「ちみも」のここが好き! アニメ「ちみも」地獄の感想・考察

アニメ

チミー!せろりんです。

「ちみも」、おもしろかったですね。ちみものここが好きみたいな感想を書いてきます。

ちみもの見せる真実の地獄みが好き!

みなさんはどの地獄が好きですか!ちみもには様々な地獄が登場します。

ちみも視聴者の中で人気がある地獄といえば10話「ダイエット地獄」でしょう。この回では、餓鬼道地獄を描くことで、食べた分だけキッチリ太ってしまう人間の性質が実は生存に重要な役割を果たしている事実を指摘しています。この回を見た視聴者の反応は「怖すぎ」「ヤバ」「ガチの地獄だろ」といった、ドン引きの反応がほとんどです。餓鬼道地獄の醸し出すガチの不気味さには真実の地獄みがあるのです。餓鬼道地獄のような謎にリアルな地獄の質感こそがアニメ「ちみも」の魅力なんだと思います。

せろりんが好きな地獄は、タッカーーーン地獄です。

©ちみも /ちみも 7話より引用

「1000年経てば宇宙のチリかもしんないよ」

「だから、いま楽なのが一番!」

「お前らなあ。生きるっちゅうのはそういうことじゃないだろ」

我々はしょうもないことでイライラする地獄から脱却して毎日を平穏に暮らしたいと願っています。一方で、完全に達観して怒りを忘れてしまったらはそれはそれで不都合が起きそうです。「地獄のタッカーーーン」では、怒りを無くしてしまった三姉妹の様子を描くことで、怒りが人間にとって必要な感情であることを指摘しています。単に痛いとか苦しいとかだけではない独特の謎地獄を登場させつつも、話の内容には謎の含蓄があるのは「ちみも」の各エピソードに共通する構造です。

この話で重要なのは、長老の「タッカーーーン」が地獄さんには効いていないという事実です。この事実から、ちみもうりょうは実は人間界を地獄にするための兵器なのでは、という推測ができます。もちろん根拠の薄い憶測に過ぎないのですが、そういった不穏な考察も可能な不気味さはアニメ「ちみも」の魅力の少なくない部分を閉めています。

©ちみも /ちみも 4話より引用

ちみもうりょうが異常にタフだったり、体がメチャクチャ伸びたりするのも不気味で、真実の地獄みを感じます。

「ちみも」のような、おどろおどろしい設定があるのにビジュアルが可愛らしい系統のアニメは、「地獄からやってきたのに実際はかわいいだけ」とか、逆に「見た目は可愛いのに内容はガチでグロいだけ」みたいな出オチ感のある内容を売りにしてしまいがちです。それはそれでいいんでしょうけど、アニメ「ちみも」はかわいさを強調しつつ残酷な描写にならない範囲で真実の地獄みの描写も両立していて、目が離せないアニメに仕上がっています。

鬼神家のカメラが好き!

©ちみも /ちみも 2話より引用

アバンで登場する撮影シーンのカメラが実はライカなのが気に入っています。

(ライカオンラインストア M11シルバー・クローム https://store.leica-camera.jp/category/camera_m-system より)

どうでしょう。ドンピシャではないもののかなりそれっぽいです。

おれはライカに詳しくないので、機種の特定まではできませんでした。とはいえ、特定のモデルが存在するかどうかはともかく、ライカをイメージしていることは間違いないでしょう。

ライカといえば高価なことで有名です。上の画像のライカM11も117万円する超高級デジカメです。

意味もなく117万円もするカメラを登場させるとは思えないので、何かしらの理由がありそうです。3姉妹は割りと庶民的な金銭感覚ですし、デジタルカメラにこだわりもなさそうなので、普通に考えれば、このカメラは鬼神家の親が購入したものなのでしょう。

父親については、めいが「お父さんに会ったことがない」と言っているため、十数年以上前に死別か離婚しているんだと思います(5話のラストで意味深に星が光る描写があることを考慮すると死別しているかもしれません)。

そうなると、母親が購入した可能性が高いです。

三姉妹の母親は海外で忙しく仕事をしているようです。鬼神家にアトリエのような設備があることを考えると、母親はデザイナーや画家のような仕事をしていて、ライカが買えるくらいバシバシ稼ぎまくってるのかもしれません。ライカは芸術家が買いがちなので(偏見)、謎の納得感はあります。

奪衣婆のはづきが勝手に売っぱらって換金しないのも、離れて暮らす母親の思い出が詰まったカメラだからなのかもしれません。

おいしそうなメシが好き!

