せろりんです。ゆるキャン△には山梨県民にしかわからない山梨ネタがこっそりと仕込まれています。
原作者やアニメスタッフがニヤつきながら入れたであろう山梨ネタが、せいぜい80万しか居ない山梨県民にしか伝わらないのはもったいないです。
そこで、山梨県は甲府に生まれ育ち、ここ最近は山梨県八王子市に暮らしているチャキチャキの山梨県民である、このおれ・せろりんが、ゆるキャン△SEASON2に登場した山梨ネタを気づいた範囲で解説していきます。
同様の記事を1期のときにも書いたのでそっちもどうぞ。
も く じ 🐬
1話「旅のおともにカレーめん」
高野さん
「次は・・・高野さん!」
1話では高野さんに郵便物を届けるなでしこが描かれます。高野は山梨にそこそこ多いとされる名字で、山梨は人口あたりの高野さんの人数が全都道府県で4位です。1
原作だと「望月」「小林」も登場します。高野は正直そこまでメッチャ多い感じはしませんが、望月と小林はガチで多いです。山梨県は人口あたりの望月さんの人数が全都道府県中1位2、小林さんの人数が長野に次いで2位3です。望月も小林もクラスに平均1人は居る印象があります。
デイリーヤマザキ
なでしこがリンちゃんにカレーめんを渡すシーンでは、デイリーヤマザキがモデルのお店が登場しました。
実は山梨県はデイリーヤマザキ大国です。山梨県は人口10万人あたりのデイリーヤマザキの件数が3.92件もあり、全都道府県の中でダントツ1位4です。全国平均は1.00件なので、数字で比較するとマジで多いことがわかります。
たしかに、山梨で生活していると明らかにデイリーヤマザキが多いなと思います。おれも甲府市立きらら女子高校に通っていたとき、学校帰りによくデイリーヤマザキのラピュタパンっぽい謎のパンを買って食べていました。パン人間です。
後に斉藤恵那がバイトすることになるのも1話で登場したデイリーヤマザキです。制服のカラーリングがデイヤマそのものですね。1期でローソンの看板がピンクに変更されていたのと対照的に、デイリーヤマザキはかなり本物に似せて描かれています。
デイリーヤマザキがちょいちょい登場するのは山梨っぽい光景だなあと思います。このようにゆるキャン△は、細かい部分で山梨っぽさを表現しまくっています。
デイリーヤマザキってこういう謎の大福が売ってますよね~。
2話「大晦日のソロキャンガール」
身延山久遠寺
グビ姉さん、大垣千明、犬山姉妹の4人が初詣に行ったのは身延山久遠寺です。久遠寺は日蓮宗の総本山で、アニメの聖地になる700年以上も前からずっと聖地をやっていらっしゃる、由緒しかないお寺です。現在でも日本中から参拝者が訪れます。
日蓮宗と身延山久遠寺は、しまりん達が住む身延町周辺の歴史や文化や経済を語る上で非常に重要な存在です。たとえば1期に登場した身延名物「みのぶまんじゅう」は、久遠寺への参拝者のために考案されたお菓子だとされています。
ゆるキャン△の聖地巡礼客を身延町がうまいこと取り込めているのは、身延町が久遠寺を訪れる観光客に慣れていたから、なのだと睨んでいます。
湯葉
「よもぎ1本ください」
「じゃあ私は湯葉で」
初詣で大垣千明と犬山妹が食べたのは、「ゆば団子」です。身延といえば湯葉が有名です。豆乳を加熱したときの表面にできる膜を寄せ集めた食品ですね。
身延の湯葉は、日蓮宗の開祖・日蓮の弟子が、師のために作ったものが発祥だと言われています。身延周辺には、各務原なでしこみたいな、料理を開発するのが上手なヤツがいっぱい居たのかもしれません。
INFOBAR A03
おれはアニメキャラクターが使っている携帯の機種を特定するのが好きなんですけど、犬山あおいが使っている携帯は、2015年に発売された京セラのINFOBAR A03で間違いないでしょう。
INFOBARといえば、山梨県甲府市出身の、世界的に有名な超すごいデザイナー・深澤直人さんがデザインを手掛けた携帯です。
しまりんママの電話番号
409-3106は身延町古関の郵便番号です。リンちゃん一家が住んでいる地域ですね。409-3106とだけ覚えれば郵便番号も電話番号も同時に覚えることができるのでコスパがいい番号です。おれも電話番号を409ー■■■■にしたくなってきました。ちなみにしまりんが使っている携帯はiPhone5cです。
3話「たなぼたキャンプと改めて思ったこと」
桔梗信玄餅
なでしこがしれっと持っている祖母の家へのお土産は「桔梗信玄餅」を買うともらえる紙袋です。
信玄餅には2種類あります。桔梗屋の「桔梗信玄餅」と、金精軒の「信玄餅」です。シェアで言えば桔梗信玄餅のほうが強いみたいですが、どっちを好んで食べるかは山梨県民でも割と意見が別れます。金精軒のほうが美味い、いやいや桔梗屋のほうが、みたいな話を山梨県民同士でおっぱじめると、きのこたけのこみたいなプロレスではなく、マジでちょっと雰囲気が悪くなる気がします。
