が定額で聴き放題です。まだAudible会員になっていない人は最初の1ヶ月無料なのでぜひ。おれもAudibleから入りました。

Audibleで聴いてウオ~ってなった後、字でも読んでみたくておれは単行本も買いました。紙の本の場合、初版には、団地の隣の部屋に住むストロングヤンキーお姉さんチサさんとヒロインの果遠さんとの交流を描いたスピンオフが載った小冊子が付いてきます。古本屋などで初版をがんばって探して買ってみるといいんじゃないでしょうか。わりと売ってるのを見ます。

「光のとこにいてね」は第一章「羽のところ」、第二章「雨のところ」、第三章「光のところ」の三章立てになっています。羽のところと雨のところは聖地がよくわからないですが、光のところは和歌山県の串本が聖地です。そういうわけで行ってきました。

ここからは割りとしっかりとしたネタバレがあります。

茂みのところ

新宮で止まって、どうしようかと思いながら駅前をうろうろしてる時、すれ違った人にじろじろ見られた気がして急に怖くなった。大きな神社を見つけて、柵の内側の茂みを進んでるうちに転んで動けなくなった。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.429より

直と瀬々が遭難していた神社に行ってみます。ただ、一応それっぽいところに行ってみたものの、正直そこが本当に聖地なのかはよくわからなかったです。

デカい神社なんて一つの駅に一つしかないだろうし、行けばなんとなくわかるだろうと思って新宮駅にやってきました。けど、看板を見る限り、このへんは有名な神社がたくさんあるらしいので特定は無理な気がします。

「新宮」の名前の由来になったのが熊野速玉大社らしいので、流石にここなんじゃないだろうか、ということで一か八か行ってみます。

けっこう立派な神社です。

「柵の内側の茂み」ってこんな感じのところでしょうか?うーん、茂みになっている部分は小説のイメージよりだいぶ狭くて、流石にここは違うような気もします。どうなんでしょう。地元の人だったらどこが聖地なのかピンとくるんでしょうか?

本州最南端のところ

ゆるい下り坂を歩いて、この一帯でいちばん高い建物、展望台付きの観光タワーにたどり着く。

一穂ミチ(2022),光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.190より

これは潮岬観光タワーのことですね。タワーに登ると本州最南端訪問証明書をもらえます。

このあたりで養殖しているというまぐろの丼を頼んだ。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.191より

結珠さんが最初に串本にやってきた日に食べていたマグロです。作中でも度々描写される通り、串本はいわゆる近大マグロの産地です。

この食堂は15時半で閉まってしまうので、聖地巡礼に行く人は早めに訪れるといいでしょう。おれはうっかり営業時間を調べずに行ったらお店が閉まっていたので、出直して翌日にわざわざ食べに行きました。おいしかったです。

明朝五時、灯台前駐車場のところ

「明朝五時、灯台前駐車場」とだけ送ったメールはエラーにはならなかった。
わたしが指定した、灯台近くのだだっ広い駐車場にちゃんと藤野は現れた。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.220より

果遠さんが藤野を呼び出したシーンですね。アポの取り方がメチャクチャすぎるだろと思わなくはないですが、ともかくおれも行ってきました。

串本には実は灯台が2つあります。最南端の灯台と、日本最古の灯台です。そういうわけで、この極めて不親切なメールに、引っ越してきたばかりの藤野はGoogleMapを見ながらさぞ戸惑ったでしょう。

とはいえ、日本最古のほうは街から遠すぎる上に、駐車場もそれほどだだっ広くはないので、この場合は最南端のほうが正解でしょう。

マジでだだっ広いですね。駐車料金は300円です。藤野と果遠さんは訪れたのが早朝すぎるのでおそらくお金を払っていないです。

小説を読んだときは、すぐ近くに灯台が生えてて海も見える断崖絶壁、みたいなドラマチックな場所を想像していたんですが、そんなことはなく灯台までちょっと歩く位置にある普通の砂利の駐車場でした。

しばらく歩くと灯台が見えてきます。

トルコ記念館のところ

「灯台、すぐそこの岬と、あっちの島にもあるけど、どうする?両方回る?」
直くんのことだから「近い方で」と気を遣うのかと思いきや、意外にもはっきり「島の灯台を見てみたいです」と答えた。結珠ちゃんと、ささやかなピクニックをしたところ。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.332より

直くんたちが行ったのは日本最古のほうの灯台ですね。駐車場から灯台までの通りにトルコ記念館とかお土産屋さんとか慰霊碑とかが並んでいて観光地になっています。

トルコ記念館です。エルトゥールル号遭難事件についての資料を見ることができます。

お土産屋さんでドンドゥルマを食べます。絨毯や雑貨も売られています。

石造りの灯台としては日本最古らしいです。まだ稼働している灯台らしいので中に入ることはできませんが、外付けの螺旋階段から上まで登ることは可能です。

聖地巡礼と全然関係ないですが、おれは紅茶が好きなので、灯台の近くにある串本町トルコ文化協会でトルコのチャイを飲みます。インドのチャイとは別物で、専用のポットで淹れる味強めのストレートティーですね。何故か取っ手のない細長いグラスで飲むのが本場流です。砂糖を入れて飲むとうまいです。ここらで一杯、熱いココアが怖い・・・・・・・・・。

ぽんかんのところ

道の駅の駐車場に車を停めると、「いつもこうはいかないからね」と釘を差して瀬々にぽんかんのソフトクリームを買った。平日だから観光客の姿はまばらで、ゴツゴツした巨石が転がる浅瀬に列をなしてそそり立つ焦茶色の岩柱を誰にも邪魔されず眺めることが出来た。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.241より