©ちみも /ちみも 2話より引用

ちみもといえばメシがうまそうですよね!ホットドッグとかしらす丼とか、どれも本当に美味しそうです。ちみもの画風に合わせて少ない色数とシンプルな線で描かれているのに美味しそうに見えるのは本当に不思議です。

スモアとか自作ソーセージとか兜焼きとかもみじの唐揚げのような微妙にマニアックな料理ばかりが登場して、ラーメンやハンバーグのような普通の食事は何故かあまり登場しないのもクセになります。

はづきの姉貴ヅラが好き!

©ちみも /ちみも 5話より引用

「私は、お父さんに会ったことがないけれど、もしお父さんがいたら、こんな感じで、毎日たのしいんじゃないかと思ったりします」

めいと喧嘩ばかりしている印象があるはづきではありますが、ときおり見せる姉妹喧嘩を超越した姉貴ヅラがメチャクチャ好きです。

姉貴ヅラは、シブケンおやじをめいの初恋の人と勘違いしているシーンや、めいが父親や母親の話をするときに発動しがちです。

鬼神家の両親の詳細については、そのほとんどが謎に包まれています。おそらく、めいが物心つくよりも前にいろいろあったんだろうなと思います。

ちみも強さランキング

同じランクでも左のほうが強いです。

武器無し、配下のちみもを使うのも無し、自前の能力(レーザーなど)を使うのはアリの、ステゴロ市街戦を想定しています。

S デッド
A ちびトラ ツバサ 長老 むつみ 地獄先輩
B ブー カラス
 ジュリー 地獄さん(鬼モード) トラック 熊
C その他ちみも 地獄さん(通常モード) 教授 課長 シブケン
D スナックのママ めい シブケンおやじ 金持典造 はづき

ランク分けの基準についてザックリ解説します。

・デッド(S)

さすがに作中最強です。鬼神家の庭から風見鶏さんを一瞬で蒸発させていることから、エネルギー、射程の長さともに最強の能力であることに間違いありません。ツバサの炎は最大1500℃だという設定がある一方で、鉄の沸点は2862℃ですから、レーザーが出す温度は3000℃をゆうに超えているでしょう。

これほど強力な攻撃ですから、何か欠点があると考えるのが能力バトルモノの常識です。で、おれは「レーザー攻撃にはインターバルがあって連射できないのでは」「撃つたびに寿命が縮まるとか記憶が消えるとかあって使用が躊躇われる能力なのでは」と思ったのですが、12話では地獄さんに向けて躊躇なくレーザーを連射しまくっていることから、その手の弱点はなさそうです。デッドの弱点はただ一つで、倒すためにはハブ酒を用意するしか無いのです。

・ちびトラ>ツバサ

オープニングでいつもバトっているちびトラとツバサについては、脳内でシミュレーションをした結果、ちびトラのほうが強いという結論になりました。

単純に考えれば制空権をとれて火も吹けるツバサのほうが強い気がしますが、制空権をとれたところで、ツバサには上空から攻撃する手段が無いので、あまり意味がありません。炎や噛みつきで攻撃をするためには対象にある程度近づく必要があるわけですが、ツバサの飛行の動きは緩慢ですし、炎の射程よりちみもうりょうのジャンプの射程のほうが長いため、近づいたらたちまちジャンプの餌食になります。つまり飛行能力は上空からの不意打ちか、物を落とすくらいにしか使えないわけですが、高高度から物を落としたところで都合よく当たってくれるとも思えません(そもそも武器は禁止です)し、ちみもは割りとタフなので不意打ちで1発ノックアウトを取れることも稀でしょう。1発目を外してしまったら、その後は地上戦に突入するしかありません。炎は高々1500℃ですし、射程も短いため、思ってるよりは役に立たないはずです。実際、炎も飛行も動作が緩慢なので、オープニング映像でもかわされています。

