スロルのここが好き! 「スローループ」感想・考察

アニメ

せろりんでーす。

アニメ「スローループ」めちゃくちゃよかったですね~。

これシンプルな古参アピなんですが、おれはスローループ1巻の頃からガチでスローループが好きで好きでしょうがなく、アニメが終わればこの好きで好きでしょうがない気持ちも収まるかと思ったんですがやっぱり無理なので、スローループのここが好き!みたいな話を列挙していこうと思います。

ネタバレ感想です。原作の話もしますが、基本的にはアニメ化された範囲以上のことは言いません。

対戦よろしくおねがいします。

スロルのここが好き! 絵がかわいい!

©Maiko Uchino うちのまいこ『スローループ』第4巻(株式会社芳文社,2021)p.174より引用

原作、シンプルに絵がめちゃくちゃかわいいですね!キャラデザがバチクソ良いクセして絵もかわいいです。おれはストーリーさえよければアニメや漫画の絵のうまさって全然気にしないほうではあるんですけど、さすがにスローループくらい絵がうまいと「絵がうまいな…….」しか言えなくなります。その上でスローループはストーリーもいいので言うこと無しです。

このページの小春なんてまさにそうですけど、表情の描き方がとにかく繊細なんです。仮に文字が無かったとしても大体何が起きているのかわかります。表情から嫉妬している気持ちと拗ねている気持ちと怪しんでいる気持ちが伝わってきますし、首元で手を握る仕草から寂しさと早朝の寒々しさも感じ取れます。

うちのまいこ御大のすばらしい絵を通して見ると、うれしいとかたのしいとか悔しいとか寂しいとか妬ましいとか、そういう感情が、すべて流れ込んでくるように理解できます。そのへんのタッチの繊細さは、どうしてもアニメより原作のほうが良いな~と思う部分はあります。アニメは動かさなきゃいけないですからねえ。ところがアニメだって負けていません。

©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」11話より引用
©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」11話より引用
©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」11話より引用

たとえば、11話で早朝から一人で釣りをしているひよりに恋が「やまひー」と呼びかけるシーンです。

ひよりが振り向く一瞬のシーンの中にたくさんの表情が入っています。あんまり覚えていない人はぜひアニメで確認してみてほしいです。

呼びかけられる→声の主が恋であることを認識する→恋を視認する→笑顔になる、という、ひよりの心の変化を一瞬のシーンで繊細に表現しています。この表情の変化って、好きで好きでしょうがない人に会えたときの驚きと期待にあふれた表情というよりは、どちらかと言うと、安心できるいつもの友達に会えたときのホッとした表情だと思うんです。再婚して名字が変わっても変わらずに「やまひー」と呼んでくれる恋にやまひーがどれだけ助けられていたのかを一瞬のアニメーションから読み取れます。香り松茸味シメジみたいなノリで、静の原作 動のアニメ、みたいなところがあります。

ひよりって、どっちかというと無表情で、感情を顔で表現するのが苦手なタイプのキャラクターなんだと思っていたんですが、さすがに吉永恋の声を聞いてしまったら条件反射で笑顔になってしまうみたいです。もう犬じゃん。

スロルのここが好き! いろいろな家族のカタチ

©Maiko Uchino うちのまいこ『スローループ』第1巻(株式会社芳文社,2021)p.157より引用

「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」みたいな文句があります。たしかにそうかもなーと思う一方で、スローループで描かれる家族は、親が死のうが、弟が死のうが、知らないおばさんと暮らしている感じだろうが、父親が釣り中毒だろうが、それぞれ違ったように幸福にみえます。

©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」8話より引用

スローループが描く多様で幸福な家庭の形は、たとえばひよりとその祖父の関係に見てとれます。祖父がひよりのことをどう思っているのかはよくわかりませんが、少なくともひよりは、祖父のことが苦手だと明言しています。スローループのすごいところは、ひよりと祖父の関係性がエピソードを通して特に進展しないところにあります。

お話の後半、風邪を引いた小春のために祖父が食べ物を買ってくるシーンがあります。普通のアニメならここで「おじいちゃん実は優しいんだ!」「小春がピンチなんだから協力しなきゃ!」となるわけですが、スローループではそうは問屋が卸しません。苦手なものは苦手なのです。

結局、3巻の半分を使って描かれる”やまひー帰省編”において、祖父とひよりの関係性はほとんど――少なくとも表面上はまったく――変わりません。

大体のアニメでは、関係の良くない二人が登場すると1話の最後ではなんやかんや打ち解けています。そう考えると、冒頭でひよりと祖父の関係がそこまで良くないことをハッキリ示しておきながら最後までひよりと祖父の関係を進展させないのは、異様と言っても良いような特異なストーリー展開です。しかしスローループにおいては、家族の問題が何も解決しないまま終わってしまうエピソードは非常にたくさんあります。たとえば小春は海凪ひなたに対していつまでも敬語を使っていますし、ひよりは1クールアニメを通して海凪一誠とほとんど打ち解けませんし、恋の父親の釣り中毒は一生改善しません。