各務原家は桔梗屋の桔梗信玄餅派のようです。というか、各務原家に限らずゆるキャン△には桔梗屋のほうの信玄餅しか出てきません。同じものがほしいなら桔梗屋のものを買うと良いでしょう。
私事ですが、おれ・せろりんの実家は金精軒派です。ところが一族の異端児であるところのおれ・せろりんは、どっちもほとんど味いっしょだろと思ってるので、買いたいときに売ってるほうを買います。
4話「バイトのお金で何を買う?」
山梨の求人誌
なでしこがにらめっこしていた求人誌に登場する「ほうとう与作」のモデルは、「甲州ほうとう 小作」という山梨のローカルチェーンです。
「甲州ほうとう小作」は、ほうとうを中心とした和食のお店です。山梨県のそこらじゅうに店舗が存在する上に、とりあえずここに行けば山梨の名物料理を一通り食べることができるので、観光に便利です。
市街地から離れた店舗には高確率で謎の水車が設置されているのが特徴です。
「はな寿司」は恐らく「はま寿司」です。流石にはま寿司は山梨と関係ないんですが、寿司屋の求人が登場している点は見逃せません。
山梨県は人口10万人あたりの寿司店の数が29.52件もあり、全都道府県中で1位5の寿司大国です。全国平均は17.77件なので、山梨には平均の2倍近くも寿司屋があるわけです。
高校生のとき、甲府市民のおれも頻繁に求人誌とにらめっこしていましたけど、確かに回転寿司の求人はめっちゃ多かったです。後輩や同級生にも寿司屋でバイトしている人が何人かいましたし、おれも一度、応募しようとした記憶があります。
「これは笛吹市。これは甲府。はな寿司、ここも甲府。甲府、ここも甲府、甲府、甲府・・・。あっ、身延!バス運転手・・・もう、バイトないよ~!」
おれは甲府市民だったのであんまり気にしたことは無かったんですが、言われてみれば確かに山梨県の求人は甲府周辺に集中しています。求人が甲府圏ばかりで、しかも内容が回転寿司と小作、という光景は非常にリアルです。斉藤恵那がデイリーヤマザキでバイトしているのも含めて、細かい部分で山梨っぽさを意識して作られているのがゆるキャン△です。
藤本
なでしこのバイト先「藤本」として登場するお店のモデルは、「純手打ちそば処 藤義」です。
モデルとなったお店「純手打ちそば処 藤義」は甲斐市にあるんですが、ゆるキャンではストーリーの都合上、身延町の身延駅前に存在することになっています。1甲斐市と身延は車で1時間くらい離れています。
甲斐市といえば甲府市のお隣で、自治体こそ違えど経済圏としては甲府と一緒です。甲斐市の市街地はそこそこ栄えているので、甲斐市にもそれなりの数のバイト求人があります。
「求人があるのは甲府方面ばかりで、身延周辺には全然ない」と嘆いていた各務原なでしこは結局、本来は甲府方面に存在するお店でバイトすることになったのでした。バカな女だぜ・・・。
5話「カリブーくんと山中湖」
ハギノ
大垣・犬山・斎藤の3人がきりたんぽ鍋の材料を揃えるために寄ったスーパー「ハギノ」のモデルは、山梨のローカルスーパー「オギノ」です。
オギノは山梨県内の割とそこらじゅうにあるお店です。静岡と長野にも出店しているらしいです。
オギノには「目の前に出店してきたダイエーを逆にボコして撤退に追い込んだ」などの伝説があります。
実は「ハギノ」は2期の1話にも看板がちょっとだけ登場しています。カタカナの「ハ」をかたどったロゴのようです。
元ネタの「オギノ」は、贈り物の箱に結んだリボンでカタカナの「オ」を表現したロゴです。
「オギノ」が「ハギノ」になっていて、「オ」のロゴが「ハ」になっているのは、オギノを知っているおれからするとガチでおもしろいです。
7話「なでしこのソロキャン計画」
赤沢宿
7話でリンちゃんが訪れているのは、早川町の「赤沢宿」です。日蓮宗の聖地である身延山と七面山を結ぶ宿場で、現在でも昔ながらの町並みが保存されています。このあたりの地域の歴史や文化に与える日蓮宗(久遠寺)の影響力のデカさが伺えます。
それはそうと赤沢宿はガチでクソ良い場所なので是非行ってほしいです。
8話「ひとりのキャンプ」
雨畑湖
「やっぱり好きだな 静かな湖」
リンちゃんが訪れているのは、早川町にある「雨畑湖」です。
雨畑湖は、日本軽金属という民間企業が所有するダムによって作られた人造湖です。軽金属とは要するにアルミニウムのことです。鉱石からアルミを作るときに膨大な電力が必要なので、日本軽金属は民間企業なのに山梨に発電用ダムをおっ建てて所有しているわけです。いわゆるダム式経営ってやつですね。
アニメではエメラルドグリーンの湖として描かれています。リンちゃんが行った当時は本当にこんな感じでした。
ところが現在の雨畑湖はこの通りです。上流から流れてきた土砂がメッチャ堆積してしまって、水を貯めることがほとんどできなくなっているようです。