「道の駅くしもと橋杭岩」にやってきました。外にあるソフトクリーム屋の他に、売店でもソフトクリームを売っていて、ぽんかん味は売店のほうで買えます。おいしかったです。

岩は道の駅の駐車場から見れます。立派です。

鰹茶漬けのところ

駅近くにある鰹茶漬けのお店に入ると、直は「ごめんなさい」と肩を落とした。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.442より

このシーンは駅の近くにある料理 萬口というお店です。鰹茶漬けは串本の郷土料理らしいので、出しているお店自体はほかにもあるのかもしれないですが、「鰹茶漬けのお店」と言えるくらい専門的にやっているのはここくらいなので恐らくここが聖地です。

めっちゃ楽しみにしていたんですが、鰹切れのため閉店と張り紙がありました。

危険運転のところ

そういうわけで特急に乗ってプリウスを探しに行こうと思います。

ロータリーに横づけして転がるように走り出すと、改札の向こうに特急が停まっているのが見えた。果遠ちゃんの後ろ姿が吸い込まれていく。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.460より

このシーンはさすがに串本駅が舞台で確定ですね~。

自動改札が無いので結珠さんのように突破することもやろうと思えば可能ですが、駅員さんは普通にいるのでそういうことをすると小説のように後で怒られると思います。

果遠さんが乗ったのは7時20分串本発の京都行きいくろしお12号でしょう。結珠さんが目覚めたのは7時過ぎだと書いてあって、7~8時台に出ている特急はこれだけだからです。

この日はホテルの朝食をダラダラ食べていたら思ったより時間が過ぎていてギリギリの乗車になってしまいました。結果的に原作のシチュエーションに忠実な聖地巡礼が出来てよかったです。

海が光っていた。波も光っていた。空も光っていた。結珠ちゃんの車のボンネットもフロントガラスも、すべてが光の中にいた。

一穂ミチ(2022).光のとこにいてね, 株式会社文藝春秋, p.462より

このシーンめちゃくちゃいいですよね~。この光景を見たくて最南端までやってきたと言っても過言ではありません。

そういうわけで車窓から目を凝らして白いプリウスを探します。プリウスが見つかったら今回の聖地巡礼はおれの勝ちです。プリウスはまあまあ売れてる車なので流石に1台くらいは見つかるんじゃないかと思って探しましたが、甘かったようです。土曜のこの時間は交通量が少ないので、車自体が意外と見つかりません。

原作再現をしようとすると、道路を挟んで海が見える区間でプリウスを見つけないといけないわけですが、そもそも道路と海が同時に見える区間自体が長くはないので、その区間でプリウスを発見するのは無理な気もします。結局1台も見つけられませんでした。

小説では、ナンバーもドライバーも見えないのに果遠さんにはなぜかプリウスが結珠さんのものだとわかった、みたいな書き方がされています。でも、そういう不思議な直感を抜きにしても、このショボい交通量で白いプリウスが爆走していたら普通に考えれば結珠さんのプリウス確定な気もします。

それはそうと、もっとこう、海も空もキラキラの眩しい写真が撮りたかったんですが、死ぬほど曇ってるし、プリウスも居ないしで完全に失敗です。おれの負けです悔しいですね~。

順調に行けば果遠さんが結珠さんに逮捕されるであろう停車駅の周参見(すさみ)で降ります。

ちなみに串本から周参見駅まではくろしお12号で32分です。GoogleMapで調べると、車で行く場合は50分ほどかかるようなので、車で特急に追いつくには信じられない速度で爆走をする必要があります。1車線の道路なので、追い越し禁止を無視して追い越しをしまくる必要もあります。

日常的にGoogleMapを使って運転をする人ならわかると思いますが、GoogleMapに表示された時間を大幅に短縮することは、まともな運転をしていたらまず無理です。かなり飛ばしても表示された時間の1割も短縮できないのが普通です。そういうわけで結珠さんの運転はマジのガチでヤバいという結論になります。睡眠薬が残ってる体で危険な運転を長時間に渡って繰り返すのはヤバ過ぎるだろと思わなくはないですが、もう誰も止めることはできません。

このあと、周参見駅から普通列車で串本に戻ってから、東京の自宅に帰宅するために車で再び周参見方面に向かって走る謎の行為をしました。このあたりを車で通る頃にはすっかり晴れていて、いい感じにすべてが光の中にいました。

その他のところ

果遠さんのスナック「ブーケ」については、どこにあるのかよくわからなかったです。モデル地があるのかどうかすらわかりません。

地元の人が使う感じの商店街にある、みたいな記述があるので、ブーケがあるとされる商店街の位置は決まった設定がありそうですが、それがどこのことなのかは行ってみてもよくわからなかったです。そもそも串本には、芸能人が食べ歩きをするような賑やかな商店街らしい商店街は無いみたいなので、地元の人じゃないとわからない気もします。

観光案内所の人に聞けば教えてくれるかもしれないので、われこそはという人は探してみてココアを頼んでみるといいんじゃないでしょうか。

それと、ジオパークセンターと串本海中公園は今回行けなかったので、聖地巡礼する人は行ってみるといいんじゃないでしょうか。


くぅ~疲れましたw

串本はメチャ楽しかったです。晴れると陽射しが眩しくて、海も空も明るくて、この作品の舞台にピッタリだなーと思いました。

みなさんも行ってみるといいんじゃないでしょうか。

いろいろと答え合わせをしたいのではやく映像化してほしいですね。

せろりんでした。

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