なによりも、ひよりの「頼りにしているよ お姉ちゃん」の言葉は、花火の音にかき消されて小春に届きませんでした。その後ひよりが「お姉ちゃん」と口にすることは二度と無く、良き姉になることにあこがれている小春は、実は自分がひよりに姉として割りと慕われていることを意識しないまま生きていくことになります。二人の関係性は、どう考えてもおれたちがイメージするザ・姉妹って感じではなく、きっといつまで経っても我々がイメージしやすいような形の姉妹にはならないんだと思いますけど、でも二人はそこそこ幸せなのです。

©Maiko Uchino うちのまいこ『スローループ』第1巻(株式会社芳文社,2021)p.158より引用

スローループでは、サザエさんのようなわかりやすくて我々がイメージしやすい幸福な家族は描かれません。スローループがしつこく描いているのは、不完全でも幸福な家族の形です。それって、欠損を抱えた人の寄せ集めである海凪家が今日も幸福であることを表現するのに、どうしても必要なことだったのかもしれません。欠けてしまったものは決して元に戻らないけど、だからといって永遠に不幸なわけでは絶対に無いのです。

そういえばおれの両親はけっこうリアルに頭がおかしくて、たとえば母親はドナルド・トランプさんや小保方晴子さんを崇拝していて、そんな感じの謎の話を四六時中しています。で、たしかにウザさはあるものの、だからって不幸だとは別に思いません。不完全でも家族は家族で、今日も親は第一種永久機関の実在性を主張していて、たぶん明日も主張していて、いつまでたっても状況は良くならないんですが、別にいいんです。スローループの中では、ちょっとフツウじゃない歪な家族のカタチは、改善すべき不幸な要素としては描かれていないのです。

スロルのここが好き! 吉永恋がガチで好き!

吉永恋、ガチでかわいいですよね。

古参アピなんですがおれは原作1巻の頃から吉永恋に狂っていたので、新参のみなさん(煽り)がアニメから入って吉永恋に狂っていくのを見て、いいぞ~って思ってました。こう書くとおれの性格が歪んでいるような気がしてきますが、でも多くの原作ファンはおれと同じ気持ちで吉永恋ファンが増えていくのを見つめていたんじゃないでしょうか?

やっぱり人類って全員吉永恋が好きなんだな~って再確認できてよかったです。

吉永恋の名前をランダムに入れ替える謎の診断メーカーを作ったところ、公開して2ヶ月で350人以上が診断をするという人気を博してしまいました。

人の名前で遊んだりバカにしたりするのは人として最低の行為らしいです。

吉永恋
吉永恋

スロルのここが好き! 言葉にしないと伝わらない

©Maiko Uchino うちのまいこ『スローループ』第1巻(株式会社芳文社,2022)p.30より引用

スローループを構成している思想の一つに、言葉にしないと伝わらない、ってのがある気がします。たとえばこのシーンです。ひよりは小春が怒っていることには気づきますが、怒っている理由については的はずれな考察しか出来ていません。ひよりが出した結論は、「小春の誕生日なのに料理させてるし働かせすぎ」だから、でした。

正解は「プレゼントをくれなかったから」なので、ひよりの結論は実に的はずれです。そこそこ長い間一緒に暮らしているひよりでも、何も言われなければ小春のことはてんでわからないのです。なにも言わなくても伝わるのはせいぜい喜怒哀楽と嘘と本当くらいで、それ以上のことは言葉にしないと決して伝わらないのがスローループの世界観です。

©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」8話より引用

「明日からはいつもどおり元気になるからね」

「心配はしたけど、迷惑だなんて思ってないよ。ねえ小春。辛いときは弱音吐いていいし、悲しいときは泣いていいよ。その、か、家族、なんだから」

言葉にしないと伝わらない思想はこういう部分に現れています。

冷静に考えると、「明日からはいつもどおり元気になるからね」とかいうセリフは異様です。回復傾向にあるとはいえ今日病気をしている人間が明日元気になるかどうかなんて断定できるはずありませんし、このセリフの「いつもどおり」の部分からは、自分はいつも元気でなくてはならない、みたいなことを考えていそうな気配がします。

寝込んでいるときに「いい子にしてるから 嫌わないで」と言っていたのも合わせて考えると、このセリフは「体調がどうであれ、明日から私はいつもやってる通りに元気な女の子として振る舞うので嫌いにならないでください」と言っているようにも聞こえます。病気がちに育った幼少期の小春の孤独を感じさせるセリフです。

これに対して「辛いときは弱音吐いていい」と伝えるのがひよりです。家族であっても、我慢して平気なふりをしていては何も伝わりません。自分の気持ちを伝えるには、弱音を吐いたり、泣いたりしないといけないのです。