以上の点を考慮して、狂犬ちびトラの狂犬精神+ジャンプ+噛みつきのほうが強いだろうという結論になりました。

・地獄先輩(A)

地獄先輩がちみもうりょうの使役能力を何よりも重視している(9話)ことから、地獄のバトルはちみもうりょうを使って戦うポケモンバトルのようなものであることが推測できます。そういうわけで、作中最強のデッドのポケモントレーナーである地獄先輩はポケモンバトルであれば間違いなく最強です。しかし、今回のステゴロを想定したランキングでの評価はぱっとしません。地獄さん(鬼モード)よりは余裕で強いでしょうけど、むつみに勝っているイメージは湧かないかな、ということで上記のランクにしました。

・長老(A)

作中最強と言われることもある長老についてはAランクとしています。タッカーーーンはたしかに強力なものの、攻撃力が皆無であるためです。いくらタッカーーーンさせたところで相手を攻撃する手段が無いため、敗北はしなくても勝利することもありません。それに、7話の描写を見ると、どうも長老自体も達観した性格をしているようです。戦闘向きの性格ではないでしょうし、ご高齢のように見えるのでフィジカルも強くはないでしょう。自慢のタッカーーーンも、遠距離攻撃ができるデッドには効かない可能性が高いですし、あまりにも血気盛んな狂犬ちびトラにはタッカーーーンが通じない可能性もあります。

・その他ちみも

実はアニメで描写されていない隠された能力がある固体も存在するかもしれませんが、作中では描写されないため全員同ランクにしています。ブー(4話)だけはつよそうなので高めにしてあります。

・教授>課長

普通に考えれば若い課長のほうが強そうです。しかし強さランキングブロガーのおれの目はごまかせません。冷静に本編を見ると、教授は地獄さんに投げ飛ばされてもピンピンしていた実績があります。そういうわけで教授は、人間の中ではむつみの次に強い評価になっています。むつみは地獄さん(鬼モード・武器あり)に圧勝した実績(1話)があるので人間最強です。

人間界地獄化計画が大好き!

©ちみも /ちみも 12話より引用

「この世界は、とっくに地獄なんじゃ!家族のために地獄の満員電車で通勤して、地獄の会社で働き、他人のいいねを気にして、地獄の日々を暮らし、常に競争地獄の中で、誰かにジャッジされ落ち込んで、先の見えない未来にどうしようもなく不安になったり、それでも誰かのことが心配になったりするんじゃ!歴史に残るだけが地獄じゃない。生きづらい世の中でそれぞれ地獄を抱えて生きてるんじゃ!」

最終話で地獄先輩は人間界のことを「とっくに地獄なんじゃ」と評しました。その一方で、アニメ「ちみも」では、人間界が抱える地獄性が深く描かれることはありません。

この台詞で例に挙げられた労働地獄といいね地獄と競争地獄についても、作中ではそれほど否定的に描かれていません。

まず、労働地獄は家族を養うための美しい行為として多少美化して描かれています(労働はさすがにどう考えても地獄なので美化しきれてはいないです)。3話「地獄の穴」では、課長を嫌な上司として描きつつも、課長にも子供がいて生活がある事実に触れています。

©ちみも /ちみも 11話より引用

「ごめん。ポンスカのエメラルは、盛りまくった私なの。本当は外国なんか行ったこと無いし、地味で普通な女子中学生なの」

「うっそ、超すげえ!」

いいね地獄については、むしろ肯定的に描かれている部分すらあります。めいは写真を盛ってしまう自分の性格を良くないと思う一方で、シブケンおやじは写真を盛っていいねを集めることにすら肯定的です。アニメ「ちみも」は、悪の巣窟として扱われることの多いSNSを、出会いと進歩に満ちた素晴らしいものとして捉えているのです。

