せろりんです。
いろいろあって掛川で茶摘み体験をしてきました。
せっかく掛川に行ったなら、ペットボトルの茶ではなく茶っぱから淹れたお茶が飲みたいわけです。
摘んだ茶葉が余っているので緑茶と紅茶を自作していきましょう。
釜炒り緑茶を作るぞ!
これが摘んだ茶葉です。一芯二葉ってやつですね。
なんでも無農薬とのことで、そのせいか葉っぱに虫食いが多いです。
見た目は良くないですが、まあでもダージリン茶はウンカとかいう虫がつくことによって蜜のような特有の香気が生まれる、という話なので逆にありがたい気もします。
今回作る緑茶は、緑茶の中でも特に釜炒り緑茶と呼ばれるものです。
スーパーで売ってるような馴染み深い煎茶には、摘んだばかりの茶葉を蒸す工程があります。なぜ蒸すのかといえば、茶葉の生命活動を止めて発酵を強制終了させるとともに、茶葉の細胞を破壊して色や味を出しやすくするためです。お茶っ葉のパッケージに書かれている深蒸しとか浅蒸しというのはこの工程の蒸し加減のことを言うわけですね。
ところが今回作るのは蒸しの煎茶ではなく、釜で炒って作る釜炒り緑茶です。
馴染み深い製法を使わない理由はこだわりがあるからとかでは特になく、蒸すより簡単そうだからです。
そういうわけで洗った茶葉を煎っていきます。まずは殺青と呼ばれる工程です。緑茶は発酵を一切させない製法で作ったお茶なので、摘んできたらすぐに熱を加えることが重要です。焦げるとほうじ茶の味になってしまうので弱火でじっくり温めていきます。
殺青が終わりました。しなっとしていますね。お茶の酵素は50度くらいで死滅するので、この工程は炒めるというより軽く温める程度で十分です。
続いて揉捻とよばれる工程を行います。
この工程は茶葉を揉みまくって葉っぱの細胞を破壊することが目的です。今回はフライパンの上でひたすら手でコネたり握ったりしました。
こだわってるお茶を買うと「手作業でていねいに揉捻を行いました」とか書かれていがちではあります。しかし、まさか自分でやることになるとは思いませんでした。
釜炒り緑茶はわりとフリーダムらしく、このへんの工程には正解は無いようです。茶っぱの細胞がある程度破壊されていればなんでも良いっぽいです。
この後は乾燥工程です。超弱火でひたすらかき混ぜて水分を飛ばしていきます。ここで焦がしてしまうと中途半端にほうじ茶の味が混ざってしまうので慎重に弱火でかき混ぜます。
青っぽい良い匂いが部屋中に広がります。
ただしおれは短気なので途中からレンチンを使いました。レンチンを使うのは割りと正攻法らしいものの、とはいえおれはせっかくならフライパンだけでやりたいな・・・と思いながら作業していたわけです。しかし30分くらい煎っていても茎の水分が一向に飛ばなくて業を煮やしてしまいました。
丼に入れて電子レンジの200Wモードで1分ずつくらいチンしては様子を見てを繰り返します。レンジとはいえ加熱しすぎると焦げそうなので慎重にやります。
で、やってみたところレンジだと一発で茎の水分が抜けたので文明の利器スゲーと思いました。もっと早く電子レンジを使えばよかったと思いました。
完成です。かなりそれっぽいですね。スーパーのお煎茶とは見た目がだいぶ違いますけど、高いお茶屋さんだとこういう見た目のお茶っ葉も並んでいますよね。
淹れました。手作業で揉捻したからか、葉っぱの形がそのまま残っていて美しいです。葉っぱは茶こしを使わずとも箸でつまむとゴソッと取れます。高い茶葉特有の挙動です。
高いお茶だからといって必ずしも葉っぱの形が残っているわけではありませんが、葉っぱの形が残っているお茶っ葉は大抵高級品なので、おれのようなミーハーお茶好きは葉っぱの形が残っているお茶が大好きです。今回、淹れてみて葉っぱの形がそのまま現れたときはかなりテンションが上りました。
そんで味もメチャうまいです。超適当に作ったのにマジでうまくてびっくりしました。一芯二葉で香りが良くて甘い茶葉だけを選んだからなのか、メチャうまです。
浅蒸しの茶葉のような繊細な香りと、まろやかな後味があってガチうまいです。10月に摘んだお茶なので新茶のような旨味は控えめですが、代わりに角の取れた香りが豊かで美味いです。
超適当に作ったのに意外となんとかなって驚きでした。
紅茶も作るぞ!