©Maiko Uchino うちのまいこ『スローループ』第3巻(株式会社芳文社,2020)p.17より引用

スローループの世界の住人は、基本的にフェイクのコミュニケーションしかしません。たとえばひよりは人見知りなので自分の気持ちを滅多に口にしませんし、小春は孤独になるのが怖くて弱音を吐きませんし、恋は人を傷つけたくなくて相手に踏み込みません。ところが、自分の気持ちを言葉にして伝えたときだけは、フェイクの霧がさーっと晴れて、真実が浮かび上がり、抱えていた悩みが突然解消するのです。おはなしがハッピーを生むんですね。

(アニメの範囲ではありませんが、スローループ原作6巻は、まさに言葉にしないと伝わらない思想そのものを描いた一冊です。たとえば、対話が二度とできなくなってしまう現象としての死に小春とひよりが向き合うエピソードがあって、この話によって対話の重要性(あるいは生きることの重要性)を強調しています。アニメしか見ていない人はぜひ6巻を手に取ってほしいです)

スロルのここが好き! 吉永恋救済エピソードがガチで好き!

拙者、アニメ11話(原作28話)大好き侍…………………………。メチャクチャいい話ですよね。おれが個人的に好きなだけでなく、おれ以外にも人気のある回だと感じています。スローループファン100人にアニメの範囲から一番好きな回を選んでもらったら80票くらいは取りそう気がします。

©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」11話より引用

このシーンがめっちゃ好きです。早朝の湖にロッドを振る音だけが響いていて、何回も繰り返してきたであろう動作には神々しさすら宿っています。フライフィッシングをやったことがないおれでも、動きの無駄の無さからなにやら触れてはいけないような雰囲気を感じます。恋もこの姿を見て話しかけるのを一瞬ためらうわけですが、しかし2話で「私も怖がらずに踏み込めばよかったのかな」と口にした恋は、今度こそ怖がらずにひよりに話しかけるのでした。

この後のシーンでひよりが口にした「でも恋ちゃんがおめでとうって言ってくれて そういう気持ちを持ってもいいんだって思った」も、スローループの言葉にしないと伝わらない思想を体現している良い例だと思います。そういう気持ちを持っていいか、悪いかで言えば、誰がどう考えたっていいに決まっているんですが、当事者からすると言われなきゃわからないのです。結婚式の回で福元一花が「二人とも 結婚おめでとーって言ったか?」と口にしていたのを思い出すセリフです。

で、たしかにスローループには言葉にしないと伝わらない思想みたいなのがある一方で、恋は言葉にしないことを選んだ人でした。恋は自分のことを考えなしの子供だと思いこんでいるので、踏み込んだことを言って人を傷つけるくらいなら、ものわかりの良いふりをして黙っていたほうが良いと考えていました。言葉にしないと伝わらないことがある一方で、やまひーは言葉にしないことを選んだ恋の姿、つまり変わらずに接してくれる恋の姿に何度も救われてきたはずです。ここで大事なのは、言葉にするとか、しないとかではなく、自分らしくいることなんだと思います。よくよく考えれば、なにかデカい事件が発生したことで元々存在した人間関係が変質してしまったら、こんなに悲しいことはありません。踏み込んだことを言うタイプの人間は踏み込んだことを言ったほうがいいですし、言わないタイプの人間は言わないほうがいいのです。

ひよりは恋のさりげない「おめでとう」に救われていたことがこの回で明らかになります。「おめでとう」なんて、なんの捻りもない打算ゼロの言葉で、恋にとっては、特に深く考えずに口にした何気ない自然な言葉なんでしょうけど、その一言にひよりがどれだけ助けられたかは想像も付きません。自分らしくあること、自然体であることの重要性を強調しているのがアニメ11話です。

スローループは変化を拒んでいたひよりが変化を受け入れる様子を描いたアニメですけど、それでも変わらないほうがいいものはあって、それってきっと、自分らしさ、なんだろうなとおれは勝手に思っています。

アニメ11話(原作28話)は好きすぎてもう何回も見た回なんですけど、見れば見るほど新しい発見と新鮮な感動がある回です。ガチで好きです。

スロルのここが好き! やまひースライドが好き!

©うちのまいこ・芳文社/スローループ製作委員会 「スローループ」8話より引用

ここ好き!せろりんもアニメ化したらこうやって登場したいです。

風とーーーーーーーーって言ってる後ろでテンポよくいろんなやまひーが登場するの、なんでか知らないですがクセになりますよね。

5種のやまひーはどれもアニメのエピソードで登場した格好をしているわけですけど、最終的には「この格好はあの話だな!」と理解できるようになっていくのもうれしい仕掛けです。

やまひースライドに限らず、オープニングに登場する映像はどれもだいたい本編の内容と一致しています。本編をすべて見たあとにオープニングを見ると、思い出の詰まったアルバムみたいな印象に変わっています。

スローループがマジで好き!

そういう感じです。

スロルの好きなところはまだまだいくらでもあるんですがキリがないのでこのへんにします。

アニメだけ見て原作を読んでいない人がいたら原作を読みましょう。6巻がメチャ熱いです。もう原作を読んだ人はもう1周しましょう。

それと、おれはほかにもいろいろな感想や聖地巡礼記を書いているので気になった人は読んでいただけるとうれしいです。

終わり。

せろりんでした。

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