アニメの映像は、おそらく数年前に原作者が取材に行った時の、雨畑湖がまだ湖っぽかったときの様子を映像にしたものです。ゆるキャンの登場人物はみんな2017年以前に出たスマホを使っているので、彼女たちはそのあたりの時代を生きているのでは、という説がおれの中にあります(たわごとです)。
ダムの周辺だと現在も湖っぽさが残っているものの、リンちゃんの訪れた吊り橋のあたりは、もはや湖というより川に近い状況になっています。
現在では湖に堆積した土砂を搬出する工事をやっているようで、そこらじゅうで重機が稼働しています。静かな湖は現在、静かでもなければ湖でもないという謎の状況になっています。とはいえこれはこれで綺麗な風景で、しかも今しか見れない風景なので、行けば行ったで楽しいです。
ちなみに日本軽金属はダムが必要なアルミ精錬事業から撤退してしまったらしく、しかもこのダムは、周辺地域の水害の原因になっていたり、遠く離れたの駿河湾の環境を破壊している疑惑があったりして、もう何がなんだかという意味不明な状況になっています。
雨畑といえば硯(すずり)です。このへんでは古くから伝統工芸品・雨畑硯の製造が行われています。
しまりんが渡った吊り橋のすぐ近くには硯の博物館もあります(硯匠庵)。写真は博物館の展示品です。しまりんは「なでしこが心配」とかなんとか理由をこじつけてなでしこに会いに行ってしまったので博物館には行かなかったみたいですが、メチャ面白いところなので是非行ってみると良いですよ。
ちなみに雨畑硯は、今から700年くらい前に日蓮の弟子が雨畑地区を訪れた際に「メッチャ良い石があるな~」と思って硯を作ってみたところメッチャ良かった、というのが発祥らしいです。日蓮の一派は、身延周辺において異世界転生アニメの主人公一行みたいな謎の活躍をしていたようです。
9話「冬の終わりと出発の日」
十賢
大垣千明が持っているお酒「十賢」の元ネタは、山梨の地酒「七賢」です。
おれはお酒が飲めないのでよくわからないんですが、飲める人からすると美味しいらしいです。七賢を作っている会社は、山梨県の北杜市白州町に300年近い歴史を持っているゴリゴリの老舗です。
北杜市白州町といえば水のうまさで知られる土地です。白州には、サントリーの天然水工場があったり、サントリーのウイスキー蒸留所があったり(白州 という名前のウイスキーも存在します)、いろはすの天然水工場があったり、その他いろんな食品工場があったりします。いろんな工場や採水地が集まってることからも白州の水のガチさと豊富さが伺えます。
ちなみに白州町の七賢の斜向いには、「信玄餅」を作っている老舗和菓子屋「金精軒」の本店があります(伏線回収!)。水の美味しさを生かしたお菓子「水信玄餅」が頂けるのも白州の金精軒です。
4月からは北杜市を舞台にした原付アニメ「スーパーカブ」が放送開始します。ここ最近「神様になった日」、「ゆるキャン△SEASON2」、「スーパーカブ」と、3期連続山梨アニメが放送される異常事態が発生しています。何が起こっているんでしょうね。
10話「伊豆キャン! はじまり」
ズラ
「爪木崎の水仙もそうだけど、すこし時期外れだったね」
「そこは仕方ないズラ~」
なでしこが語尾につけている「ズラ」は、山梨の方言「甲州弁」です。標準語の「だよ」と同じような意味です。「山梨の人は語尾にズラって付けるって聞いたけど、冗談でしょ?」と言われることがあるんですが、冗談でもなんでも無く、山梨だと方言が強めな人は普通にズラズラ言います。ただし、おれは異端児なので生まれつきあんまり方言が無く、ズラズラ言いません。
地元愛が強いことで知られる大垣千明は1期のころからたまにズラズラ言っているので、それがなでしこにうつってしまったんでしょう。
ただし語尾に「ズラ」をつけるのは静岡の方言でもあるらしいので、もともとズラの使い手であったなでしこが、単純に地元の方言を使っているだけ説もあります。でも、なでしこ一族は祖母も含めて全員標準語を喋っているので、やっぱりなでしこのズラは大垣由来の甲州弁な気もします。
ゆるキャンのキャラクターは(犬山姉妹以外)全体的に方言がほぼほぼありません。大垣ですら、冗談っぽくズラズラ言うことはあっても、友人の前では標準語を話しています。でも大垣は祖父母とかの前だとメッチャ方言を使ってそうな気もします。そうであってほしいです。
まとめ
1期に続いてメチャクチャいいアニメだな~と思いました。毎週死ぬほど楽しみにしながら見ていたので終わってしまって寂しいです。
山梨要素については、おれが気づいていないだけでもっとたくさんあると思うので、気づいたら追記するかもしれないです。
2022年の映画も超楽しみですね。甲府昭和のイオンモールで会いましょう。
終わり。
せろりんでした。
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