今度は紅茶を作ります。緑茶が発酵を一切しないで作るお茶である一方で、紅茶は茶葉を完全に発酵させます。ちなみにほどほどに発酵させるお茶がウーロン茶です。
紅茶はまず萎凋(いちょう)の工程から入ります。茶葉をそのへんに放置して萎れさせるのが萎凋です。
ふつう放置期間は1日くらいが適正らしいですが、おれは労働の都合で作業できず2日間放置してしまいました。さすがにこれは萎れさせすぎな気がします。枯れてカピカピになってる葉っぱもあるので取り除きます
続いて揉捻です。この後の発酵工程で数時間放置するので、いくら手は洗ってるとはいえ素手はな~と思ったのでビニール袋の上から揉みまくっています。ここで茶葉の細胞を破壊して中の汁を出すことによってこの後の発酵工程が進行するようになります。
ぶどうの皮のような青臭くもフルーティーな香りがして無限に嗅いでいられます。
揉捻したものを室温で3時間放置すると発酵して茶葉が紅茶っぽい色になります。
フルーティーな香りに加えて紅茶特有の芳醇な香りも漂ってきます。正直めちゃくちゃいい香りです。この香りのまま茶葉になってしまったらとんでもなく美味いお茶が誕生してしまうぞ、とビビっています。
この後は釜炒り緑茶と同じです。弱火のフライパンで殺青(発酵止め)をしつつ乾燥も行います。
ただし緑茶のときの反省を生かして、今回は6割くらい水分が飛んだところでレンチンに移行します。
完成しました。高い紅茶っぽい見た目ですね。
水色も高い紅茶っぽいです。発酵浅めの紅茶の色ですね。
発酵が浅いからか渋みやコクが弱くて紅茶らしいパンチはありませんが、その代わりに香りがメッチャいいです。殺青前のようなありえん良い香りは無くなってしまいましたが、とはいえ飲むたびに栗っぽい香りや干しぶどうっぽい香りがミックスされた繊細な香りが口の中に広がります。市販の紅茶ではなかなか無い豊かな香りです。
ただし味や香りにまとまりの無さを感じる部分はありました。味が薄めなのに香りが強くてややアンバランスな印象があります。味についても、渋みはあまり無いのに苦味が強くて紅茶らしさをやや損ねている印象があります。
個性の光る味で、飲んでいて楽しくはありますが、味も香りも若干粗が目立ちます。飲んでいて違和感の無い紅茶を作れるプロのお茶職人はやっぱりすごいんだなと思いました。
おまけ:謎のお茶を作るぞ!
謎のお茶を作りました。2日放置した後にフライパンで殺青だけしてその後自然乾燥したお茶です。工程が簡素なのでほとんどお茶の形が残っています。
既存のお茶の名前に当てはめるなら中国茶の「白茶」になるのかもしれませんけど、あまりにも適当に作ってしまったので白茶を名乗るのはヤバいだろうと思って謎のお茶ということにしています。
淹れてみました。味が薄くて素直に美味しいとは思えませんが、香りだけとってみればなかなか良いです。
市販の白茶と同じような、なんかの豆みたいな香りがします。繊細でおもしろい香りです。
なんでこんなよくわからないお茶を作ったのか自分でもわかりませんけど、ともかく楽しいお茶づくりをすることができました。
同じ植物の葉っぱからこれほどいろいろな香りを引き出せるチャノキとかいう植物やべーと思いました。
早く家買って庭にチャノキ植えて―ってなりました。
終わり。
せろりんでした。
コメント