競争地獄についても、それほど否定的には描かれません。「芸術が爆発して地獄だ!」で、はづきは自分の作品に点数を付けられることに怒りを覚えながらも、100万円の値段がついたことには素直に喜んでおり、競争社会の良い側面も描かれています。

「とっくに地獄なんじゃ」という最終話の地獄さんの言い様に反して、勤労も、承認欲求も、競争も、本編ではそれほど否定的に描かれていません。

普通だったら地獄さんが地獄先輩を説得するために口からでまかせを言ったと考えるべきなんだと思いますが、しかし地獄さんが真に迫った嘘をとっさに言える性格だとも思えません。つまり、地獄さんの言ったことはすべて真実で、地獄さんから見れば人間界は本当に「地獄」と表現されるべき状態なのです。

地獄さんにとっての「地獄」は、われわれ人間にとっての「地獄」とは意味が少し違うのかもしれません。ここで、地獄さんの口癖に注目してみましょう。

©ちみも /ちみも 12話より引用

「いい天気地獄~」

「いい天気地獄」は地獄さんが口癖のように言っている言葉です。ツッコミ待ちの冗談のようなセリフなのかと思いきや、地獄さんはツッコむ人が居ない一人の状況でも「いい天気地獄」と口にします。地獄さんにとって、いい天気が地獄であることは、冗談でもなんでもない事実なのです。

考えてみれば、地獄さんの出身地である地獄は、われわれがイメージする、鬼が金棒を持って針山で人間から血を搾り取っているような苦しみに溢れた恐ろしいだけの地獄とは違っていそうです。作中で地獄の風景が直接描写されることはありませんが、おそらく地獄には個性豊かな可愛らしいちみもうりょうが名付けられないほどたくさん居て、地獄マターのような恐ろしくも楽しげなグッズがそこらじゅうにあふれているはずです。地獄さんにとっての地獄は、われわれがイメージよりもずっとコミカルで楽しく驚きにあふれた場所で、楽しいことも苦しいこともごちゃまぜになった場所であるに違いないのです。

地獄さんにとって人間界は「とっくに地獄」であり、地獄さんに言わせれば良い天気であることもまた「地獄」の一種にすぎないのです。

ここで、地獄先輩役の声優である小松未可子さんが歌うエンディング「なんだなんなんだ!」を聞いてみましょう。

思い通りにならないけど
楽しい 悲しい 嬉しい 日替わりで味わってるよ
予想もできない日々が
楽しい 悲しい 嬉しい やっぱり楽しいね
君はどこにいるの?ああ今日も太陽はキレイ

作詞作曲:Q-MHz,2022年,「なんだなんなんだ!」より引用

楽しいことも悲しいことも嬉しいことも日替わりで訪れる予想もできない天気のようなもので、傘を買ったらすぐ晴れても水たまりに映る太陽はキレイであると、この曲は主張しています。この世界では不幸と幸福は交互に訪れたり、同時に存在していたりするもので、地獄さんはそういう状況のことを「地獄」と表現しているのです。


最終話の前に放送された特別回のコメンタリーで、はづき役の加隈亜衣さんが「最近”地獄”が口癖になってきている」「ちょっとしたことでも”地獄だ”とつぶやくとなんだか心が軽くなる」といったようなことを言っていたのを思い出します。

たしかに「ちみも」を見た後だと、少し嫌なことがあっても「地獄だ」と口にすることで、ちみもうりょうが目を光らせてチミチミ言いながら騒がしく暮らしている予想もできない日々地獄を思い出して、少し明るい気持ちになれるような気がしてきます。

アニメ「ちみも」を見てしまったおれたちは、これから人間界で苦しいことを体験するたびに、アニメで描かれた地獄さんの”地獄”を思い出すのです。

人間界地獄化計画はすでに始まっているのかもしれません。

せろりんでした。

コメント